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第67話

 土曜日、この日は1日中、明日ナツキと行くデートコースのことを考えていた。


見たい映画もあるので映画がいいかな?それとも少し駅から距離は離れているがイルカショーもしている水族館があるので水族館がいいかな?ショッピングデートするためにショッピングモールに行くのはどうだろう?実際に買わなくても楽しめるからな。うーん?迷うな~。でも、もうナツキにどこがいいか聞くことはできないし、もちろんカジワラにも聞くことはできないし、どうすればいいんだ~⁈


授業内容なんて全く頭に入らなかった。


誰かに相談したい!でも、こんな悩みを相談できる友だちなんて、ナツキとカジワラを除いたらキョウヘイとハタケぐらいだけど、キョウヘイは俺と同じで恋愛経験がないから当てにならないし、今ほしいのは女子の意見だ。あとはハタケだが、ハタケは……ん?ハタケ?ハタケは恋愛経験があるかどうかは分からないが女子だった!しかも、俺がナツキよりも一緒にデートしたいカジワラと仲がいいから、カジワラの好みに詳しいので今相談するのに一番の適任だった!


そういえば、こんなことを前も悩んだな?その時もハタケに尋ねた気がする。そんなにお世話になっているのに俺にとってハタケが影の薄い存在なことを申し訳なく感じた。いつもカジワラと一緒にいるから、俺の目がカジワラの方を向いてるためにカジワラの陰にハタケが隠れてしまってるのかもしれない。

しかし、どんな理由があろうとほぼ毎日話している友だちのことを影が薄いから何か頼む時だけ思い出すなんて失礼過ぎる!気を付けないといけない!でも、今回は申し訳ないけど頼るしかない。よし!ハタケがカジワラと離れたところを狙って質問しよう!


それからはハタケが1人にならないかと休み時間になるたびに目の端で追っていたが、ハタケは常にカジワラと一緒にいて1人になることがなかった。ハタケは俺たち3人以外の人とはあまり話してるところを見たことがないし、いつもカジワラと一緒にいるところしか見たことがなかったし、これも当然っちゃ当然か。と納得していたが、俺にとってはまずい事態だということに気が付いた。


どうしよう?放課後もキョウヘイとカジワラがいて1人にならないし、下校するときもカジワラが一緒だから、このあともずっと1人にならないな。うわっ。マジでどうしよう?……そうだ!帰宅したくらいの時間に音声通話をすればいいんだ!それならハタケが1人の時に話すことができるな。よし!そうしよう!


簡単な解決法を思いついたので、そのあとは放課後4人で漫画を話してる時も解散の挨拶をして1人で下校した時も焦ることなく穏やかな気持ちでいることができた。


帰宅して晩ご飯を食べてお風呂に入ってベッドに倒れ込んでスマホの画面を見るとちょうど午後7時半だった。今ならハタケも家に帰ってるだろう。と思い、ラインで、「ちょっと音声通話してもいい?」とメッセージを送った。送ってからもしかしたらお風呂に入ってるかもしれないよな。大丈夫かな?と不安になることが頭をよぎった。俺が心配しながらスマホの画面を見ていると俺のメッセージが既読になり、数秒後には、「大丈夫だよ。」とメッセージが送られてきた。俺がホッとしながら音声通話をすると、「トツカくん?こんばんは。どうしたの急に?」とハタケの声が聞こえてきた。


「ごめんな。こんな時間に。ちょっと相談したいことがあってさ。」


「そうなんだ?私に答えられればいいけど。どんなこと?」


俺はナツキとのデートで行く場所を悩んでいることを話し、どこに行けばいいか尋ねた。

すると、ハタケは、「そうだなぁ?水族館がいいと思うよ。」とすぐに答えてくれた。


「水族館か。分かった。ありがとう。」


「うん。相談はもう終わり?」


「うん。相談に乗ってくれてありがとな。それじゃ、また来週学校で。」


「うん。また学校で。」


ハタケとの音声通話を終えると、すぐにナツキに「明日は水族館に行こう。8時半にナツキの家に行くから、それまでに準備しておいてくれ。」とラインのメッセージを送った。数分後ナツキから2件返信が来た。


「了解。」


「全然連絡がないから忘れているのかと思った。」


ナツキからのメッセージを見てスマホで今の時刻を確認すると、もう午後8時近くになっていた。

こんな時間まで連絡しなかったら、そりゃ約束を忘れてるかもしれないと思うよな。

ナツキをやきもきさせたことを申し訳なく感じた俺は、「こんな時間まで連絡しないでごめんな。」とナツキへ謝罪のメッセージを送った。すると、すぐにナツキから、「許す」という意味のスタンプが送られてきた。


「それじゃあ、明日はよろしく。」


「うん。楽しみにしてる。」


そこまでやり取りして俺はスマホを充電ケーブルに接続して、またベッドに横になった。心労でどっと疲れが出たのか、いつの間にかそのまま眠ってしまった。


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