宇宙放浪組
「水の惑星、あれがチキュウか」
「座標データは情報通りだったな」
月の表面に着地した円盤型の船。
宇宙を旅する乗り物のなかには、地球人類と似た姿の生命体がいた。
「ニッポンだったよな?」
「そうそう、そんな感じの名前だった」
べつの銀河からやってきた彼らには、目的があった。
ゆえに情報を欲していた。
どの程度の文明なのか?
その文化は?
現在の地球人類に我々のような異星人がどのていど認知されているのか?
地球にきている他の異星人には気取られたくなかった。
自分たちで情報を入手しようと試みる。
簡単ではない。
思った以上に難航した。
うまくいかず、ほんのわずかな情報しか収集できない。
「翻訳は……未確認飛行物体……地球の男には飽きただと!?、 くそっ、どれだけ遊び尽したらそうなるんだ!!」
「おい」
「どうした!」
「いやお前がどうした!?」
「ダメ、この星の女もダメ、無理。もう行こうぜ」
「さすがに決めつけるのが早すぎないか?」
「いや、わかるね。おれにはわかったね。えっ、もしかしてお前、信じてるわけ? ヤマトナデシコとかいう女がいるって、本気で信じてるわけ?」
「バカ、ちげーよ! そんな怪情報とか信じるわけねぇだろうが! ワープする前からぜんぜん気にもしてなかったし! ちょっと水の惑星がどんなのか見ておきたかっただけたし!」
「それならいいだろ? おれ、中古惑星なんかに興味ねえから」
「おいおい、誰も手をつけてない宙域まで行く気かよ?」
「当たり前だろうが」
円盤型の宇宙船は、月の表面から離れ、理想をもとめて彼方へきえた。