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第52話

 その日の夜、俺はカジワラとの今後について考えていた。

カジワラとデートするには本当にナツキとデートしなきゃいけないのか?ナツキとデートしたということにしてカジワラをデートに誘っても分からないんじゃないか?でもその場合、俺は人生初めてのデートで、予行演習もしてないので、デートでのエスコートがうまく行かない可能性が高くなる気がするな。うまく行かなくて、ナツキと事前にデートしていないことがカジワラにバレたら、俺の愛人をやめてしまうかもしれない。やっぱり、ナツキにデートをしてもらうしかないか。


俺も人並みの男子高校生だから女子とデートするのは嬉しい反面、すごく緊張する。たとえ、初めての相手がナツキだとしてもだ。まずはデートの予定を立てなきゃいけないな!大人だったらデートの予定を立てる時、どこにデートに行くか迷ったりするのかもしれないが、学生の俺には自由にできるお金や移動手段などが限られているから、選択肢があまりなくてかえって決めやすいかもしれない。それに再来週には期末試験が始まるので、試験勉強を一緒にするというのもいいんじゃないか?


……でも待てよ。ナツキは赤点を回避できればいいんだから俺でも教えられるかもしれないが、カジワラは俺より勉強ができるから、一緒に試験勉強しても俺が教わる立場になってしまうんじゃないか?まあ、それはそれでいいのかもしれないが、中間試験でいい点を取ってカジワラを振り向かせようとしていた俺としては、少し恥ずかしい気持ちもある。俺がカジワラに勉強を教えたいと思っても、中間試験の時はキョウヘイに教えてもらったから50位以内に入れたが、自力で勉強するとなると今度の期末試験は50位以内に入るどころか、80位以内に入れるかどうかも怪しい。やっぱりキョウヘイに勉強を教えてもらうしかない!


でもキョウヘイは俺がナツキに偽の本命の彼女になってもらってから機嫌が悪い。たぶん、いくら幼馴染とはいえ、偽の彼女になってくれるようにナツキに頼むなんて失礼過ぎる!と思っているのだろう。ここはキョウヘイに、いくら偽の彼女とはいえナツキを傷つけることはしない!本当の彼女のように大切に扱う!と宣言して許してもらうしかないな。うん。そうしよう!夜遅いけど今すぐラインするか?いや、こういうのは直接話した方がいいよな。明日直接言おう!なので、明日早めに学校に来てくれるようにだけラインのメッセージを送っておこう!


キョウヘイにそのことをラインのメッセージで送ってからベッドに横になった。しばらくして眠りについたが、眠るまでにキョウヘイから返信はなかった。


 次の日の朝、早めに起きた俺はキョウヘイから返信が着ているか確認するため、スマホを手に取った。スマホを見てみると、昨日の夜11時半ぐらいにキョウヘイから返信が来ていた。(俺がメッセージを送ったのは11時くらいだった。)キョウヘイからは、「分かった。」とだけメッセージが来ていた。俺はその返信を見て、急いで朝ご飯を食べにリビングへ向かった。一昨日も早めに起きて登校したので、母さんが「何かあるの?」と聞いてきたが、本当のことを話すわけにはいかないので、「いや、別に何もないよ。ただ早く目が覚めただけだよ。」と言って、誤魔化した。(誤魔化せたかどうかは分からないが。)


朝ご飯を食べて、身支度を整えてから学校へ登校した。天気が良かったので幸先がいいなと思いながら登校した。学校に着いて教室に入ると俺が一番乗りかと思っていたら、もうすでにキョウヘイが教室にいた。先に学校に来て誠意を見せようと思っていたが、うまくは行かないものだな。と考えていると、キョウヘイが、「何か話があるんだろう?いつもより早く学校に来てやったんだから、くだらないことだったら許さないぞ。」と言ってきた。声のトーンは普段と変わらないが、俺に対して苛立っていることは分かった。


俺はこれ以上キョウヘイを苛立たせないように誠心誠意で、「キョウヘイ!キョウヘイが俺に対して苛立っているのは分かる。カジワラと付き合うためにナツキを偽の彼女にするなんてナツキに対して失礼だもんな。でも、信じてくれ!俺は偽の彼女だからってナツキをぞんざいに扱ったりしない!本当の彼女のように扱うし、傷つけるようなことはしないから許してくれないか?」と伝えた。キョウヘイはしばらく何も言わず、複雑な気持ちを整理しているのか苦しそうな表情をしていたが、しばらくすると俺の目をジッと見つめ、「本当にナツキを傷つけないんだな?」と確認してきた。「ああ。本当だ。」と俺が答えると、「分かった。許すよ。」と返答してきた。


「本当か?」と俺が確認すると、キョウヘイはこくんと頷いて、「本当だよ。それに本来俺にセイを怒る権利はないんだよ。ナツキがセイの提案にOK出した時点で。」と答えた。


「そうか。ありがとう。」


「カジワラかハタケに言われたのか?」


「え?」


「俺と仲直りするように言われたんだろ?放課後4人で漫画の話ができないから。」


「いや、言われてないけど。」


「え?じゃあ、セイが親友の俺とギクシャクした関係のままが嫌だったからか?」


「うん。それもあるけど、一番の理由は期末試験が近いから、また勉強を教えてほしいからなんだ。」


「はぁ?何だよそれ?」


キョウヘイは声のトーンは少し怒っている感じだが、顔は笑いながら文句を言っていた。

俺はキョウヘイと仲直り出来たみたいで心から喜んでいた。


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