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夢憑依Ⅳ(蟲化人誕生、進めこの世界のために)  作者: 夢未太士
第4章 第一部 蟲化人の矜持
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ミーチャ・キルム

ミーチャ・キルム


フラウが電話に出るとそれは妹さんからの電話だった、気付いていたがこのマンションは女性の臭いしかしない、なのに靴や歯ブラシが2人分ある。

そう姉妹で住んでいるのだ、サイズの違う靴の数や洋服の趣味それから二つある寝室。

さすがに半分蟲の体なわけで嗅覚と聴覚は優れており遠く離れていても匂いや音はかなりの精度でかぎ分けられる。


「これから妹が来るの、どうする?」

「どうせなら説明しちゃいましょう」

「なんて?」

「君の彼氏とでも、言っておけばいいよ」

「いいの?♡」

「かまわないよ」


せっかくなので姉妹そろって気功術を覚えてもらって、さっさとこの国から逃がさないと。

せっかくお金持ちの家に生まれているのだから、こんな国にいる意味はない。


ミーチャ・キルム

「ただいま」

「おかえりなさい」

「ねえお姉ちゃん軍隊がいっぱい出てるんだけどニュースでやってない?」

「やってないよ」

「ふーん それより男物の靴が有ったけど誰か遊びに来てるの?」

「そうだよ、紹介するわ 私の彼氏よ」

「初めましてバイロです よろしくね」

「ええ~ 今まで男に見向きもしなかったのにどうしちゃったの?」

「今日警察の検閲に引っかかって連行されそうなところを助けてもらったのよ」

「ええ~今日?」

「そうよ悪い?」

「お姉ちゃんはもっと固いと思っていたのに」

「あら有難う、誉め言葉と受け取っておくわ」

「姉妹の話に口をはさむようだけど、ちょと良いかな?」


そう切り出すと二人にソファへ座ってもらい現在の事を2人に話すと親御さんにも話してもらうように説得した。


「と言う訳でウィルスがこの町にもすでに蔓延する可能性が高い」

「それでなの?」

「私はすでに仕事が少なくなっているから構わないけどミーチャは?大学はどうなっているの?」

「学校の皆は又いつものインフルエンザぐらいにしか考えていないみたい」

「そうか俺はすでにこの国の北側を全部見てきた検問が数千キロにわたって敷かれていて、軍隊も警察も沢山駆り出されている」

「お姉ちゃんどうするの?」

「もちろん日本へ行こうと思う、今なら間に合うと思うし」

「今じゃなければだめなの?」

「早ければ早い方が良い、向こうへ行って情報を得られればこの国が今どういう事になっているか解るはず。長い期間ではないからほとぼりが冷めたら又帰ってくればいい。」

「長い旅行という事ね」

「父に電話かけてみるわ」


そういうとフラウはIT企業の社長であるチャンジャム・キルム氏に電話を掛けた。


「そうだミーチャも気功術を覚えてみないかい?」

「なにそれ?」

「この国でいえば太極拳に近いかな…私がやってみるから真似てみて」

「うん」


バイロが気功術を始めるとミーチャはジッとそれを見て真似てみる、ミーチャの気が全身を回ったころを見計らってミーチャの腕にバイロは手を触れ。


「今 体中に回した気をこの腕のところに集めてごらん」


するとバイロが手を触れたミーチャの腕が淡く光り出す。


「なにこれ?」

「これが気功術の初級です、これをいつでも出来るようになるとウィルスに対抗できます」

「そんなこと聞いたことないよ、本当?」

「ウィルスどころか極めればどんな病気にも対抗できるし、暴漢からも身を守れるよ」

「この気功術、実はもうこの国以外では取り入れている、ウィルスから身を守るためにね、この国はそれを隠しているのさ」

「え それじゃ他の皆は助けられないじゃない?」

「悪いがもう遅いんだよ、この国の政府による粛清はウィルスの拡散によってもう止められない、だから君たちを逃がし外からこの国の皆に手助けしてもらう」

「今からでは気功術を教えられないって事?人が多すぎて」

「そう 教えられても数百が良いところだ、しかもこの国の人間は政府の思考誘導で特に日本の物を毛嫌いするように教えられている。気功術が日本のものだと言うだけで粛清の対象になるだろう」

「そうかも…」


フラウの電話が終わった。


「聞いて、お父様も賛成してくれたわ、どうやら経済界のトップにはすでにウィルスで危ないらしいことは知っていたみたい」

「それじゃ用意しよう善は急げだ」

「父との待ち合わせは明日にしたけど大丈夫かな?」

「大丈夫明日なら余裕で間に合うよ」


ウィルスはすでに検問をしてもダメなぐらい蔓延している。

昔のように非常事態宣言での外出禁止や、お店の閉鎖ぐらいでは防ぎきれない。

今回のウィルスはそれほど毒性が強く感染し発症すると1週間で死に至ると言う、軍人が持っていた情報に書いてあった㊙事項だ。

兵の司令官クラスは特効薬をすでに配られているが、末端の兵にはそんなものは見当たらなかったので、本当にこの国は人間を使い捨ての道具としか見ていないのだろう。

今はまだ夏場で風向きが北に向かっているが秋から冬になると風は南に向き流れるその風に乗って死のウィルスは確実にこの国の人間を死の淵に追いやるだろう、すでに何億もの国民が犠牲になった…知らないという事がいかに危険か。


「バイロも行くんでしょ 日本」

「俺は最後までこの国にいるよ、行く末を見届けなけりゃならないから」

「なんで?一緒に行こうよ」

「ごめんね無理なんだよ、だから君たちを逃がすんだから」

「じゃあ私も残る」


ああなんか又恋愛ものになっているな…ここは心を鬼にするしかないか…

バイロは隷属の魔法をかける。


「ごめんよ、君は日本へ行きこの国の情報を手に入れ日本から手助けする解ったね」

「解りました」

「それ以外はいつも通りで暮らすんだよ」

「はい♡」


バイロはそう命令するとフラウにキスをした、なぜかフラウの目からは涙が滲んでいた。


「それじゃ用意の続きをしよう、持ち物は少なく まあ女性にそれは難しいか」

「難しいです (笑)」


その日の夕飯は3人で摂ることになった、彼女らは明日この国とお別れする、もしかしたら本国での最後の食事かもしれない。

バイロは飲み物しか取れないがダイエットだと思われたのかそれほど不思議には思われなかった。

その夜フラウはバイロにベッドで一緒に寝た、彼女がそうして欲しいと懇願するので、俺とフラウは抱き合って寝ることになった。


俺は彼女が寝入るまで彼女の黒髪を撫でていた、まるで娘のように。

翌朝彼女の運転で上海国際空港まで行き彼女の両親と待ち合わせることとなっている。

上海市にはもともと大学が沢山ありその中の上海芸術大学にミーチャは通っていた。

空港までは車で約30分両親は昨日すでに会社がある広東市から出発しておりアクシデントが無ければ、予定通り朝10時の上海→福岡便に乗ることが出来るだろう。

車は何事もなく空港の駐車場へと入っていく、この駐車場は空港利用者であれば料金が発生しない。

但し止めた車の所有者や住所電話番号などの登録が必要で長期利用の場合は事前に報告しなければならない。


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