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第4話 新たな決意

読んで頂いてありがとうございます。

次話から異世界で、本編突入になります!

 


 目を見開く。驚きと共に、復讐できるかもしれないという可能性に俺は食いつく。


「そんなこと、できるのか?」

「はい、あくまで可能性ですが。そんなに高くはありません。困難な道をいく事になります」

「俺以外が……例えばお前とかがやるのじゃダメなのか?」

「いえ、ダメではありませんが……私が直接干渉するのは少し影響が大きすぎますし、他に頼る方がいいですね。でも、私としては他の人間よりもあなたに頼みたい。私はあなたのまだ見ぬ可能性を信じています」


 俺は凡人だと思っていたが、何かあるのだろうか。急に信じられても困る。


「ーーそうか」

「もう一度言いますが、少ないとしても可能性ならあります。もちろんあなたは巻き込まれた身でもある。本来なら私がちょこちょこっと裏で働いて、あなたの次の人生をある程度は理想通りにしてあげるくらいです。億万長者だの、容姿端麗だの、ハーレムだの……」


 そんな事もできるのか。さすがは女神ってとこだな。女神を既に受け入れている俺もなかなかヤバいやつだが。


「もしこの話にのってくださるのなら、あなたは異世界召喚……いえ、死んだから異世界転生でしょうか?

 を、していただく事になります。あなたの世界でいう、ゲームとかマンガとかの世界に酷似していますね」


 少し憧れではあった。異世界召喚もの、異世界転生もののストーリーを見て、自分ももしこんな世界に行けたらな、とか思ったことはある。ありすぎる。


「ですが、異世界は甘いものではないですよ。行った初日に死ぬかもしれません。舐めてかかるのだけはやめてください」


 そりゃそうだ。その世界にも様々な文化や生態系、もしくは生活様式があって、それは俺の世界のものとは全く違うものだろう。完全アウェーに飛び込むのだから、それなりの覚悟は必要になる。



 少しの沈黙が流れる。

 ここにいれる時間も残り僅かだろう。



「……ご決断はされましたか?」

「ああ、決めたよ」

「そうですか。お聞きしても?」

「わかっているだろう?だからそんな大事な話を俺にしたんじゃないのか?」

「ふふ。ええ、もちろん。それでは、協力していただいても?」

「いってやる。協力してやる。むしろこっちからお願いしたいくらいだ。絶対に許さねえ」



 俺は確かにある陰謀に巻き込まれただけの身だ。それでも巻き込まれたのならしょうがないだろう。それにも理由があるのかもしれないじゃないか。ただ何も知らずに殺され、それを黙って見過ごすなんてたまったもんじゃない。

 俺は負けず嫌いなんだ。絶対に。絶対に復讐してやる。俺を殺したこと、汐織や皆を傷つけたことを後悔させてやるよ。


「そうですか。ありがとうございます。それでは相互協力関係ということで」

「ああ、了解だ。それで俺は具体的に何をすれ」


 ゴオオオォォォォ……

 そう言いかけた時だった。

 突如白しかなかった視界の一部分が割れて、黒くなる。それにつれて徐々に白い空間が崩れていく。

 よくわからんがこの時間には限りがあるんだったな、長話をしすぎたか。


「……時間ですね。あなたの使命は異世界に行ってから、自分で見つけだしてください。おのずとわかるはずです」

「そりゃねえだろ女神様!」

「もちろん手助けはしますから、大丈夫ですよ。手をだしてください」


 そう言われ俺は右手を前に出した。

 女神はその手に自らの右手をあて、互いの指先を絡め合わせる。左手は胸に当てている。

 すこし恥ずかしい。



『我は世界の理を司り、統べる者。女神を冠するこのレイシアが命ずる。今この刻をもちて古に埋もれし力を呼び起こし、害為す者を打たんするこの若き代行者にかの称号を与えたまえ!』



 足元に紋章が現れ、その言葉と共に、全身が燦めく光に包まれる。

 女神が何をしたのかはわからない。外見もいたって変化はない。だが、何かが宿った感覚は確かにあった。


「あなたに『ゼロ』の称号を与えます。この力は本当に特別なもので、この美しい女神たる私が授けなければ使うことのできない能力です。そして、これはあなた……零と私の望みを叶える為に必要な能力の一つです。使う分には構いませんが、あんまり周りにバレないようにした方がいいかもしれませんねっ」


「ーーそうか、わかったよ。内容はわからないけど、現地で学べってことだな?」

「はい。最初は使いこなせないと思います。おそらく零が異世界に降り立つ時はとてつもなく雑魚ですから、周りに助けを求めないとすぐ死んちゃいますよ?」


それはヤバいな。行ってすぐに周りに助けを求めた方がよさそうだ。


「行く前から雑魚認定かよ……まぁなんとかなるか。結局何をしたらいいかはよくわからんが、とりあえず『ヤツ』をぶっ倒すためにがんばるか」

「はい。もっとお力を貸すことができなくて、申し訳ございません。期待していますよ、零」

「ああ。ありがとう、レイシア」

「……ふふ、名前を呼ばれるなんていつぶりでしょうか。感謝を申し上げるのはこちらですよ?」


 すでに先程までの白い空間のほとんどは黒くなっている。女神も頑張ってこの空間を造ったんだろう。わからんが。

 目の前には大きな一つの扉。これをくぐればその先はきっと異世界だ。


「それでは、いってらっしゃいませ。この女神レイシアがあなたの無事と成長を心から祈っております」

「祈るよりもっと力をかしてくれ……って贅沢も言ってられないよな。この力でがんばるよ。

ーーそれじゃあ、いってくる」

「はい。女神の加護があらんことを」



 俺は一歩踏み出す。さらに、もう一歩。扉に手をかける。これを開けたら、その先は未知の世界だ。どこかもわからない。周りに知り合いもいない。敵だっているだろう。

ーーそれでも、それでも挫けはしない。



 地球を、日本の高校生を、如月零を弄んでくれたことを絶対に後悔させてやる。復讐劇の始まりだ。



 ゆっくりと扉を開け、前へと進んだ。扉の向こうへ足を掛けると同時に意識がぼやける。次に意識を取り戻した時は異世界だ。精一杯頑張ろう。



 そうして新たな決意と共に身を任せ、俺は静かに目を閉じた。



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