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夢憑依Ⅳ(蟲化人誕生、進めこの世界のために)  作者: 夢未太士
第4章 第一部 蟲化人の矜持
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手始めに軍人を洗脳

手始めに軍人を洗脳


「全く今回はひどい、この状態で何をしろって?」


バイロ(中身は60のおじさん美容師)はこれからどうするか悩んだ、たぶん何かしてほしいからこの場所でこの体に憑依させたのは解るが。

その意味が全く見えない、もしかしてこの国をつぶせとか…

この国は共何とか主義で西暦2020年でもろくなことはしていない、人種差別は当たり前で宗教すら弾圧する。

どの国も手出しができないアンタッチャブルを気取っている、つぶすなら中からか、もしかして俺にそれをやれと言うのか。

(まじか…)

気功術をさらに体に纏わせ、現在使用できる魔法を探ってみる発現させなくても気功術を纏う状態で意識を少し各エレメント(火水土風光無などの各属性)側に振ってみれば解るのだ。


「この体…すごすぎる、獣人の比じゃない!」


この時代の中国は自然がほとんど破壊されて、しかもウィルスやら核実験やらで自然にあるはずの魔素が非常に低くなっている。

それでもこの体には獣人の5倍以上はありそうな魔素(気功力)があふれている。

この時代この世界では獣人でも放出系の魔法は使えないはずだったのだが、この体ならどんな魔法もほぼ無詠唱で使えそうだ。

ならばこの国の親玉を隷属魔法で操り民衆を決起させて内乱を起こすのも難しい事ではない。

(まずは軍関係の情報確保から進めるか…)

そう考えるとバイロは研究施設から外へ出ることにした、研究員には何事も無かったかの様に過ごせと隷属魔法をかけ、ついでに蟲化人は死んでしまって溶けたと報告するように命令しておいた。

感知魔法では一人しか研究所にいないようなのでそのまま外に出ることにした、まずは軍人を探そうと試みる。

確かこの国の軍人は制服を着ていたが警官はほとんど私服だったと覚えていた、時代が違うので定かではないが。


建物の目の前の道を道路に沿って歩いていく、研究所は町から20k以上離れた場所にあり周りには研究棟しか見当たらない。

研究所から少し歩くとゲートがあり詰め所も見えたが時間が遅いからか詰め所には誰もいなかった、バイロは用心のため隠匿の魔法をかけるとフェンスを軽く飛び越えた。

人を傷つけることも物を壊すこともない、だが何があるか油断せずに計画を進めて行くことにした。

今回も自分が殺生を犯す事は極力避ける、そしてできるだけこの国の人に戦ってもらう、自分が表に出ることは極力避けようと考えた。

自分で戦かった方が早いし楽だと思われるが、俺はそんなに戦いが好きなわけでも血を見たいわけでもない。

自分では手を下さず警官か軍人を隷属して命令するのが一番手っ取り早いと考えたからだ。

俊足の魔法をかけ時速50kぐらいに抑え走りだす、早すぎると見落とす可能性が高いしこの身体に慣れるにはもう少し時間がかかる。

町までの途中で、こちらへ向かう車はさすがに1台も見られなかった、時刻は夜10時を回る頃だろうか。

山間部からやや開けた場所に出ると遠くに町の明かりが見えてきた。

道路にはところどころ穴が開きアスファルトはかなり凸凹だ、町はそこそこ大きそうだが、まずは情報を得る事。

町の手前でスピードを落とし隠匿の魔法はそのまま、さらに人化の魔法をかけ繁華街へと歩いていく、この時間町の外には人が殆ど居ない。


しかも街灯は少なくバイロの複眼でも暗くて見えにくい、自然とバイロは補助魔法で視界を補助する。

そのままどんどん歩いて行くと軍人がバリケードを張っているのを見かけたので。

まずは近くにいる軍人に近寄ると魔法をかける、広範囲隷属の魔法を展開そして配置されている軍人9人に触れ隷属の魔法を固定するとその中で一番偉そうな軍人へ質問する。


「ここは何処だ」

「ここは甘粛省蘭州市の南だ」

「それでお前たちはどうしてここにいる?」

「我々はここに検問を作りこの北側の町からくる者を捕まえ又は逃げ出してくるものを捕縛するために派遣されている」

「お前たちのほかにも兵隊は来ているのか?」

「この町には50人配備されている」

「お前がこの部隊の一番上か?」

「いや俺は三番目だ、一番上はこの町の一番大きな建物の中にいる」

「その建物は?」

「あそこだ」


将校が指を指すと確かに10階建てはありそうな大きな建物にだけ明かりがともっていた。


「お前たちはこのまま仕事を続けろ、但し民間人に危害は加えるな」

「解った」


バイロは将校が指を指した建物に向かうとそのまま建物に入り、サーチ魔法で偉そうな気の流れを検索、そいつがいる部屋へと入って行った。

ひとりでに開く扉そして風だけが司令官の頬を薙いだ。


「ん?」


知らないうちに魔法で隷属化されるので、ほとんど何があったかも分からないはず。

バイロは隷属の魔法を使い司令官の体に触ると隷属の魔法を固定化した。


「お前がここの司令官で合っているな?」

「そうだ」

「では聞く、何のためのバリケードだ?」

「ウィルス発生の為、この北側の人間を入れないようにすることが我々の今回の仕事だ」

「どのぐらい汚染されているかわかるか?」

「吉林省 河北省それと自治区はほぼ全滅だと聞いている」


全くこの国は……


「今は西暦何年だ?」

「西暦2300年だ」

「お前はこのまま仕事をしろ、但し国民を傷つけるな」

「解った」


バイロ

(西暦2300年かこの年確かこの国は一回滅びるはず)


頭を巡らせ前回までに訪れた時代と過去に見た歴史の足跡を照らし合わせ、この国の未来を想定し、自分の立ち位置や何をして良いか何をしてはいけないかを考える。


「地図は無いか?」

「ここに」


地図を見るとすでに国の半分がウィルスに汚染されて手の打ちようがないほど進行しているようだった、地図には汚染度により赤ペンで斜線が記入されておりこの地区はこの町が最前線らしい。


「お前らも外れくじを引いたみたいだな」

「我々は軍人だからな」

「お前たちに命令をしておこう、これからウィルス騒ぎが少し落ち着くまでは中央司令部の言う事を聞いて行動しろ。その後は国民のために立ちあがり現政権が民主主義になるまで戦え」

「了解した」


バイロはこの日からウィルス汚染の最前線とみられる検問を片っ端から回り同じように軍人や警官を洗脳していった。

朝までに完了したのは約半分ぐらいか、この国はやはり国土も広く山も多いので途中からは空を移動したが。空の移動はせいぜい時速300kぐらいしかスピードが出なかった。

思ったより魔素が薄い、夜が明け町の明かりが徐々に朝日と交代する頃、腹が減ったので前線から離れたまだ汚染が進んでいない町へ寄る事にした。

ここは南京市の中心部、この町に来てからビルの陰で隠匿の魔法を解除、人化の魔法はかけたままにして置く。

そして人の姿のまま町を歩くと、ここにも軍人や警官が、面倒なのでこの一帯半径100mの軍人や警察官に隷属の魔法をかける。

素早くタッチしお約束の呪文を耳元でささやく、そして彼らに質問する。


「ここの司令官は?」

「あそこにいる」


またもや大きな建物を指す、この国のお偉いさんは高い建物が好きなのか、まあ時代が違うので確証はないが。

とりあえず会いに行くか…

今度は7階建てだったが中はショッピングモールのように広くいろんな店が出店している、戒厳令の為か客の入りはまばらだった。

そこを一人歩いていく、警察が何人か気付きこちらへやってくる。

追加で隷属の魔法を広範囲に放ち、素早くタッチして固定。

警官には今までと同じように命令し、別の場所にいた制服を着た軍人には司令官の場所を聞く、この地区の軍部司令官はショッピングモールの2階事務所にいるらしい。

そこへつかつかと入り込み同じように隷属の魔法を起動、素早く触り固定させ質問タイム。


「これからウィルスが落ち着くまでは中央の命令を聞き、落ち着いた後は国民の為中央政府と戦うこと、そして国民には怪我をさせないこと」

「解りました」


とりあえずこれでこの建物内は安心して行動できる、バイロは管理室を出てショッピングモールを歩き食事が出来そうな店へ足を運ぶ。


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