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カラフル メンバーズ  作者: 緑憐
二章  体育祭
13/54

第13話  思い出はよみがえる

 ポツリ・・・・・・・・・・


 私の目から涙がこぼれた。


*********** *********** ***********


 私たち10人の半分ほどは、育成中学校の卒業生だ。

 私も、そう。

 つい、走り出してしまった。

 

 「そうそう、ここであの子とけんかしたっけ。」


 「そうそう、ここで落ち葉をたっくさん拾ったっけ。」


 「そうそう、ここで・・・・・・・」


 とびきりの笑顔で笑ったっけ。


「そうそう、ここでみんなと、写真、撮ったのよね、、、、、」


 折れた桜の木に触れてとどめなく流れ出る 涙。

 最初の一粒が嘘みたいに。

 

 よみがえる思い出。


 あの子たち元気でやってるかしら。泣いてないかしら。

 私の背を越してるかしら。


 なんで思い出すの?

 今はこんなこと、思い出してる時じゃないでしょう?


 それも全て、なんで、桜の木の前で写真を撮った時のこと。

 

 私の目に、あの、大きな大きな桜の木が見えた。


「そうなのね。」


「あなたは、忘れてほしくないのね。自分が生きた時を。」


「そうよね。楽しいこと、たくさん、あったもんね。」


 私は、桜の木を見た。そして一本、若い枝が折れていることに気づいた。

 心臓のドクン、という音がやけに大きく聞こえた。


 枝を拾って、桜の木が生きていたところに植えた。


「何やってるの?」

「枝を植えるとね、大きくなるの、また。」

「ふぅん。」

「きっとまた見守ってくれるんだよ。だって」


「命のカケラを残してくれたんだもの。」


 いつの間にか集まっていたみんな。

 そのみんなが、桜の木が、優しく微笑んだような気がした。



 

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