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はやぶさ 短編集

エイプリルフール

作者: はやぶさ

エイプリルフール


それは1年の中で嘘をついてもいい日なのである。

そういった行事にあわせて、ツッタカターではちょっとした嘘をついてみたり、嘘のような本当のことをつぶやいたりされていた。


「という訳で、楽しそうだし私も何か嘘をついてみたい!」


「いや、楽しそうに嘘をつくようなものでもないけどな!?」


「じゃあそしたら、アイリスちゃんどんなものでついたらいいか分からないだろうから、ふーちゃんがとびっきりの見本を見せてやろう」


クラスメートの文(通称:ふーちゃん)がふふんと得意気に見本を見せようとしていた。


「おはよー」


いつも通りの時間に登校してきた彩梨をみるやいなやふーちゃんは手をポンッ!と叩くと、わざとらしく咳払いをしてアイリスに向かって高らかに言い放った。


「そうそう…実は俺と彩梨ってね、実は付き合ってるんだぜ!」


「いきなり付き合ってるとか言って巻き込まないでくれませんか!」


そう言いながら彩梨はとぅっ!飛び跳ねると、持ち合わせている身体能力を生かしたキックをふーちゃんの胸元に炸裂させていた。


一目で分かりそうな嘘だったが、エイプリルフールだったらこれくらいのような嘘でも十分だろう。もっともアイリスもいい見本になったのかは分からないが、目を輝かしているだろうしそれはそれでいいのかもしれない。まぁふーちゃんに対するアイリス以外の周りの目は見るに耐えなかったが…


「今のふーちゃんは良くある例だけど、あんなような感じで嘘をつくのさ」


「なるほど!じゃあ私もあれに習ってやってみる!」


そう意気込んだアイリスだったが、その直後急に頬をトマトのように赤く染めて、もじもじと恥ずかしそうにしていた。


「いや、あの誰も○○と付き合ってるみたいな事は言わなくてもいいんだぞ!?」


照馬が慌てて訂正すると、アイリスも驚いたような顔をして別の嘘を考えるのだった。とりあえず後でふーちゃんに一発かましてやろうかと思った照馬だったが、アイリスの可愛い表情が見れたことだけでもハッピーなことなので、その拳がふーちゃんの元に振り落とされることは無かった。


「とりあえずじゃあルールだけ、エイプリルフールと言っても何でもかんでも嘘をついて言い訳じゃないんだ。人を悲しませるのとかはダメ。あと、嘘をついていいのは午前中まで。午後になったらちゃんとばらす。 これがルールだよ」


アイリスは分かったぞ!と言ったような感じではーいと手をあげた。

…なんだか幼稚園児に教えている気分になり、少しだけ保育士さん達の気持ちが分かった照馬なのであった。


「照馬!考えたから聞いてみてくれよ」


朝のSHRが終わって、照馬、春人、ふーちゃん、彩梨のメンバーのいわゆるいつメンで話していたところにアイリスが飛んできたのだった。最初なんの事か分からなかったが、少ししてからエイプリルフールのことだなと分かった。


では行くぞと言わんばかりに先ほどふーちゃんがやった咳払いをすると、同じように高らかと言い放った。


「私実は、ミステリアス・ファンタジーのなかでヒロインじゃなくて、魔王だったのー!」


まさかの設定を変えるという斬新なことをしたアイリスに4人は一斉に笑ってしまった。


「さすが、アイリスちゃんにしか出来ない芸当だね。一本取られたよ」


「確かに!それは盲点だったわ」


「アイリスちゃん、ちゃんと僕の動きを覚えていて良かったよ!それでこそ僕の弟子だよ。ちゃんと出来た弟子だ。師匠を見てみてみたくなる」


「はいっ!師匠!」


みんなが口々に絶賛していてアイリスもエイプリルフールのいい記念になったようだ。いつからアイリスがふーちゃんの弟子になったかは知らないが、恐らくどこか別の闇ルートからいつの間にか師弟関係になったのだろう。照馬はちくしょうと悔しがるマネをした。


このエイプリルフールの発言が後にアイリスが大変な目にあうとはまだ知らなかった。


*****************


午後5時。

照馬とアイリスはいつも通りミステリアス・ファンタジー内にいた。

いつもなら照馬の横にアイリスがいるのだが…今回だけはそうも行かなかった。



「もうっ!なんなのよこのイベントは!」


アイリスはミステリアス・ファンタジー内に入った瞬間目の前の光景に動揺していたのである。

一面に広がる真っ黒な雲。どこからとも無く聞こえる雷の音。部屋の中はだだっ広く、天覧豪華かと言われるとそうでもなくロウソクが一筋の道を作っている。いつも傍らにいたのは照馬だったが、今回だけは誰も居なくて代わりにただ一面に魔物が忠誠を誓っているのだった。


アイリスは間違いなく確信した。これは魔王の城で私が魔王になってしまったのだと。


ミステリアス・ファンタジー内で出てくるモンスターの類は大体が魔王の使者ということになっている。


つまり私が魔王になったということは、いつかは照馬が討伐しに来るということを示していた。


あたふたするアイリスを尻目に、彼らが到着するのにそう時間がかからなかった。


「魔王はここか!」


勇猛な叫びと共に青い氷で出来た装備をした女性が扉をこじ開けた。照馬の長年のフレンドのリズである。


「わっ!まさか本当にアイリスちゃんだとは」


「弟子がこんなふうになるとは…一体どこで踏み外した!?」


リズを先頭にゾロゾロと弟子やら何やら言っている一行が入ってきた。その最後尾には照馬の姿もあった。


「まさかアイリスが魔王だとは思わなかったよ。それと少し残念だ。でもこの世界を少しでも救うためには戦うしかないんだ。ごめんな…」


そう言うと照馬は武器を構えて戦闘態勢をとった。


アイリスは今まで重ねてきた照馬たちとの思い出を噛み締めて、涙を流しながら炎を手の中に収めた。

しかし、その炎は見たことがないように勇ましく燃えていて、しっかりと照馬のことを捉えていた。


お互いが地面を蹴り出した!その瞬間っ!


「こんにちはー ファントムでーす!なんで作者さんこの短編に中々自分を出してくれないわけ?」


照馬たちにとっては何をいってるのか分からなかったが、とりあえず怒っているのだけは理解することが出来た。


「いやあ、エイプリルフールの調整をアイリスにしといたんだけどどうかな?’’アイリスの言った嘘が本当になる’’。私としては照馬と付き合ってるなんて言って、イチャラブしてるのかなって思ってたんだけど、まさか修羅場だったとは…」


そう言うとファントムはごめんっ!というように片手で小さく顔の前に手を合わせるようなポーズをした。ファントムには手などの実態がないが照馬はどうしてもそう見えてしまった。


「…みんな。もうやることは分かってるよな?」


「えっと…ちょっと皆さん怖いんですけど、はっ!疲れてるんですね!分かります!すぐ現実世界に戻しますね!」


ファントムがそう言うと唐突に体が全身を浮く感覚を感じると、いつの間にかそれぞれの家に着いていた。


ファントムの野郎…あとで覚えてろよと心に誓った照馬だった。


「アイリス大丈夫だったか?」


「うん…ちょっと怖かった…でも、」


「それと同時にあの時の照馬の姿カッコよかったよ。敵ながらも少し見とれちゃったもの」


そう言われるとなんだか恥ずかしいと感じたが、アイリスと戦うということが無くなって良かったと安堵した。


「そういえば、エイプリルフールはこんな怖い行事じゃないから安心してな?実際ふーちゃんの言ったことは叶ってないんだし」


確かにそうかもねと言いながらアイリスと照馬はお互いに笑いあった。


こうしてファントムによってかき回されたエイプリルフールは幕を閉じたのだった。

どうも こんにちは、こんばんは、はやぶさです


今回はエイプリルフール特番ということで短編をお届けしました。

いつもどうりのメンバーはもちろんのこと、今回はリズも出てきて賑やかになりましたねー



どうやらエイプリルフールの嘘は午前中までということで、午前中にアップしたかったんですが、まさかのトンネルに阻まれるという…所要時間25分てもはやトンネルじゃねぇよ…


これから新生活の人も多いと思いますが、頑張ってくださいねー

私も新生活ですので笑


さて、今回は短めにこの辺で

ここまで読んでいただきありがとうございます

本編もどうぞ。良かったらお願いします


それではこの辺で

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