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第3話


「ふむ……診たところ特に問題はなさそうですな」

「そうですか、ありがとうございます。お嬢さま、よかったですね」


私の信条は、迷っている暇があれば行動しろ、だ。

眠りについて、目が覚めたらリリアだった。ということは、これからもずっとリリアの可能性が高い。であれば、もうリリアとしてこの先の人生薔薇色にするしかない‼︎


「お嬢さま?」


手を握りしめて決意を新たにしていると、メイドとお医者さまが目を見合わせているところだった。

いかん。


「あ、あら、すみません。何事もなくて良かったですわ」

「きっとお嬢さまは明日の入学式の準備で色々と気疲れされたのだと思います。ではお医者さまをお送りしてきますので、まだお休みになっていて下さいね」


そう言い置くと、二人は早々に部屋から出て行ってしまった。


「明日の入学式……あ、明日?」


私の記憶だとゲームは入学式の時から始まったけれど、どうやらそれは明日の出来事らしい。

入学式当日起こるイベントを思い出さなくちゃ……。


確か、エミリエルがこれから始まる学園生活に期待を高まらせて門を潜ると、立派な学校の佇まいに驚いて少し立ち止まるのよね。

その後、どよめきが起こって、婚約者である皇太子のギルと私が連れ立って登校。

ざわめきの中進む私たちを見て、まずギルの美しさに目を奪われるんだった。


この時のスチル、花びらが舞う中、ふわりと揺れた髪をかき分けて目線をくれるギルがまあ格好良くて……。


って、そんなことはどうでも良くて!

私、早速ギルと登校しなくちゃならないのでは?

というか、そこからエミリエルに対して怒涛のいびり倒しもしなくちゃなんないのよね……。


学園は男子と女子でクラスが違うから、途中からエミリエルと私でクラスに向かうんだけど、そこで「本当は庶民のあなたが来るべき場所ではない」とかなんとか言ってラウンドスタート。

家の格だとか、所作がなってないとか、すっごい細かいところでいちゃもんつけたり、あらぬ噂を立てたりするんだった。


「めんどくさ」


ってか、今時家柄とか関係ないから! 能力あればそれでオッケー!

能力があるから聖女になったんだし、乙女ゲのヒロインたるもの、難ある性格にはされないでしょう。


「よーし、もう明日の入学式で婚約破棄しよ。んでもって学校も退学しよ」


正直大学まで学びっぱなしだったし、今更何かを学びたいとも思わない。それに、役柄に沿ってエミリエルをいびるのも面倒臭い。全てから解放されて、自由に行動したい!


OL時代にすっかり忘れてしまった満面の笑みを浮かべ、

「なんだかすっごいワクワクしてきた!」

と、ベッドから飛び降りると、柄にもなくネグリジェの裾をひらめかせながらくるくると回った。


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