軍の黒幕
軍の黒幕
軍の黒幕、タオフウ・ショウはすでに息絶えていた、自宅で拳銃を頭にあてて引き金を引いた、自決の覚悟を決めたのだそれが彼の最後になった。
彼の家にはすでに家族の姿はなくそれぞれが親族のつてを利用して国外へと逃げていたタオフウの親族は飛行機を使いヨーロッパ方面に逃げたものが多かった。彼らは逃げた先で過酷な運命をたどるとは思いもよらなかっただろう。
逃げた先ではすでにウィルスによって町が死に瀕していることなど分からなかったのだから。
タオフウの娘ミンチャオ・ショウはウラジオストックにいた、息子1人と娘1人夫の陸軍将校ガジュハン・コウオと一緒に、本来飛行機はフランスへと向かうはずだった。
だが故障が見つかりその手前で緊急着陸、彼らは運が無かったこの空港には運航を継続するための整備士が常駐しておらず漏れ出た燃料の補給も出来なかった。
しかも乗客のほとんどがウィルス保持者と言う状況。
事実娘と夫はすでにひどい咳と熱に見舞われていて空港のロビーで毛布にくるまっていた。
「どうして飛行機が動かないの?ケホケホ」
「修理する人がいないからよ」
「ここにいつまでいるの?ケホ」
「今日だけよ、明日になればなんとかなるわ」
空港の係りに聞いたところ整備士は遠く離れた別の空港にいてそちらの修理が終わらないとこの空港には来られないらしい、運が良くて3日後天候が悪ければ1週間は空港に缶詰状態となる。そしてウィルスの蔓延、そこかしこで咳をする乗客が10人以上はいる。
ミンチャオは覚悟したここで皆死ぬかもしれないと、自分が何をしたのか?普通に生きてきたはず。
たった一つ後悔するとすれば父があのタオフウ・ショウだったからと言うだけ。そんなに贅沢をしていたわけでも無くお金持ちとは言え生活は一般の家庭と比らべてもごく普通だった。
翌日空港のロビーはウィルスに感染した乗客ばかりになり、救急車も病院も間に合わず。ただ死を待つしか方法が亡くなってしまった。数日後この空港はウィルス蔓延の為封鎖された、もう航空機が飛び立つことも無いだろう。
ロシアの各町もウィルスによって市民のほとんどが死滅して行った。運よく日本人の気功術を早期に受け入れたドイツやフランス西欧各国は国民の半数を減らしたところで歯止めをかけることに成功する。