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第110話

 「……て感じかな。全部話してくれたわけではないから、所々私が勝手に補完したところもあるけど、これがレーちゃんが愛人にしかなりたくないと考え始めた理由だよ。」


「……そうなんだ……。」


つまりカジワラは自分の母親よりも美しい父親の愛人であるオウカさんの生き方に魅了されて愛人にしかなりたくないと考え始めたのか。しかも、魅了されたのはカジワラだけでなく、カジワラのお姉さんも魅了されているため、パパ活をして人生を楽しむという生き方をカジワラは見せられてしまい、それが愛人にしかなりたくないという考えに拍車をかけているんだな。


「そんな生き方間違ってる!」とはっきりとカジワラに言いたい!だが、カジワラはそういう生き方が得をすると考えてしまう経験を身をもってしてしまった。


しかも、愛人についてとやかく言えるのは付き合ってる相手の妻や彼女だけだ。友だちの1人でしかない俺はアドバイスぐらいしかできないが、そんなアドバイスをカジワラが今更聞くとは思えない。


でも、そんな生き方で幸せになれるとは俺の偏見かもしれないが到底思えない。もし俺がカジワラの彼氏だったらそんな生き方させないのに!ん?そんな生き方させない?前にもこんなこと考えたことあったな。……うーん?そうだ!あの時だ!


「トツカくん?どうしたのさっきから黙ってるけど……?」


「ハタケありがとう!おかげで俺がカジワラを好きになったきっかけを思い出せたよ!悪いけどやらなきゃいけないことができたから、通話を切るな。じゃあ、また明日な。」


「ちょっとトツカくん!レーちゃんを好きになったきっかけって……。」


まだハタケは何か言っていたが、俺は途中で会話を切り上げて通話を切ってしまった。そしてハタケとの通話を終えると、俺はナツキとハナザワさんに、「話があるから明日の夏期講習終わりに第3特別教室に来てくれないか。」という内容のメッセージを送った。


次の日の夏期講習終わり、俺は急いで第3特別教室に向かった。俺が一番乗りかなと思ったが、すでにナツキもハナザワさんも第3特別教室で待っていた。2人とも何かを察しってるのか少し暗い顔をしていた。


俺が教室の中に入ると、すぐにナツキが、「ちょっとセイ!私たちを呼び出して何の話があるの⁈」と俺を問い質してきた。


「ちょっと待ってくれ!今話すからさ。」


俺は少し興奮気味のナツキをなだめて話を続けた。


「俺がナツキとハナザワさんを呼んだのは他でもない。ナツキとハナザワさんのどちらを彼女にするかの結果を伝えようと思ったからだよ。」


「それは夏休みが終わるころに決めるんじゃなかったですか?何で急に?」


「そーよ!何で急に結果を決めちゃうの?もう少し時間をかけて決めてもいいんじゃない?」


ハナザワさんがつらそうな顔をして俺を問い質してきた。ナツキもハナザワさんの意見に乗って来たが、俺は気にせず話を続けた。


「時間をかけても俺の意見は変わらないよ。それじゃあ結果だけど、ごめん!俺はナツキともハナザワさんとも付き合えない!」


俺は頭を下げて結果を伝えたので、2人の表情は分からなかった。


すぐに頭を上げる勇気もなく、しばらく頭を下げ続けていると、ナツキが、「何でよ?理由を教えてよ!」と聞いてきた。俺はゆっくりと頭を上げると、2人とも瞳がうるんでいるように見えた。


「それは俺がカジワラを本当の彼女にするって決めたからなんだ!だから、形ばかりの彼女はもう必要ないんだ。」


「でも、カジワラさんは愛人にしかなりたくないんでしょ⁈セイが本当の彼女にしたくても、なってくれるかどうか分からないでしょ!」


「うん。そうだけど、もう諦めるつもりはないんだ。俺がカジワラを変えてみせるよ。」


「何でセイがそこまでするの?」


「それが俺がカジワラを好きになったきっかけだからだよ。」


「え?」


ナツキだけでなくハナザワさんもきょとんとした表情をしていた。


「ナツキとハナザワさんには俺を好きになった理由を教えてもらったから、俺も俺がカジワラを好きになったきっかけを教えるよ。聞いてもらえれば、俺の気持ちも分かってもらえるかもしれないしね。」


ハナザワさんはともかくナツキは納得できるとは思えないといった表情をしていたが、俺は俺がカジワラを好きになったきっかけを話し始めた。


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