死んでなお死す
「ん、ここはどこだ?」
さっきまで俺は葵と話をしていたはず…。それがいつの間にか俺は、この謎の暗い空間にいる。
見渡す限り闇。多分俺は地面に横たわっているのだろうが、何だか浮遊しているような錯覚に襲われている。天国?地獄?然しそれにしては何もなさ過ぎる。考えるにこの空間は、天国行か地獄行かを決める審判の部屋なのであろう。審判員はいつ来るのだろうか。
「なんだあれ…」
ほんの少し前まで闇であった空間に、一筋の白い罅が入った。稲妻のようにどんどん闇が割れていく。気が付けば全天に罅が入っていた。
「ん?崩れてきてる?」
パラパラと今まで闇であった何かが降ってくる。闇が削れ、そこからは白い空間が顔を見せている。そして広がり続けた罅が足元にまで及んでいた。まさか、足下が崩れるとか言わないよな…。
予想に反し、地面も崩れ始めた。外堀から攻めていくように、白が俺の足下まで広がってくる。驚きが強すぎて、恐怖心も何もない。
「ちょっ、ちょっと待て!」
俺の声に反応するかのように、崩れる速度が上がってくる。そして、俺の足下の闇も崩れ始めた。
俺を支えるものが一切無くなり、闇の欠片とともに落下していく。上を見ると、さっきまで俺がいた空間は跡形もなく消えている。一面白。いつまで落下し続けるのだろうか。
「ん、ここはどこだ?」
俺は白い地面を見つめていた。…あれ?さっきまで俺は落ちていたはず。落ちていて…。
顔を上げる。すると目の前に少女が立っていた。俺に微笑みかけている。多分この子は、俺が天国行か地獄行かを決定する審判員なのであろう。
刹那、腹に鈍い痛みを感じた。咄嗟に腹を見る。腹には白い槍みたいなものが貫通していた。その槍を沿って見上げると、少女が槍を握っていた。微笑みながら。血が止まらない。
「え?」
視界がだんだん暗くなっていく。俺は死ぬのか…。
お疲れさまでした。
主人公死にましたね。
勘のいい方なら、タイトルの意味が分かったはずです。
これからの展開が気になりますね…。