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おばあちゃんの異世界漫遊記  作者: まめのこ
【第2章】丘の街ヴィトエート
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6 レザルと老婆

今回は少し長くなってしまいました・・・><;

更新頑張ります!

どれくらいの時間が経っただろう。

レザルの泣き声がすすり泣きになり、店の中が静かになった時だ。


「なんだい父親が見つかったんならここに置いておく必要はもう無いね。」


老婆はそう言うと店の奥に消えた。


「お父さん。お父さんお願い。おばあちゃんと喧嘩しないで!」

「どういうことだ?なんd・・・」


ロザールが聞き返す前に老婆が戻って来た。手には大きい荷物を持って。


「やっとこいつから解放される!ほらこいつの荷物だよ!!銀貨5枚明日持って来な!そしたらこいつはあんたのもんだ。銀貨5枚ぐらいすぐ準備できるだろう?なんだって父親なんだからね!」


高笑いをしながらレザルの荷物をロザールに投げ、そのまま店から3人を追い出す。

銀貨5枚支払えなければこの話は無しだとまくし立て、返事も待たずに老婆は扉を叩き閉めた。


「なんなんだあの婆さんは!なんだあの態度は!!それに銀貨5枚だと!そんな大金どこであつめろと!!」


感動の再会に水を差された挙句、自分の息子を商品のように扱われ、最後には嫌味ったらしく店を追い出された。ロザールが怒るのも無理はない。


2度とこんな店来るか!と怒鳴りながらレザルの腕を引っ張りずんずんと歩く。引っ張られているレザルは小走りでついて行くのに精一杯だ。アガットも必死に付いて行きながら声をかけるが、ロザールは聞く耳を持たない。


宿屋に戻るとロザールの息子が見つかった事を知ったサフサは飛び上がるほど喜び、ご馳走を3人に振る舞った。食後にデザートもつけて。


「お願いだからおばあちゃんのこと悪く思わないで。」


食後のゆったりとした時間にレザルがそう切り出した。食事前に話をしてもロザールは聞く耳を持たなかっただろう。アガットの話もほぼ聞こえていなかったくらいだから。


反論しそうなロザールの声を遮るようにレザルは話を捲し立てる。焦っていて支離滅裂だが要約するとこんな感じだった。


母親との買い物の時にレザルが攫われたのは、獣人と人とのミックスでいいところどり、つまり獣人の耳と尻尾、美しい瞳を遺伝した子供だったため高値で売れるという理由でだった。

眠らされて運ばれ、気が付いた時には知らない街だったという。しかも転売されていた。

レザルを買った商人は獣人の女の子だと紹介されて買ったが、騙されたと気付いた時には時すでに遅く、激怒してレザルにひどく当たった。商人の担当地区では獣人の女の子を飼うのが流行っていたため高値で取引される反面、男の子は安く、レザルを買った半分の値でしか売れないためだった。


商人はレザルを獣人を攫う囮として、嫌がるレザルを暴力でねじ伏せ服従させた。


数日後、初めて子供攫いの手伝いをさせられたが、失敗に終わる。獣人の子供に話かける前に老婆に捕まったためだ。


逃げようとするレザルの頭を強く殴って大人しくさせた後、商人の元に連れて行くよう強要した。


捕まったレザルを見て商人は激怒していたが、老婆のいる手前笑顔を保っていた。レザルは後でもっとひどい暴力を受けと分かっているため震え、死ぬかもしれない恐怖に動けなくなった。


すると老婆は何を思ったのかレザルを買うと言い出した。しばし老婆を値踏みした商人は銀貨5枚を要求する。レザルを買ったのは銀貨1枚だったため明らかに吹っかけている。見窄らしい老婆には到底出せない金額だというようにニヤニヤ笑いながら。


老婆はあっさりと了承するだけでなくそのまま商人の手に銀貨5枚を差し出し、レザルを連れて行こうとする。もっと吹っかければ!と後悔した商人は他の子を紹介しようとする。

嫌らしくしつこい商人に激怒した老婆は魔法で商人の目を潰しただけでなく、テントごと燃やした。攫った子供達を解き放って。


老婆は魔法で子供は転送魔法で家族のところに戻し、行くところの無いものは仕事と住む場所を探すのを手伝った。ブツブツ文句を言いながら。


最後にレザルが残ったが自分の村の名前すら分からないで泣きじゃくる子供が不憫になったのだろう、薬草を買うための銀貨5枚を使ってしまったから、元がとれるまで死ぬ気で働けと小間使いとして養った。


「おばあちゃんすごく口が悪いんだ。きつい事バンバン言うし、文句もいっぱい言う。でもすごくすごく優しんだよ。」


レザルが薬草ナイフで手を切れば、ナイフもろくに使えないのかと怒りながら手当てをしてくれた。流行り病にかかった時はそれ見たことかとなじりながら薬を作り、付きっ切りで看病してくれた。


ブツブツ文句を言いながら、温かい食事もフワフワのベットも新品の洋服だって買ってくた。


「くり、くり!!栗みたいな人なの。」

「・・・外側はツンツンしてるけど、すごく甘いってこと?」

「うん!!すっごく優しいの!」

「じゃあなんで俺に金を払えと言ったんだ?」

「あら、払えなくても多分気にしないんじゃない〜?明日会わなければいいんだから。」


銀貨5枚の件が腑に落ちないロザールにサフサはヒントを出す。


そうなのだ。


別にすぐ払えとは言われていない。明日と言っているが店を閉めてしまえば払えないのだ。


頭に血が上っていたロザールは冷水をかけられたかのように大人しくなる。


「それにレザルくんがロザールさんに会えた時おばあちゃん実は泣いてたんですよ?後ろ向いてましたけど、ハンカチで拭いてるの見えてましたから。」


アガットもトドメを刺す。


だってずっと伝えようとしてたのにロザールは聞く耳を持たなかったのだ。ロザールは塩をかけられたナメクジのようにしおれて縮こまった。


「今から戻りましょう!」

「面白そうだから私も付いてく!」


アガットは又してもロザールの腕を引きながら宿を出ようとする。反対側の腕をレゼルに引っ張られ、後ろにはサフサが陣取り退路を断つ。


ロザールはしょんぼりとしたまままた薬草店に戻ることとなった。



カラン、カランとドアベルの音と共にドアを勢いよく開ける。

今日中に戻って来るとは思わなかっただろう老婆がびっくりしたまま固まっている。


「おばあちゃん!ボクはお店の手伝いをまだしたいです!」

「あんた何言って・・・」

「・・・・・息子がこう言っているので・・俺もこの街に残ります。」

「は?バカ言ってんじゃないよ!さっs・・」

「私もお店を手伝うので雇ってください!」

「「「「・・・は?(え?)」」」」


アガットが親子に混じって老婆に吹っかけたのだ。皆固まるに決まっていた。


「私これでもネーベルの出なんです。魔法薬学も薬草学もとっても得意だからきっとお役に立てると思うんです。」

「ネーベルって、あの魔法街の?大魔法使いがいるって噂の・・・」

「はい。母たちです。私は魔法つかえませんが、お役にはきっと立てると思うんです!知識豊富、経験豊富、接客にも最適!お得物件ですよ?」


さあさあとにっこりと笑顔で一気にまくし立てる。老婆だけでなくロザールたちもポカンとしている。何が何だかと頭の処理が追いついていないのだ。


「・・・ふ、ふん!好きにすれば!好きにすればいいじゃないか、あんたら皆んな物好きだね!!!」

「「やったーーー!!!」」


しばらくして観念したのか老婆が了承した。


アガットはレザルとハイタッチを交わしてぴょんぴょんと跳ねた。ロザールはまだ処理し切れていないのだろう、固まったままだ。サフサはくすくす笑って老婆の肩に手をかけて慰めている。


アガットは知っているのだ。こういう人は好意に弱いのだと。押して押してさらに押し切ったら折れてくれるのだと。


だって自分の小さい頃からの親友がそうだったから。


ー 本当にあんたはどんくさいんだから!なんでこんな時に私を呼ばないんだい! ー

ー 無理するから風邪なんかひくんだよ!おじや作ったからとっとと食っちまいな! ー


優しい親友の声を思い出しながら、アガットはレザルと逃げようとする老婆に一緒に抱きついた。



涙が他の人に見えないように顔を埋めて・・・




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