第31話
3週間前から準備していた中間試験の日がやって来た。
いい点を取ろうと奮起している奴や既に何かを諦めている奴など、いろんな様子の人がクラスにいた。
いつもだったらなるようになるさ。といった心持ちで試験を受けている俺だったが、今回はカジワラにいい所を見せるために頑張るぞ。といった気持ちと3週間前から準備したんだから結構いい点とれちゃうんじゃないか?といった気持ちが半々だった。
実際に試験が始まると、もともと得意な歴史だけじゃなく、苦手な数学も結構解答用紙を埋められた。これはひょっとするとひょっとするかもしれないな。という考えが試験最終日の最後の英語の試験の時に頭に浮かび始めた。
試験最終日の水曜日、午前中で試験も終わるので部活をしていない俺とカジワラとハタケは下校して駅に向かっていた。その道中、当然のことながら試験についての話題になった。
「私は今までよりは解答用紙を埋められたかな。トツカくんはどう?」
ハタケが俺に試験の手応えを聞いてきた。
「俺も今までよりできたかな。」
「そりゃそうでしょ。トツカくんは3週間前から準備していたんだから。」
「そういうカジワラはどうなんだよ?今までの試験だと俺やハタケよりいい点取ってたけど。」
「私も今までよりできたかな。いつもより試験勉強の時間を取ったしね。」
カジワラの発言を聞いて、俺は急に不安になった。なぜなら、自分でも言ったがカジワラは普段俺よりもテストの成績が良いため、俺の方が先に始めたとはいえ、カジワラもほぼ同じ時期に中間試験を始めたので、今回の中間試験のカジワラの成績を俺が越えられるか急に心配になった。
俺が不安感から何も言わずにいるのをよそに、カジワラとハタケは試験の話はやめて漫画の話をしていた。そのまま俺はほとんど話さず、カジワラとハタケが話しているのを見ているだけのまま、駅で2人と別れた。
ちょうど2人が駅の改札口を通ったところで、キョウヘイが乗った車が俺を迎えに来た。今日で中間試験が終わったので今日からはシュート練習だけをやるためにキョウヘイの家に向かった。キョウヘイの家に向かう道中、キョウヘイとも試験についての話になった。
「それでセイ、試験の手応えはどうだったんだ?」
「今までの試験よりははるかに手応えがあるよ。これもキョウヘイのおかげだよ!ありがとう。」
「そうか。それは良かった。でもお礼を言うのはまだ早いと思うぞ。まだ結果が出たわけではないんだか
ら。いい手応えだけで終わるってことがなければいいけどな。」
「そんな不吉なこと言うなよ。心配になるじゃないか。」
「ハハハ。でも大丈夫だよ。誰がセイに勉強教えたと思ってるんだよ?俺だぞ!俺!」
「よくそんなこと自分で言えるな。でも確かにキョウヘイに教えてもらったおかげで、いつもより解答用紙を埋めることはできたよ。ところでキョウヘイの試験の手応えはどうだったんだ?」
「え?俺?俺はいつもより誤答を減らしたから20位以内には入れると思うよ。」
「そっか。それは良かった。勉強教えてもらった俺の方が上の順位になったら申し訳ないからな。」
「アハハハ!そんなこと絶対にないから安心しろ!」
俺もキョウヘイに勝つことなんてありえないと思っているが、できれば同級生全員に勝って1位になれるものならなりたいと思っていた。
車中でお昼を食べ終えて、キョウヘイの家に着いたらシュート練習をすぐに始めた。まずは久しぶりだったので、今までずっと練習していたバスケットゴールの正面の位置からシュート練習を始めた。1時間ほどシュート練習をして6割3分くらいの成功率だった。再来週には球技大会が行われるので時間があまりないため、そのあとはゴールのボードから少し斜めの位置でシュート練習をした。午後7時くらいまで練習したら、今まで通り車で家まで送ってもらった。