勝ちグセ
しばらく相棒は歩いていると、彷徨う剣道家に目を付けたようだ。
剣道三倍段という言葉があるように、モンク系の者にとっては
とても挑み甲斐があるとして人気の相手だ。
といっても、中は空っぽなのでとても軽く、ごり押しでも倒せはする。
しかし、軽装のモンクでは、竹刀で叩かれると、洒落にならないだろう。
面、胴、小手、突き、どれか一本とれば、昏倒するが、竹刀をかいくぐり間合いに入ってもつばぜり合い
があり、驚く羽目にもなる。やはり、挑み甲斐のある相手である。
それと、得物が竹刀で軽いため、連撃やフェイントもある。
相棒、彷徨う剣道家、共に構えに入る。
相棒は吾輩の小手の部分を向けて、彷徨う剣道家は正眼の構えと上段の構えを
5秒おきに交互に構え直している。
正眼の構えは振りが速く、上段の構えは威力が増すだろう。
彷徨う剣道家が正眼の構えをとった時、相棒が動いた。
竹刀を左手の小手で上へ軽く払いそのまま潜るように、突進。
彷徨う剣道家はバックステップでかわすが、相棒のほうが速い。
いいダッシュをしている。
相棒の間合いになった時、彷徨う剣道家がつばぜり合いのそぶりを
見せた。
それに対し相棒は右手のこてで応戦。
彷徨う剣道家は中は空っぽで軽いので、後ろへ吹き飛ばされ、体勢を崩している。
そこへ、相棒が追撃に走り竹刀を左手のこてで横にはじき、前蹴りを胴へ喰らわせた。
彷徨う剣道家は昏倒し、やがて薄くなって消えた。相棒はまた少し勝ちグセを得て、
称号が三倍段になった。自身の能力が1.3倍になる称号である。挑み甲斐のある相手だけでなくなく
、勝ちグセも美味しいのである。
『よし!これ位にするか!』
相棒はこう言って、家路についた。