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第17話

 次の日は授業が午前までだったので昼休みがなかったためカジワラとハタケと話す時間があまり取れなかった。それでも、これはカジワラを俺に振り向かせるために必要なことなんだ!と自分に言い聞かせてキョウヘイを迎えに来た車に乗り込みキョウヘイの家に向かった。


車で移動中、キョウヘイが、「そういえば、ナツキには謝ったのか?」と俺に聞いてきた。


「ああ、ちゃんと謝ったよ。そういうキョウヘイの方こそ、ちゃんとナツキに謝ったのかよ?」


「俺も昨日ラインでだけどちゃんと謝ったよ。」


「そっか。ていうかお前のせいで俺は余計なことまでナツキに話しちゃったんだぞ!何かあったら責任取ってくれよ!」


「え?え?俺のせい?余計なこと?何の話だよ?分かるように話してくれよ!」


俺はナツキにカジワラに振られたことを話したことをキョウヘイに伝えた。

するとキョウヘイは納得できないという表情をして、「それって俺のせいかなぁ?セイがナツキにカジワラに振られたことを黙っていたことでナツキとの関係が悪くなったことを気に病んでいたからじゃないのか?」と反論してきた。


「確かにそうかもしれないけど、キョウヘイの一言が後押しになったことは事実だ。お前にも責任の一端はあるはずだ。」


「分かったよ!ナツキがカジワラにセイが振られたことを誰かにばらしたら俺も何かしらの方法で責任を取るよ。」


始めは責任がないと言っていたキョウヘイが急に自分の責任を認めたので不思議に思い、「それならいいけど。何で急に責任を認めたんだ?」と問いただした。


「それはよく考えてみたら、ナツキが誰かにセイがカジワラに振られたことを話すことはないなと思ったからだよ。どうせ取らなくていい責任なら認めても大丈夫だからな。」


キョウヘイに言われて、昨日はナツキのことを信じて話したのに今日になって話した責任を本気ではないとはいえキョウヘイになすりつけるなんて俺は何て奴だろう!と自己嫌悪に陥った。

とりあえず今言ったことは本気じゃないってことをキョウヘイに伝えようと思い、「冗談だよ!冗談!俺もナツキが誰かに話すとは思わないよ!」と伝えた。

すると、キョウヘイは「だよな!そう思うよな!」と言って、俺の発言を追及してこなかったのでホッと胸をなでおろした。


1時半前にはキョウヘイの家に着いた。キョウヘイが「まず昼飯食べちゃおうぜ!」と言ってきたので、「そうだな。」と返事をした。この日は事前にお昼は弁当を作ってもらうからわざわざ俺の分を用意しなくていいよ。とキョウヘイに伝えておいたので、庭に置かれたテーブルにはキョウヘイの分の昼食だけが用意されていた。俺とキョウヘイは席についてお昼を食べ始めた。キョウヘイの昼食もお弁当だった。パッと見はわからないが中身の食材は俺のとは比べられないくらい高そうだった。学校に持ってくるお弁当はここまで豪華じゃないので、少し食材のグレードを下げているんだなと思った。


お昼を食べ終えると、まずはシュート練習を30分間行った。シュートは75本中41本入った。

その後は1時間、中間試験の勉強をした。まずは今までの暗記の勉強ではあまりできていなかった数学から手を付けた。数学の問題集を広げて解き始めた。計算だけの問題は解けるが文章問題になると途端に解けなくなった。10分くらい悩んでも解けなかったのでキョウヘイに解き方を教えてもらおうとした。キョウヘイは嫌な顔一つせず「ここはこう考えるんだよ。」と解き方を教えてくれた。答えを見てみるとキョウヘイの解き方で合っているようだった。


俺は次の文章問題に取りかかったが、それは中間試験の範囲の中でもかなり難しい問題だと先生が言ってた問題だった。もちろん、俺にはちんぷんかんぷんだったので、「なあ、この問題分か……。」とキョウヘイに聞こうとしたがやめてしまった。なぜなら、いくら俺よりは頭がいいとは言っても、学年順位が30位くらいのキョウヘイには解き方が分からないんじゃないか?と思ったからだ。それに1年の時の最後の期末試験でのキョウヘイの数学の点数は80点台だった気がしたので、数学はキョウヘイも得意ではないのではないか?と思ったのも理由に入った。


しかし途中でやめたとはいえ、話しかけていたので「どうした?分からない問題があったのか?」とキョウヘイが聞いてきた。俺は仕方なく「この問題わかるか?」と質問した。

「ああ、それ難しいよな。それはこうやって解くんだよ。」と言って、キョウヘイは解き方を教えてくれた。問題集の答えを見るとキョウヘイの解き方で合っているようだった。俺は素直に「よくこんな難しい問題解けるな。」と感心してしまった。


「このくらいの問題だったら解けるから安心して質問してくれよ!」とキョウヘイが言ってきたので、俺は「もしかしてキョウヘイ、2年になってから数学の勉強に力を入れていたのか?」と聞いてしまった。


「は?何で?」


「だってキョウヘイ、1年の最後の期末試験では80点台だったじゃないか?俺もそこまで分かるわけじゃないけど、この問題は80点台の奴に解ける問題じゃないと思うんだよな。」


「ああ、そういうことね。ちょっと待ってろ。」

そう言ってキョウヘイは自宅方へ走って行ってしまった。しばらくすると何か紙を持って戻ってきた。


「ほら……これ見てみろ。」


息を切らしてキョウヘイは手に持った紙を見せてきた。


「こ、これは……。」


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