凱旋帰国
凱旋帰国
バイロには当然だがパスポートが無い、魅惑の魔法や隷属の魔法を使えば飛行機ぐらいは乗れるのだがそうすると福岡かまたは成田辺りから新潟へ向かうようになる。
今のバイロなら隠匿の魔法と飛行の魔法で海を渡る事も可能だ。
飛行の魔法で海を渡れば3時間もすれば新潟に着く上海空港から飛行機に乗った場合乗り継ぎで8時間はかかるだろう、自前で空を飛んだ方が面倒がなく近いし早い。
バイロは隠匿の魔法と飛行の魔法そして身体強化の魔法・防御魔法を3重に掛け、人気のない場所から日本海へと飛び立った。
空から多賀の気を探る、自分なのに何だか懐かしい気だこの体が自分と出会いどうなるのか?その時この体にある自分の意識は?色々と考えているうちに大きな陸地が見えてきた。
やっと帰って来た スピードを緩め多賀の気を頼りに飛び続ける、中国からでは多賀の住所は解らなかったが。ここまで近くにくれば向こうも解らないわけがない。
越後湯沢の駅から少し離れたマンションに強い気を感じその建物の近くの公園に降り立つと隠匿の魔法を解く。そこからは普通に徒歩で多賀の住むマンションへ行きインターホンで多賀の部屋を呼び出す。
「待っていたぞ」
「ああ・・やっぱりいたんだな」
そう言葉を交わす正面玄関の自動ドアがすっと開き中へ入っていく。
多賀の部屋は8階全フロアが彼の家だった。
中に入るとなかなかおしゃれだったが本棚にはラノベの本がずらっと並び気功術で得た賞状や盾が何枚か飾られていた。
「お邪魔します 」
「よしてくれ、君の家でもあるのだから よそよそしい」
「自分に挨拶するのは恥ずかしいな、だが今日でこの体ともお別れだこの体は保存するのか?」
「いや俺がその体と同化する、そうしないと俺自身の体はもうもたないからな、同化と固定それから質量安定その他もろもろな、足りない部分は魔法陣でカバーする。この魔法自体は他人に任せられない。知られたら相当まずいことになる」
「そうか・・それにしても340歳か、よく生きられたな」
「ああそのための魔法を教えるから頑張ってくれ、そうすれば若い体を手に入れられる」
「ああそういう落ちだったのか、どうだそこまで生きてて楽しいか?」
「ああそれなりにな、それにこれからの方がもっと面白いかもしれないぞ」
「へ~そうなんだ・・・」
「そういえばチャンジャムはここに来たか?」
「ああ来たぞ娘もな」
「良い子だろ」
「ああ知ってる、中国に残したジュディもな、その体を手に入れたら会いに行くよ」
「そのために280年我慢するのか・・・長いな先は・・」
「過ぎてみればあっという間だ、ただ自分より仲間や家族が先に死ぬのはつらいけどな」
「そうか そうだよな娘も息子ももう居ないのか・・・」
「ああ途中で魔法を教えたから170歳まで生きたけどな」
「俺達みたいに事前の気功術知識があるわけじゃないからな」
「それでも孫や曾孫までいるから、なかなかに面白いぞ」
「それは楽しみかも」
その夜バイロと多賀は夜遅くまで語り合い多賀が用意した儀式用のベッドでバイロは眠りについた。