TFC(チャンジャム・フラウ・コーポレーション)
TFC
車から降りエアポートバスに乗り込む、上海空港は何度となく拡張されており今では1日300本と言う発着数を誇るマンモス空港となっている。
だが現在はウィルス拡散防止の為一日の発着数は10分の1に制限されている、それでもこの国の北側にある空港が全て利用不可能な為現時点ではこの空港の発着数が一番多い。
エアポートバスの乗車時間は7分ぐらいだが全て燃料は電気を利用しており自動でコースを回っているので歩くよりは当然楽だ。
22番ゲートの10時発上海→福岡行に乗る予定、現在時刻は9時、ロビーにて座って待つこと10分、そこへ彼女らの両親が現れた。
チャンジャム・キルム
「おおいたいた 大丈夫だったか?」
「だいじょうぶだよ」
メイリン・キルム
「お父さんたら心配性なんだから」
思っていた通り優しそうなお父さんとお母さんだ、4人はすでに何回も渡航しておりパスポートも持っている、今回航空券は父であるチャンジャム氏が用意した。
「君がバイロ君だね、お世話になったようだね」
「初めましてバイロです、お美しいお嬢さんたちをお守り出来て幸いです」
「お父さんバイロは一緒に来れないって」
「なぜ?君は日本人だろ?」
「その前にお父さんトイレに行きたいのですが、お父さんも一緒に」
「ああそうだね私も催してきた、行きましょう」
バイロはこの人なら大丈夫だろうと秘密を明かすことにした一部は隠したままにするが、そうしないとITの会社を経営するぐらいの人物に自分の事を隠し通すのは無理がある。
整合性の無いかけ離れたことを言っても嘘だと思われるからだ。
トイレに入ると身障者用の個室に父親を招きカギを掛ける。
「娘たちには言えないことがあるんだね」
「そうです、ですがこれだけは信じてください、僕はお嬢さん方を守りたい。本当はこの国の人全部を助けたいけどそれは無理、だから仕掛けをしてあります、全て話すとあなたに危険が及ぶ、しいては娘さんたちにも及んでしまうのでこういう形を取ります。聞いた話を信じるか信じないかはあなた次第ですが…」
「大丈夫だこの国で何が起こっているか嘘の情報にはもううんざりしている、かまわない話してくれ」
バイロは自分に掛けていた魔法を解く人化の魔法を…
「この体は蟲化人の体です、だが中身は60歳の日本人、この国はバイオテクノロジーを利用してこのようなことをしている、但し成功したのはこの1体だけです、そして私の能力でこの身体を操っています、この体に脳はあっても中身がないからです」
「驚いた…日本でいうならぶったまげたかな…それにしても ムムム」
「見ての通りこの体はオスですが性器はありません、お嬢さん方に手出しはしていませんから安心してください」
「いやそれは別に、考えてはいたが…娘もいい年だし」少しうろたえる
「お嬢さん方には秘密ですよ、魔法で人間の体に見せていたのですからばれると殺されます」
「それは怖い」
(ほんとに怖いみたいだ)
「今現在保護区となっている自治区の蟲化人は全て人との合成ではなくただの巨大化です実は蟲化人の研究は失敗していたのですが、しつこく続けていた研究員がいてこの1体だけ成功したらしいです、もちろんこれも絶体に秘密ですよ」
「それはわかった」
「本題ですがこれから数か月先にクーデターが勃発します、しかもこの国全土で、僕はそれを見届けます、あなたは日本の事務所で行く末を見守ると同時に反政府側の人を援助してほしいのです」
「それは構わないが…今私の会社は業績が悪くできることは少ないぞ」
「かまいませんできることで良いのです、まずは自分が安全かという事です、そのためにある事をしてください、すでにお嬢さんたちには教えてあります、それから日本の気功術協会を頼ってください、たぶん力になってくれます」
「気功術、日本の現地法人からうわさは聞いているが」
「また魔法を掛けますね」
バイロは人化の魔法をかけついでに気功術を纏う。
「この光も全て気功術なのです、そして気功術を覚えればウィルスを97%排除できます」
「それは本当なのか?」
「間違いないです」
「君は私の会社で何を作っているか知っているね」
「調べさせていただきました、小型PCとドローンですね表向きは」
「医療部門ではウィルスの研究もしている」
「気功術とウィルスそして特効薬やワクチン、あなたの会社は数百年後それらの部門では世界の5本の指に入る大企業になります」
「本当か?」
「未来の事ですから確定ではありませんが、今後あなたがある計画を実行し開発に取り組めばそれが夢ではなくなります」
バイロはジェシカの時代の時このチャンジャムが経営していた会社の名前を憶えていて同じなのを知った。
TFCちなみに傘下の会社にはTMCという会社もある。
会社名に娘の名前を付けるぐらい親ばかなのは否めないが、娘の名前を聞いた時にもしかしてではなくこれは必然なのかと感じた。
アスラの時代のドローンやジェシカの時代のエアバイクそしてイヤーモニターやデータ感知チップなど製造や組み立ては別会社だったりするがその中に部品として使われている気功を使った噴射システムの根幹はTFCグループもしくはTFC傘下の製品だった。
「残念ながらこの国ではもう作れないでしょうけどね」
「たしかにそうだね、クーデターが起きれば会社なんか有ってもただのガラクタだ」
「あなたは日本にも支社をお持ちだし、日本の会社とも取引がある。僕が勧めた技術で特許を取れば瞬く間に会社を大きくできますよ、但し日本の状況が就労ビザだけで何年住めるかは分かりませんが裏技は色々ありますし大丈夫でしょう、それも含めて一人の名前を覚えておいてください。日本の気功術を大きく広めた人です名は多賀秀樹現在の名は解らないですが生きていれば340歳になっています」
「340歳⁉」
「私の名前です」
「信じられん話だが、先ほどの魔法と言い全体の言葉には嘘はないと信じざるを得ないな」
「有難うございます、それじゃすることしちゃいましょう小便です」
「ああ忘れていたよ、そうか君は出来ないのだったな」
「全くこの国の政府には参りましたよ」
「私も同じようなものだがね」
「ははは」
チャンジャムとの話が終わり気功術をレクチャーし小用を済ませトイレを出ると、すでに出発時刻を迎えていた。
「お父さんたち遅い~」
「まったく年寄りは長いんだから~」
「あら夜はそんなことないわよ♡」
4人は見送るバイロを残し福岡行の航空便に乗って行った、この国での俺の仕事はクーデターの後押しと確認その後はこの体を日本の自分へ届ける事。
いまさら隠すこともないか、そう多賀秀樹は気功術を使いこの時代もまだ生きているが、たぶん寿命はあと何年と言う所だろう。
そこに夢憑依ではあるが俺がこのボディの中にいる、できすぎてないか?そうおれもそう思う。
魔法で自分の魂を移すかまたは魔法で同化するか、同化なら蟲の血はクウォーターとなるのでたぶん人族の男として機能は失われず普通の食物を食べることも可能となるはずだ。
今この体(蟲化人)のキャパシティを調べると使用年数(寿命)に∞(無限)マークが出そうなぐらい魔力(気功力)もあふれている。
蟲の身体なのに寿命が無限大、たぶん突然変異か何かなのではと思う、今の情況では調べようが無いので理由はわからないが、これもあわせて運命なのではと考えざるをえない。
まあこの時代の俺に同化すれば少し寿命が減るだろうけど、それでも千年どころか万年はいけるんじゃないかと思う。