第100話
俺の家から○○公園までは歩いて50分以上かかる。バスを使えば20分ぐらい時短できるのだが、ナツキが、「歩いて行こう。」と提案してきたので歩いて行くことにした。
ナツキが肩にかけてるバッグがこの前のデートの時よりも重そうだったので、一応、「俺がバッグ持つよ!」と提案すると、ナツキは、「ありがとう。じゃあお願い。」と今回はすんなりバッグを渡してきた。
今回と前回の違いは何だったのだろう?と心の中で考えながら、バッグを受け取ると思っていたよりも重くてびっくりした。
公園に向かっている間はナツキの方から推理小説の話題を振って来たので、そのまま推理小説の話をしていた。ナツキは部活で忙しいはずなのに、俺がハナザワさんに薦められて読んでいるガリレオシリーズを3冊読破していた。そのため、○○公園に向かうまでの時間つぶしには十分なった。
だが、1つ気になることがあった。ナツキはなぜ推理小説を読むようになったのか?ということだ。おそらくは俺が読むようになったからだと思うが、俺が推理小説を読むようになったのはカジワラの趣味に合わせるためだ。ナツキはカジワラの趣味に合わせた俺に合わせてくれてることになる。いくら好きだと言っても、そこまでするものなのか?いや、好きな人と話を合わせるためならそのくらいするか。そうなると余計にナツキがいつから、そしてどうして俺を好きなのかが気になる。
どうする?聞いてみるか?う~ん?いきなり聞いても答えてはくれないだろうからタイミングを見計らってだな。
そんなことを考えてるうちに○○公園に着いた。
○○公園には来たものの、着いてから何をするのかはナツキから聞いていなかったので、「なあ、公園に着いたけど、この後はどうするんだ?」とナツキに尋ねた。
「とりあえず、公園の中を歩こうよ!」
え?公園の中を歩くだけか?と口に出しそうになったが、○○公園でデートすることになったのは、ナツキが俺の懐事情を考えてくれたからなのを思い出し、すんでのところで踏みとどまった。
「分かった。この公園に来るのも久しぶりだもんな。」
「そうだよね。あ!さっきの話の続きなんだけどさ……。」
○○公園に着いたが、向かっている間と変わらず、歩きながら推理小説の話をした。公園の中は親子連れで来てる人たちが多かった。とても微笑ましい光景だったが、俺とナツキはどう周りの人たちから見られてるのかが気になった。
公園に高校生がいても問題はないのだが、高校生ならもっと楽しく遊べる場所に行くんじゃないか?いくら○○公園が大きい公園だと言っても、高校生が遊んで楽しいところなのか?と思われてるんじゃないかと不安になってきた。制服を着てるわけではないので周りの人に俺たちが高校生だとバレることはないのだがとても不安になった。
今からでも遅くはないはずだ!ナツキに別の場所に行くことを提案しよう!と思い、ナツキの顔を見ると、楽しそうに推理小説の話をしていた。それを見た俺は、自分が不安に思っていたことがすごくくだらないことに思えてきた。それからは周りの人たちのことは気にせずにナツキと推理小説の話をすることを楽しんだ。