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おばあちゃんの異世界漫遊記  作者: まめのこ
【第1章】新しい世界
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4 賭けとボアと

魔法測定から6ヶ月が過ぎた。


あの後、アガットの後に魔法測定した子供に対して羅針盤はまた普通通り測定結果を示した。つまりアガットの時だけ羅針盤はおかしな反応を見せたのだ。

三つ子とネーベルの魔法使いたちは羅針盤について調べ上げたが異常は見付からず、アガットが再度測定しても結果は同じだった。

とりあえずアガットは3人を師匠とし魔法の勉強を始めた。


が、ここにきてまたしても問題が発生した。あれだけ羅針盤が魔力を示したにも関わらず、魔法が使えないのだ。1週間目は習得に遅れる生徒もいると誰も気にしなかった。だが1ヶ月が過ぎ、2ヶ月が過ぎても簡単な魔法すら使えなかった。


魔法使い達は緊急集会を開きアガットのこれからについて話し合った。

今までにこのようなことは無かったためどうしていいのか誰も分からなかった。


魔法をそのまま続けてもいいんじゃないかという者もいれば。

他の生徒に示しがつかないから辞めてもらった方がという者もいた。

羅針盤の反応のようにこれから偉大な魔法使いになるかもしれないという意見すらあった。


話し合いは並行してまとめることすら困難になっていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜


「おい、能無しのアガット!お前魔法使えないくせになんで学校に来てんだよ。」


カーラの授業でのことだった。


アガットの投げたナイフが的の真ん中に刺さり、自分より歓声が上がったことに対して面白く無かった男子生徒ダン・ロジャールがアガットにいちゃもんをつけてきたのだ。


「は?あんたこそ的にギリギリ当たっただけじゃん。目悪いんじゃないの?」

「的ごと燃やし尽くしただろ!口出ししてくんじゃねえよベッラ!お前こそ目悪いんじゃないのかよ。」

「なんですって?!魔法で辛うじて的に当たったあんたと違って、アガットは動く的ですら魔法無しで一発で仕留められるわよ!!」


「そんなの俺だってできる!!!!」


アガットがどう答えようか迷っているうちに年上の女子生徒ベラトリス・タタンがダンの言葉に腹を立て口論に発展した。


この二人は昔からそりが合わないのか事あるごとに喧嘩しているのだ。



授業が終わっても口論話続いた。


「だったら俺がでかい魔物仕留めて来てやるよ!!!」

「やれるもんならやってみなさいよ。どうせ外して大恥かくに決まってるんだから!」

「言ったな!!!!俺が仕留めたらお前罰として魔法薬学のノートと俺の宿題1週間分全部お前がやれよ!!」

「あんたこそ出来なかったら【長靴のジョン】のチーズケーキホールで奢りなさいよ!!」


アガットを置いてけぼりにしていつの間にか賭け事に発展したらしい。


危ないから止めようとしても2人とも頭に血が上り聞く耳を持たない。


〜〜〜〜〜


その放課後、ダンは弓と剣を持ち森に来ていた。


魔物を仕留めるために。


しかし日が傾き森の雰囲気は変わっていく。


12歳のダンにすれば薄暗い森の十分に不気味で怖かった。それでも突き進んだ理由は己のプライドのためだった。ベッラに一泡吹かせたかったのだ。


森を戦々恐々進むとボアがいた。

ボアといっても魔物で全長2メートルほどもあり全身が黒く目が真っ赤であった。


《ブラットボア》


怒ると全身に炎を纏い時速40キロの速度で突進してくるのだ。大人の魔法使いですら危険視しており、迂闊には近づかない。生徒は最初の授業で村の周りの危険魔物について勉強するのだが・・・・

ダンは寝ていて聞き逃しているので知る由もなかった。


ダンは弓を構えブラッドボアの額を狙おうと息を殺し、感覚を研ぎ澄まて矢を放つ。


ヒュッと言う音とともに矢が炎を纏いブラッドボアの耳に当たる。


狙いよりズレたのだ。


耳に矢が貫通したブラッドボアは怒り狂い炎を纏いながらダンの方に向かって突進してくる。


ギリギリ躱し全力で逃げるが、すぐに方向転換したブラットボアが木々をなぎ倒し追ってくる。


ダンは木の上に登って回避しようとするが、ブラッドボア一度怒らせると相手を殺すまで執念深く追ってくる習性のため、ダンが登った木に体当たりを繰り返し、ダンごと木をへし折ろうとしていた。


怒りくるったブラットボアの存在に圧倒されダンはもう動けなかった。木にしがみ付いてボアが体当たりしてくのに怯え涙を流すことしかできない。


もうここで死ぬのだと絶望している時に

一本の矢がブラッドボアの後頭部に当たり、何本もの氷柱でボアを貫いたのだ。


ダンは一瞬のことに何が起こっているのか分からなかった。誰かが助けてくれたのだ。


「ダン、大丈夫?」

「あ?はぇ?」


森から現れたのはアガットだった。


てっきり大人が助けに来てくれたのだと思ったダンは訳が分からず、困惑するばかり・・・


「え?えええええぇえぇぇえええ?!?!?!』


だって現れたのは基礎魔法ですらろくに使えないあのアガットなのだ。


「えぇぇ?!?!なんッぅゲホッなんでアガットがここに???!!!」

「ベッラと賭け事について喋ってたでしょ?危ないから止めたのに聞く耳持ってない感じだったから・・・心配になって来てみたら案の定・・・・」


「お前魔法が使えないくせにどうやって!?!?」


「はぁ・・・それについては村に帰ってから皆の前で教えるから今はとりあえず急いで帰ろう?」

「いやいや説明しrっイッダッ!!!」


ダンは未だ混乱しているのだろう、アガットの説明も聞こえていない。


しょうがないから頭を一発殴る。


ショック療法だとアガットは自分に言い訳した。

決して話を聞かないことに対してイラついた訳ではないと。


「ここは危ないからボアから必要素材を剥ぎ取ったら急いで戻ろう?」


痛みでちょっと落ち着いたのかダンは少し落ち着きを取りもどしアガットの指示を聞いてくれる。


お互いに無言のまま素材を剥ぎ取り急いで村に戻った。

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