第14話 自然の怖さ
この台風は、多くの影響を及ぼした。
幸い相良地区は木が倒れたりはしたものの、家が崩れるとかの被害は無かった。避難しろ、という命令も無く、約二週間で復興した。
実は、カチ先生・チャナ先生は県外ではない「清原市」と言う所から来ている。
清原市は、同じ県内とは比べものにならない程の被害を受けたそうだ。
当然ながら、避難命令が発令され、ついこの間解除されたばかりだ。
いまだに二人と連絡がとれていないが、希望が見えた。
8人は学校再会の一週間前から出勤を開始。
折れた木などを撤去した。
桜の木だけは、年輪を模型にして学校に飾るということになり、忙しいであろう業者に引き取ってもらった。
砂を引き、後は倉庫だけという段階になった。
でも、これだけはどうにもならなかった。
生徒にどう言ったら良いか分からなかった。
普通に
「台風のせいで壊れちゃいました。今から作り直しましょう。」
と言えば良いことなのだが、それだと、
「えーーーーぇ。」
とか
「残念・・・・・」
とか、言われそうなのだ。
怖いわけではないが、朝は早く家をでて、夕方遅くに帰る。
時間をさいてまで体育祭に協力してくれたのだ。
なんというか、申し訳ない。
あーぁ、どうするのがベストなのだろうか?
学校再開は明日、校舎に入ると何も変わっていないことに驚く。
窓からは、何も変わらないグラウンドが見える。
形は変わっていなくても、何か、大切な物が無くなっている感じがした。
私たちは、自然の怖さを知った。
大切な物を一瞬で奪ってしまう、自然の怖さを。