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第61話

 次の日の火曜日、この日から期末試験1週間前なので部活が休みになる。

だから、ナツキも授業が終わったら時間があるので、俺とキョウヘイとカジワラとハタケの4人で放課後やってる勉強会に誘おうかな?と考えた。しかし、ナツキは俺とキョウヘイとは幼馴染で仲がいいが、カジワラとハタケとは1,2度会ったことがあるだけの関係なので、いくらナツキのコミュニケーション能力が高いと言っても、親しくない人と一緒に苦手な勉強をやるのは厳しいかな?と考え直して誘わなかった。


 いつもの4人で放課後試験勉強していたが、いつも通りカジワラはキョウヘイにしか質問しなかった。俺はもう諦めて黙々と勉強して、時々分からない問題をキョウヘイに聞いたり、ハタケがキョウヘイの代わりに俺に質問してきた問題の解き方を教えたりした。


そんな中、カジワラが、「イチノミヤくん、これ分かる?」と聞いてきた問題を見たキョウヘイが、「うーん?ちょっと分からないな。」と答えた。キョウヘイにも分からない問題ってどんな問題だ?と思って、チラッとのぞいてみると、保健体育の問題だった。


そうだった。期末試験だから保健体育や家庭科の試験もあるんだった。全然やってなかった。俺もやらなくちゃ!


英語の問題集を片付けて、保健体育の教科書をロッカーまで取りに行った。教科書と資料集を取って戻ってくると、キョウヘイがカジワラに、「俺、教科書手元にないから調べようがないし、教科書持ってるセイに聞いてみたらどう?」と提案してくれた。


「そうだね。トツカくん、これ分かる?」と、カジワラはキョウヘイの提案を受け入れて俺に質問してきた。


ナイス!キョウヘイ!と心の中でキョウヘイに感謝しながら、俺は、「どれどれ?どの問題?」と聞き返した。


「この問題なんだけど?」


カジワラが指差していたのはサッカーのルールに関する問題だった。俺も何となくしか理解していなかったので、すぐには答えられなかった。しかし、俺はすぐに資料集を開いて、サッカーのルールを調べ、カジワラに教えてあげた。


「分かった。ありがとう!トツカくん!」


カジワラに頼られる時間はあっという間に過ぎてしまったが、試験勉強をしていて初めてカジワラに頼られたのですごく嬉しかった。このあとも昨日と同じく午後5時まで試験勉強をしたのだが、カジワラがまた俺に質問してくることはなかった。


午後5時になると、試験勉強をやめて下校の準備を始めた。俺はどうせカジワラたちとは一緒に帰れないし、ナツキも待ってるだろうと思ったので、下校の準備をすると、「それじゃ、また明日。」と言って、一目散に帰宅した。


俺が帰宅すると、すぐにスマホにラインのメッセージが来た。

ナツキから「帰って来たよね?今からセイの家に行ってもいい?」とあった。

それを見て俺は「OK」という意味のスタンプを送った。スタンプを送ってから数分後、家のチャイムが鳴った。玄関に向かうと、先に来ていた母さんが玄関のドアを開けていた。


「あら?ナツキちゃん!久しぶりね!どうしたの?」


「お久しぶりです。セイのお母さん。今日はセイと一緒に試験勉強をしようと思って来ました。」


「そうなのね。セイ!ナツキちゃんが来てるわよ!」


「分かってるよ!ナツキ、早く上がって来いよ。」


俺は母さんとナツキが話しているのが何だか気恥ずかしくて、すぐに離れさせようとナツキを俺の部屋に呼んだ。


「うん。お邪魔します。」


ナツキは脱いだ靴をちゃんとそろえてから階段を上がってきた。俺はナツキが部屋に入るとすぐにドアを閉めた。ナツキが俺の横を通って部屋に入って来た時、以前勉強を教えた時みたいに、シトラス系の香りがした。俺がその香りに気を取られていると、ナツキが、「セイ、どうしたの?」と尋ねてきた。


「いや、ナツキからいい匂いがするなと思ってさ。制汗剤の匂いか?」


「制汗剤?違う違う。ボディミストだよ。」


「ボディミスト?」


「香りが付いた化粧水みたいなものだよ。」


「ふーん。そうなんだ。」


ナツキもなんだかんだ言っても女子なんだよな。そういえば、ナツキの今の服装もTシャツにジーンズというカジュアルな服装だが、ちゃんとコーディネートされている気がする。夜に窓越しに話すときに着ているジャージ姿に比べるとかなり女子っぽさを感じる。


「早く試験勉強始めよう。聞きたいところがたくさんあるんだから。」


「ああ、そうだな。」


急にナツキに女子っぽさを感じて、少し照れくさく感じたが、試験勉強を始めてしばらくするといつの間にか感じなくなっていた。ナツキはハタケよりも勉強ができないので、質問してくることはハタケよりも基本的なことだったので教えるのは楽だった。途中、母さんが飲み物を持ってきたが、試験勉強をしている俺たちを見て、少しがっかりしているようだった。


午後7時くらいまでナツキと一緒に勉強した。


「そろそろ帰るね。今日はありがとう。また明日もよろしく!」


「ああ、また明日な。」


そう言ってナツキが帰ったあと、晩ご飯を食べて、日付が変わるまで試験勉強をした。


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