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第21話

 図書室のドアを開けて雑誌などが置かれているスペースを通り抜けていくと、図書委員が本の貸し出しを行っているカウンターがあった。俺はすぐにカジワラを見つけたので話しかけようとカウンターに近づいて行こうとしたが、すぐにキョウヘイに左肩を掴まれて止められた。


「何するんだよ⁈」


俺が止められる理由が分からず、少し苛立ちながら尋ねた。

キョウヘイは図書室の中なので小さいが聞き取れるくらいの声で、「セイの方こそ何やってんだよ!カジワラは図書委員の仕事をしてるんだぞ!話しかけても会話をしている暇はないんだぞ!」と俺に忠告してきた。


「じゃあ、どうやってアピールするんだよ?」


「だから土曜日に言っただろう?カジワラの好きな小説を借りてアピールすればいいんだよ!カジワラの好みは本当に知らないのか?」


「そうだったな。昨日カジワラとの今までの会話を思い出して、何とか1つカジワラの好きな小説を思い出したよ。」


「へー。それじゃあ、それを借りようか?まあ、学校の図書室にあればの話だけどな。」


「たぶんあると思うぞ。推理小説だから。」


俺の発言を聞いてキョウヘイは目を皿にしていたが、すぐにため息をついて、「お前なぁ、思い出したって言ってもその程度かよ!ジャンルだけじゃ幅が広くて、借りようとした小説がカジワラの好きな小説か分からないだろ!」と怒ってきた。


「仕方ないだろ。何とか思い出したのがそれだけだったんだから。それに推理小説だったら何でも好きかもしれないじゃん。」


「はぁ~。まあ、その可能性に賭けるしかないか。じゃあ、面白そうな推理小説を探そう!」


俺とキョウヘイは分かれて面白そうな推理小説を探し始めた。

昼休みも残り15分ほどだったので急いで探したが、急ぐと焦りが生まれてきてどの推理小説がいいのか全然分からなかった。


もうこうなったらカジワラにお薦めの推理小説を聞いたらどうだろう?いやいや、それは本末転倒だ。そういえば、入口の辺りにお薦めの本を紹介してる棚があったな。そこに推理小説があるかもしれない。

とりあえず見てみるか。


俺は入口付近にある、たぶん図書委員の人がお薦めしてる本が並んでいる棚のところ行ってみた。

図書委員が書いたPOPを見てみると今月は直木賞受賞作を紹介しているみたいだった。紹介されている小説に推理小説はないのかな?POPを1つずつ見ていくと、1つだけ推理小説を紹介しているものがあった。


「東〇圭吾」の「容疑者〇の献身」という作品だった。「東〇圭吾」は聞いたことあるな。しかも、直木賞受賞作なんだから面白いに違いない。よしっ!これを借りよう!そう思って、その本に手を伸ばすと他の人の手とぶつかった。


うわっ!こんな漫画みたいなことあるんだな。と思いながら、手がぶつかった人の方を見ると、髪型が三つ編みの眼鏡をかけた女子だった。さらに上履きの色を見ると1年生だということが分かった。


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