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第5話

 入口の門を過ぎてからも1分くらい車で移動してやっとキョウヘイの自宅に着いた。

相変わらず嘘みたいに広く立派な庭と嘘みたいに大きく立派な自宅だった。

自宅に着くとキョウヘイが車を降りて付いてくるように言ったので、黙って付いて行くとバスケットゴールが見えてきた。


それを見て、俺は胸をなでおろしながら、「良かったぁ。設備があるって言ってたから、もしかして体育館みたいな施設が敷地内にあるのかと思ったけど、バスケットゴールがあるだけか。良かったぁ。」と心の声を漏らしていた。


「ハハハハ!何度か来たことあるから、俺の家の敷地に体育館がないことぐらい知ってただろ?」


「でも新しく造ったのかな?って思ってさ。」


「そんなに広くないって。」


「いやいやいや。門から入って車で移動して自宅に行くのは十分広いって。」


「まあ、広いっちゃ広いけど……。そんなことより早く特訓を始めよう!」


突然話を切り上げられて、ちょっと納得いかなかったが、確かに余計な話をしている暇はないかと考え直した。球技大会は6月中旬なので、今が5月だからあと5週間ぐらいしかないからな。あれ?ちょっと待てよ……。


「なぁ、キョウヘイ?バスケットゴールがあるからバスケの特訓をすると思うんだけど、何でバスケなんだ?バレーや卓球じゃダメなのか?」


俺はふと思いついた疑問をキョウヘイにぶつけた。


「ただ単にうちにバスケットゴールとバスケットボールしかないからだけど。」


キョウヘイがバスケットボールを手に持ちながら、あっけらかんと答えた。


「なんだよ!それだけの理由かよ!」


「でもさ、バスケって1人でもシュート練習ができるけど、バレーと卓球って一人で練習するのって難しくないか?バレーは1人だとサーブ練習くらいしかできないし、卓球も1人だとサーブ練習くらいしかできないと思うぞ。」


「それはそうかもしれないけど、キョウヘイがいるから俺たちは2人じゃん?2人ならできることもあるじゃないか?バレーならレシーブの練習ならできそうだし、卓球ならラリーや試合形式の練習もできるんじゃないか?」


俺の発言を聞くとキョウヘイは怪訝な表情をしながら、「うん。確かにそうだけど、俺バレーも卓球も上手くないけどいいの?」と答えた。


キョウヘイの返答を聞いて、ああ、そうか。キョウヘイがバスケを選んだのは、バスケは教えられなくても特訓する場所を提供できるから選んだのか!と納得した。


「ごめんごめん。納得した。よしっ!それじゃあ始めようか!」


俺はキョウヘイからバスケットボールを受け取り、ドリブルしながらバスケットゴールに近づき、リング目掛けてジャンプしてレイアップシュートを試みたがボールはリングに当たってはじき返されてしまった。


「おいおい。何してんだよ!」


「そんな言い方しなくてもいいだろ!まだ1回目なんだから!」


「え⁈いや、俺はいきなりレイアップシュートの練習を始めたことを言ってるんだけど。」


「は⁈レイアップシュートの練習をして何がおかしいんだよ⁈」


「ごめんごめん。言葉足らずだった。俺はまず練習を始める前にセイのうちに連絡した方がいいと思ったんだよ。『今日家に帰るの遅れる。』ってさ。」


「確かにうちに連絡はしたほうがいいよな。ごめん。俺、早とちりしちゃったよ。」


俺の早とちりでキョウヘイは怒るかもしれないと思ったが、キョウヘイは不敵な笑みを浮かべて、「全然いいよ。それにそんなに早とちりでもないからな。」と言ってきた。


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