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第28話

 月曜日、中間試験まで残り1週間となり、普段休み時間に勉強しているところなどほとんど見ない奴らまで勉強していた。放課後になると部活は活動禁止なので、学校に残っているのは試験勉強をしている人だけだった。


キョウヘイが、「中間試験まであと1週間しかないんだし、シュート練習はやらないで試験勉強に専念しようぜ。」と提案してきたので、俺とキョウヘイはカジワラとハタケを誘って一緒に試験勉強をしていた。その方がカジワラと一緒にいる時間も増えるだろうとキョウヘイが考えたからだ。


まずどこで勉強するか決める際、「図書室はどうだろう?」と俺が提案すると、カジワラが、「図書室は会話ができないし、きっと混んでると思うよ。」と否定的な意見を言ってきたので、図書室ではなく、俺たちのクラスの教室で勉強することになった。


2週間前から試験勉強してきたので、ある程度は試験範囲を理解できていると自負があったため、カジワラが分からない所は俺がスマートに教えてあげようと企んでいた。しかしカジワラは他人(ひと)に尋ねるほど分からない所がないみたいでスラスラと問題集を解いていた。10分ほど経ち、これ以上待ってても無駄かな。と思い始めた頃、カジワラのシャーペンの動きが止まり問題に悩むような表情をし始めた。

これは俺の出番かな?と思いカジワラに声を掛けようとした瞬間、カジワラが、「ねぇ、この問題分かる?イチノミヤくん?」とキョウヘイに教わろうとした。俺に聞いてくれよ!と思ったが、ちょっと考えれば、この4人の中で一番勉強ができるキョウヘイに教わろうとするのは当然かと理解できた。


俺が諦めて自分の勉強をしようと思いながら、何となくハタケの方を見ると、ハタケは頭を抱えて悩んでいるところだった。


「どうしたんだ?ハタケ?」


「あ!実はこの問題が分からなくて……。トツカくん、分かる?」


ハタケはおずおずと問題集を指差しながら見せてきた。ハタケが分からない問題は俺が4日前の木曜日にキョウヘイに教わった問題だった。


「あー、この問題はここをこうして……こうすれば解けるよ。」


「へー。そうやって解くんだ?理解できたよ。ありがとう。」


できればこの状況をカジワラとやりたかったな。とも思ったが、他人(ひと)に教えられるくらい試験範囲を理解できてるというのが分かって素直に嬉しかった。その後も俺に質問してくるのはハタケだけでカジワラはキョウヘイにばかり質問していた。


キョウヘイの迎えが来る5時過ぎまで俺たち4人は教室で勉強していた。そしてキョウヘイが帰る時に一緒に下校した。俺はカジワラとハタケと一緒に駅まで行き、駅で2人を見送ってから、キョウヘイと合流してキョウヘイの家で試験勉強の続きをした。


俺は月曜日から金曜日までそんな生活を送った。


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