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第42話

 「ん?ああ。カジワラを彼女にするんだろ?今更そんなこと宣言しなくてもいいよ。」


「いや、そういう意味じゃないんだ。」


俺の発言の意味を理解できなかったのか、キョウヘイは困惑したような顔をしながら、「え~と?それってどういう意味だ?……もしかして!カジワラのことは諦めて他の女子を彼女にするってことか⁈」と質問してきた。


「いや、そういう意味でもないんだ。」


「はぁ?じゃあどういう意味だよ⁈」


キョウヘイは更に困惑した顔をして問い質してきた。俺はすぅーと息を吸い込んだあと、「俺はカジワラを愛人にする!そのために偽の本命の彼女を作る!」とキョウヘイに向かって決意表明した。


キョウヘイは俺の決意表明をすぐには理解できなかったのか、ポカンとした顔をしていた。しかし、数秒後には俺の発言の意味を理解して、険しい表情で、「なにバカなこと言ってんだよ⁈セイ⁈カジワラを愛人にするなんて、カジワラに対しても彼女に対しても不誠実だろ!冗談でもそんなこと口にするなよ!」と俺を戒める発言をしてきた。


「大丈夫だよ。偽の本命の彼女って言っただろ?彼女になってもらう人には事情を説明して彼女のふりをしてもらうだけだから。俺は偽の彼女を作って、カジワラと真剣に付き合う。これなら彼女にもカジワラにも不誠実じゃないだろ?」


俺はキョウヘイの意見の打開案を堂々と述べた。俺があまりにも堂々としていたからか、キョウヘイは「おま……おま……お前な……。」と何か言おうとしていたが(おそらくまた俺を戒める発言だろうが)うまく言葉にできていなかった。キョウヘイは言いたいことを頭の中でまとめるためか、ごくんと息をのんで話し始めた。


「セイ、お前な、俺に対しては不誠実だからな!今までセイに協力してきたのは、カジワラを愛人じゃなくて彼女にするためだと思っていたから手伝ってたんだぞ!協力によって俺が消費した時間や労力を無駄にするつもりか⁈」


「それに関しては申し訳ないと思っているよ。でも、俺の頑張りが足りないだけではない理由で俺の努力とキョウヘイの協力は結果が伴わなかったじゃないか。この先、キョウヘイの協力を受けてもいつになったら上手く行くのか分からないじゃないか。だったらカジワラは愛人にはなってくれるって言ってるんだから、なってもらおうじゃないか。カジワラには俺と付き合ってもらってから、俺のことを好きになってもらうよ。ほら、恋愛漫画とかであるだろ?お互いのことをまだ好きではない2人が何かしらの理由で付き合って、本当にお互いを好きになるってやつ。」


「お前なぁ、それは漫画だからうまく行くだけで現実ではそんなうまく行かないっての!……あ!そっか。そうだった。そうだった。セイ、お前は重要なことを忘れているぞ!」


「重要なこと?」


「そう。いくら事情を説明してもセイと偽の本命の彼女になってくれるという慈愛に満ちた人はいないってことだ!」


キョウヘイは絶対俺の案がうまく行かないという理由を思いつき、勝ち誇った顔をしながらそう言い切った。しかし、俺は全然慌てず、「なんだ。それなら当てが1人だけいるんだよな。」と言い返した。


「はぁ?そんなわけ……、あ!もしかしてハ……。」


「ナツキだよ!ナツキ!付き合いの長いナツキならこんなお願いも聞いてくれると思うんだよね!」


俺の発言を聞いて、今までヒートアップして試合終了のときよりも赤くなっていたキョウヘイの顔が一気に青ざめていくように見えた。しかし、すぐに顔を真っ赤にして、「ナツキ⁈いくらナツキでも偽の本命の彼女になってほしいなんてお願い聞いてくれるとは思えないぞ。」と反論してきた。


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