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おばあちゃんの異世界漫遊記  作者: まめのこ
【第1章】新しい世界
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6 サナギ?卵?

事が起きた夜にツェーラが魔法で淡い光に包まれた小鳥を作り出し魔法医学士を呼びに行かせ、カーラはダーラだったサナギを担ぎダーラのベットに寝かせにいく。その後ろをツェーラは真っ青な顔で微動だにしないアガットの手を引きながら付いていく。


ーこの子の手はこんなにもゴツゴツしてたかしら?ー


繋いだ掌があまりにも傷だらけの豆だらけだったためツェーラは顔色の悪いアガットの顔を盗み見た。自分が抱っこしていた時、手を引いて歩いた時はまだどこもかしこもフニフニで力を入れたら壊れそうだった。それがいつの間にか言葉を喋るようになり、家の事を手伝うようになり、気が付けばツェーラ達の方が面倒を見てもらうようになっていた。


魔法の練習もまったく気付かなかった。きっと自分達に心配かけないよう、必死に練習をしたのだろう。あのブラッドボアを一発で仕留めたのだ。どれだけの時間と労力を費やしたのか考えるまでもなかった。


昔はアガットの隠し事がすぐに分かるのが密かな自慢だったのに・・・


親の見えないところで子供はどんどん大きくなっていくのだと改めて感じた。それは嬉しくもあり、寂しくもあった。


ダーラの部屋の入り口で動かなくなったアガットをツェーラは優しく抱きしめ椅子に腰掛ける。安心してほしいのと同時に小さい子供のままでいて欲しいなという願いも込めて。


〜〜〜〜〜〜


魔法医学士が到着して精密な検査をしたが結果はわからなかった。次の日学校の付属病院で色々検査してみたが、結果は同じだった。原因不明。唯一分かる事がサナギとなったことに対して呪いや黒魔術の関与がない事のみ。


結局分からずじまいだったが、そのことは十分にカーラとツェーラを安心させた。


変な話だが三つ子同士どこかで感覚を共有出来ているのだ。ターラが倒れた時は流石に焦ったが、サナギになった際は逆だった。表現しようのない安心感が2人を包んでいた。

ダーラの側を離れようとしないアガットをなだめ寝かしつけた後、部屋に戻りサナギを見つめながら2人で感覚の確認をした時も同じ答えだった。だから大丈夫だろう。


それよりもアガットが心配だった。確実に今回の件は自分の所為だと思っている。


村の人たちにもターラの事は広まっていたので心配して見舞いに来てくれた。

好意に甘えて学校は休校にし、2人はサナギの状態観察とアガットの世話をした。


〜〜〜〜〜〜〜




ダーラがサナギのような卵のようなものに包まれてから7日が過ぎた。


相変わらずなサナギを前にアガットは動かない。食事とトイレ以外は片時も離れない。寝るのもターラの部屋に布団を敷いて寝ている。朝起きると自分のベットに移されているが。


アガットは三つ子の共有感覚はない。そのため離れずずっと観察し続ける。

前世で主人が末期ガンだった時もずっと看病して来た。子供達の病気の時も孫達の時だって。だから看病には自信があった。体力にも。でもサナギになられては手も足も出ないのだ。歯がゆくてしょうがなかった。


カーラ達は自分の所為ではないというがそれでも経過を確認しておきたかった。


最初の2日はまゆのように柔らかく淡く光っていた。今では卵の殻のように固くなり暖かい。

今日はしんっと静まっている。



じっと観察していると卵はもそもそと動き始めた。


「ツェーラ!!カーラ!!!』


廊下に飛び出て大声で2人を呼ぶ。階段を降りる時間も勿体無い。直ぐさま部屋に引き返す。


卵はもうヒビ割れ始めた。


ヒビから淡い光が漏れ始め、欠片がポロポロと落ち始める。


パキパキとした音と共に小さな穴が空き、そこから女性のしなやかな手が出て来た。

その手が殻を外側からゴツゴツと殴りヒビを広げていく。


側から見たらシュールだろうその風景もアガットには気にしてられなかった。


光は消えた。


大人の体が通れるほど穴が広がっていき、そこから腕が、続いて頭、上半身と出て来た。


ダーラだった。

だが、ダーラではなかった。


意味が分からないだろうがダーラではあったが少女のダーラではなくなった。


そこには成熟した女性がいたのだ。


胸まであった髪は腰まで伸び、赤からローズピンクへと変化した。更に豊満になった体と均衡が取れた顔立ちがあった。以前のような幼さはなくなり、まるで熟成したワインのように見るものを蕩けさせる。存在が光り輝いているのだ。


アガットはへなへなと床に座り込んだ。腰が抜けたのである。そのまま両手で目を覆い床に突っ伏した。俗に言うごめん寝である。


「アガット?」


ダーラがアガットに声をかけるが返事もできなかった。

大人でも息を飲むようなその存在をアガットは間近で見たのだ。気を失わなかっただけでも賞賛に値する。だってダーラの存在で変哲も無い寝室が王室のかのようにゴージャスに見えるのだ。


「「・・だーら?」」


寝室の扉付近で身動きがとれなかったツェーラとカーラがダーラを呼ぶ。声が震えていた。無理もない。


〜〜〜〜〜〜


「私も何が起きたかよく分からなくって・・・殻?に包まれていた時はとてもぽかぽかと暖かくって。・・・・お母さんのお腹にいた時ってあんな感じなのかも。」


カーラが呼びよせた医師がダーラの輝きに腰を抜かし、頭をドアに打ち付け気絶した。今はソファで休ませている。その間にサナギになっていたダーラに話しを聞くがどこかふわっとした返事しかない。本人もよく分かってないのだ。


ふわふわとした返答を繰り返すダーラをアガットは見つめる。体つきが変わったため以前の服は入らずゆったりとした白いルームワンピースを来ている。それですらパーティに出かける上等なドレスのようなのだからもう黙るしかない。


アガットは自分の体をチラリと見てため息をついた・・・・



美人の表現がむずかしいですね・・・・

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