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第23話

借りた本を受け取って、他の人の邪魔にならない所で立っていたら、キョウヘイが俺の肩をポンポンと叩いた。


「セイ!良さそうな推理小説見つけたぞ!」


そう言われて振り向いた俺の顔を見たキョウヘイは、「どうした?何かあったのか?」と俺を心配してきた。


「キョウヘイ……実は……。」


俺がさっきカジワラに言われたことをキョウヘイに伝えようとしたら、キョウヘイが見つけて持ってきた本が目に入り、「キョウヘイ、面白いんだろうけど、『江戸川〇歩』はないと思うぞ。」と先にキョウヘイが見つけてきた本についてダメ出しをしてしまった。


「そうかな?カジワラ、『名探偵〇ナン』好きだったじゃん?だからいいかな?と思ってさ。」


「そうだけど、『〇ナン』が好きだからと言って『江戸川〇歩』も好きだとは限らないぞ。」


いくら言っても、キョウヘイは最後まで納得してない様子だったが、俺は「もう本は借りちゃったから。」と言って、キョウヘイの薦めてきた本は借りなかった。


球技大会の出場種目を決める午後のホームルームになった。

俺とキョウヘイはもちろんバスケに立候補した。俺の読み通り、バレー部で背の高い八木も立候補してきた。立候補者は全員で8人だった。俺がバスケに出られる確率は8分の6つまり4分の3か。と考えていると、バスケ部でバレーに立候補していた黒石が「八木はバスケに決まりでいいんじゃね?」と余計なことを言ったことから、クラスメートのほとんどが納得してしまい、八木はバスケに決まってしまった。俺がバスケに出られる確率が4分の3から7分の5へと低くなってしまい少し焦ったが、このくらいは予想していたので、まだ平静を保っていられた。問題はこの流れで身長の高い順でバスケに出る人が決まってしまわないか?ということだったが、(立候補者の身長を見比べてみると俺は低い方に入ってしまうため)そこからはじゃんけんで決めることになり、運良く俺とキョウヘイはバスケに出られることになった。ちなみにカジワラとハタケも第一志望の卓球に出られることになった。


 午後のホームルームも終わり、俺とキョウヘイはキョウヘイの家に向かった。

キョウヘイが、「放課後もカジワラが図書室のカウンター係をやるけどどうする?」と聞いてきたが、俺はきっぱりと、「すぐにキョウヘイの家に行こう。」と答えた。もう本を借りてしまったのでカウンター係のカジワラに話しかけるような話題がなかったからだ。今日借りた本を読んでから、今週中に図書室に借りた本を返しに行く時の方が話しかける理由もあっていいだろうと思ったからというのもあった。キョウヘイの家に向かう間に、本を借りた時カジワラに言われたことをキョウヘイに伝えた。


「そうか。あんまり時間はないんだな。」


キョウヘイはそれ以上何も言ってこなかった。何も言えなかったのかもしれない。

この日はキョウヘイの家でシュート練習と中間試験の勉強をし終えて、うちまで帰ってきたら、借りた本を読んでいるうちに眠ってしまった。


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