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第77話

 次の日は休み時間になるとすぐに、スマホでバイトの求人情報を調べた。


あと1週間ほどで学校は夏休みになるので、短期で集中して稼げるものがいいかな?とか、今後もデート代が2倍かかることを考えて、長期で続けられるものがいいかな?とか、いろいろな考えが頭を巡ってなかなか決められずにいた。


俺が休み時間中ずっとスマホとにらめっこしているだけでなく、昼休みに弁当を食べている間もずっと見ているので、それを訝しんだキョウヘイが、「セイ、お前スマホでずっと何見てるんだ?漫画じゃないよな?ずっと難しい顔してるし。」と尋ねてきた。


「漫画じゃないよ。バイトの求人情報を探していたんだよ。ほら、俺さ他の人よりデート代がかかるから、毎月のお小遣いだけじゃ足りなくなったんだよ。」


俺は正直にスマホを見てる理由を答えた。ただし、「ほら」以降は周りの人に聞こえないようにできるだけ小さな声で話した。


「そっか。確かにセイの場合、他の人よりデート代かかるもんな。でも、バイトなんて始めたら一緒にいれる時間が減っちゃうんじゃないか?」


「確かにそうだけど、一緒にいるためにもお金が必要なんだよ。」


「昨日も言ったけど、セイは本当にカジワラを好きなのか?まあ、今までカジワラと付き合うために努力してきたところを見ると好きなんだろうけど、好きになっちゃダメなやつを好きになってるんじゃないか?もっと付き合って楽しいやつを好きになった方がいいんじゃないか?」


キョウヘイが疑問に思って口にしてる言葉が胸に刺さる。


確かにカジワラは付き合うと面倒なタイプだということは分かってる。でも、だからといってカジワラと付き合うのを諦められないくらい、俺はカジワラが好きなんだ。好きになった理由はまだ思い出せないが、カジワラのことが好きな気持ちは本物だ。


そのことをキョウヘイに伝えようとすると、「おーい!トツカ!お前に会いたいって言ってる女子が来てるぞ!」と八木が教室の出入口の近くから俺に大声で伝えてきた。


「分かった。今行く!」と答えて、俺はキョウヘイとの会話を後回しにして、八木の言う俺に会いたいという女子が誰か確認に行った。


教室の出入口までくると、見覚えのある三つ編みの女子がいた。


「ハナザワさん⁈どうしたの?俺に何か用?」


俺がそう尋ねると、ハナザワさんはおずおずとした様子で、「トツカ先輩……実はお聞きしたいことがありまして。」と答えた。


「俺に聞きたいこと?何?」


「それは……その……。」


ハナザワさんがなかなか話を切り出さないので、どうしたんだろう?と思っていると、八木を含めた3人くらいの男子がまだ俺たちの近くにいることに気付き、「ハナザワさん、場所変えようか?」とハナザワさんに提案した。


すると、ハナザワさんはこくんと頷いたので、「それじゃあ、第3特別教室に行こうか?」と提案して、ハナザワさんと第3特別教室へ向かった。


後ろから八木の、「おい、トツカ!変なことするなよ⁈」と言ってくる声が聞こえたので、「するか!バーカ!」と振り向いて大声で否定した。


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