出会い。
「えっ、ちょ…っ」
名簿を目で追うと今まで遭遇を避けていた
生徒会メンバーと目が合った
「あはは。北村さんすごい顔になってるよ。」
学校指定の学ランの中に水色のパーカーを着た180センチの男
及川翔は恵里の頬を人差し指でつつき流れるように頭を撫でた
教室中に響く悲鳴
恵里は気まずさとこれからのことを考えながら
その男から距離を取ろうと後ずさると人にぶつかった
「あ、すみません。」
自分の不注意でぶつかった相手に謝ろうと振り向いた。
恵里が反応するよりも先に及川が気付いた
「お。井本も見るー?」
及川に井本と呼ばれた男は恵里の横を通り過ぎ
クラス名簿を受け取ると自分の隣の席が恵里だと知り
視線を恵里に向けるも興味ないとばかりにすぐに逸らした。
そして何事もなかったかのように自分の席に歩き出した。
この学校では生徒会がすべてだ。
そしてひとつの例外もなく生徒会は男子のみで形成されている
生徒会に属するとモテる。
故に生徒会に入りたいと申し出る者も多いが
ほんの数日で辞めていく
彼らにはプライベートが一切ないのだ。
ただの男子高校生がファンクラブやら親衛隊なんてものまであり
見知らぬ女子生徒から追い掛け回される日々
恵里は風の噂で耳にしていたが
今年まで同じクラスになったことがなく油断していた。