第33話 動き出す再会①
きん先生の研修があった週の土曜日。
チャナ先生はある五つ星レストランに来ていた。
絵の大会などで何度も金賞を取っているチャナ先生。そこそこお金はあるのである。
個室に案内してもらい座敷に座る。
今日はお寿司だ。
「久し振りね、」
「ああ。」
素っ気ないというか、壁があるというか。
不思議な空気になりかけたのを見た案内係の人が音も無く部屋から出る。
運ばれてきたお寿司を口にしながら話をしだす。
「どうだい?二人は、。」
「おかげさまで。どこでもお嫁に出せる子に成長いたしましたよ。」
そうか、と小さく呟く。
「貴方は。娘をもう、娘とも呼んでくれないのね。。。」
「親権はおまえにあるだろう。」
少しの間、沈黙が続く。
「今年、就職したんだろう?」
「ええ。今週は出張があるだとか言って東北の方に行きましたけど。」
「二人とも?」
「そうですとも。」
「顔、覚えてないでしょうね。貴方の。」
「だろうな、。もう、何年前だ?。」
「さあ。」
最後の一口を口にし、店を出る。
ちゃっかり彼におごらせている、抜けのない女だ。
「また今度。」
「また今度。」
仲がいいのか、仲がワルいのか。
よく分からない二人は右と左に別れていった。
チャナ先生の物語、のはずです、