第54話
教室に一人っきりになった俺は、スマホで学校近辺のカジワラと2人で話しながら飲食できる店を探していた。「おしゃれ カフェ」とか「おしゃれ スイーツが食べられるお店」などと検索して出て来る店の外観やメニューの写真を片っ端から見て、どの店がいいか考えた。
ここはちょっとメニューの値段が高いかな?カジワラは俺の愛人だから、俺が全部おごらなきゃいけない気がするので、あまり値段が高い所は行けないな。そういえば、ナツキは何も言わなかったけど、ナツキは一応俺の彼女だから昨日のハンバーガー代も俺がナツキの分も払うべきだったのかな?いやいや、高校生のカップルで彼氏がデートとかの費用を全部払っているカップルはそんなにいないはずだ。俺の完全な予想だけど、そうであってほしい。まあ、ポテトはおごったわけだし、そんなにひどい彼氏ではなかったはずだ。
俺が昨日のナツキとのお食事デート?での自分のふるまいに対して言い訳し始めていたが、今はそんなことをしている場合じゃないことに気が付き、再び明日のカジワラと行くお店を探し始めた。学校からお店までの距離や普段カジワラと学校から駅まで一緒に行く道沿いにあるかどうかなどの条件を加えて、一応2軒にまでお店を絞った。
1軒はいかにもインスタなどに写真を上げる女子高校生たちが好きそうな、色彩豊かな(悪く言えば奇抜で派手な色をした)外観をしていて、メニューもいわゆる女子高校生が好きそうな物ばかりのメインターゲットを若い女性にしてそうなお店だった。
もう1軒は落ち着いた雰囲気の外観をしているが、メニューは写真映えしそうな物ばかりの大人のカップルも使えそうなお店だった。
1軒目は大体の女子高校生は好きそうな外観とメニューだが、カジワラの性格や俺の知り得る限りの好みを考えるとあまり適さないお店に思えた。何よりカジワラと一緒とはいえ、男子高校生が入るにはかなり勇気がいるお店に思えた。そう考えるともう1軒のお店一択に思えてくるが、ちょっと外観が落ち着きすぎていて高校生のカップルが行くには大人っぽ過ぎるかもしれない。それに一応女子高校生のカジワラは1軒目のようなお店が好きかもしれないという気もしてくる。
あー!全然決められない!どうしたらいいんだ⁈……やっぱりここは誰かからの助言をもらうしかないよな。誰から聞く?俺がカジワラと付き合っていることを知っている人の方がいいよな。てことはキョウヘイか?いや、男子高校生の好みを聞くのならキョウヘイが適任だけど、今回は女子高校生の好みを知りたいんだから女子の方がいいよな。てことはナツキの方がいいかな?一応あいつも女子高校生だからキョウヘイよりは当てになるよな。……でもホントにナツキでいいのか?ナツキとカジワラは正反対とは言わないがかなり性格や好みが違う。もっとカジワラと好みが似ている人はいないかな?と言っても、俺の女子の友だちはナツキとカジワラとハタケだけだからな……。あ!もうナツキは俺の彼女でカジワラは俺の愛人だから友だちはハタケだけか。ん?ハタケだけ?いや、ハタケがいるじゃんか!ハタケはカジワラの親友だからカジワラの好みに詳しいだろうから一番の適任じゃん!そうだよ!ハタケに聞こう!……でも一応ナツキにも保険として聞いておこう。
俺はハタケとナツキに助言をもらうことに決めて、ラインで2人に送るメッセージを考え始めた。




