第1話 終わりの始まり
7日後、私たちの星である「レオンヴァイド」は消滅する。
いきなり告げられた余命宣告。余命あと7日!このニュースはもうすぐ17になろうとしている私にはとても衝撃的すぎたニュースだった。
私の住む村「ラフイブ」は人口わずか数十人で、山に囲まれ、近くに川も流れていて動物たちも沢山いる自然豊かな村だ。その中でも子供は私を含め、たったの2人だ。毎日、母さんの手伝いをし、獣を狩り、畑を耕す日々が続いている。
今日は少し休憩がてら村を散歩している時、暇だったという理由で会話を盗み聞きしようと思い立ち、1番言葉が飛び交いそうな場所はどこだろう?と考えていたら、村長の家が見えた。
「そうだ!村長の家なら人がいっぱい来て色んな会話が聞けそうだぞ!」
そう思い、私は村長の家の近くで隠れて人を待った。
この行動が後に知りたくもないことをしってしまうことになる。
事の発端は村に住む還暦をすぎたくらいの占い師と、この村の村長との会話からだった。
「村長さんや、この村の長であるあんたにちょっと言っておきたいことがあるんじゃが…時間あいてるかのぉ?」
「あまりいい知らせとは言えんがのぉ…」
占い師の爺さんが村長の家を訪ね、そう言った。
「爺さん、良くない知らせってなんだい?俺のこのぶよぶよな腹のことを言いに来たんなら帰ってくれよ?俺はこのお腹に誇りを持ってんだ!」
いつもの何気ない会話のように聞こえたそれは次第に薄暗い色へと変化してった。
「そんな冗談を言える状況なら言いたいとこなのじゃが、残念ながら…そんなどうでもいい話をしている状況じゃないのじゃ。」
占い師の顔つきがさっきとは違う、険しい表情へと変わった。
「この村…いや、この世界が終わるかもしれん。」
占い師は村長の目をそらすことなくしっかりと見てそう言った。
「世界が終わる?どういうことだ?なぜそんなことが言える?俺にわかるように全て説明してくれないか?」
村長は少しパニックになっているように見えた。
それもそのはず。この占い師は嘘をつくことを嫌っており言うことは全て本気。そして彼の占いは1度だって外れたことがないのだ。そのことは住民のほとんどが知っていることであり、村長もそのうちの一人だ。何かを察したのだろう。
「わしが占い師を長年やっている理由は人や物の未来を見るのが好きだからというのは知っているかのぉ?」
「そりゃあもちろん。」
「何故か分からんがふと思ったのじゃ、この星の未来を占ってみたいと。わしらが生きているこの大地の数年後を見てみたいとな…」
星の未来すら分かるという発言を聞いて衝撃をうけた。この星の未来まで見えるなんて…
「そこで占ってみたのだが…ないのじゃよ…大地が…この星そのものが。」
「大地がない?…」
村長はまだパニックが続いているのか、頭の処理が追いついていない様子だった。
「そう、ないのじゃ。わしは必死にその原因を占ったさ。そして知った。今から7日後にこの星に超巨大な隕石が衝突し、この星は跡形もなく消し飛ぶということを…」
「隕石だと!?でも、そんな、7日後だなんていくらなんでもはやすぎるだろ!」
村長も理解したらしい。いかに今が危機的状況かということを。
「ああ、わしも正直腰どころか全身の骨まで抜けそうなくらいびっくりだったさ。自分で言うのもあれだが、わしの占いは必ずと言っていいほど当たる。こんなにも外れて欲しいと思ったことは今までになかったわい。」
「俺たちは一体どうすればいいんだ?このまま、分かりきった死を待てとでも言うのか?俺はそんなの嫌だ!」
村長がムキになって言った。感情が忙しい奴だな。
「確かに、生きたいと思うことも大切じゃ。じゃが、これが現実なんじゃ。わしらは運命という敷かれたレールのうえを進んどる以上、どうやっても世界が終わるという事実を避けることは出来ないのじゃ。それをあんたに伝えたかったのだ。」
占い師は終始真剣な顔をして長々と喋った。
「確かに、そうなのかもしれない。人はいつか死ぬんだ。それがただ早まっただけの事…」
さっきまであんなにカッカしてた村長が冷静に言った。
占い師が口を開いた。
「このことを、この村に住む住民達に教えるかどうかは村長さんに任せる。」
少し頭を抱えた様子の村長は、しばらくすると何かを決心したような落ち着いた声で村長は言った。
「このことは、他の住民には内緒にしておく。万が一占いが外れるということもあるかもしれん。それに、今この話をしたら、信じる人と信じない人が出てきて村に混乱を招く危険性があるからだ。」
村長の言うことも一理ある。でも、このまま何もしなくて死んでいってもいいのか?
「このことは、他の住民にはくれぐれもきづかれないように気おつけてくれ。知られたら…」
何故か村長が私には笑っているように見え、それが何故か恐怖に感じた。
どうやら話はこれで終わったみたいだな。そう思いこのことをみんなに知らせるために立ち去ろうとすると、どこからともなく声が聞こえた。明らかに自分に向けられた声だというのはすぐにわかった。
「そこで何してるのかなあ?」
第1話を最後まで読んでくださりありがとうございます。この作品が処女作なのでまだまだ至らない点がありますが、これからもどうぞごひいきに。これからも週に1度くらいのペースで時間帯は0時に投稿していくつもりですのでこれからの進展にご期待ください。また、もし良かったらレビューや感想も書いてくれるとこれからの小説制作のアドバイスや励みになりますのでお願い致します。