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新米国王、街に住む  作者: 彩森 いろは
第1章イルガード入団編
17/26

16話 イルガード、入団審査1

 リーラとイルガード本部に向けて大通りを歩き、朝市が開かれる中央広場まで歩いてきたが、朝市は既に終わり、広場では子供が走り回って遊んでいた。


「ところで、メイルさんは、いま何歳ですか?」

 リーラから尋ねられる。

「今20歳だよ。リーラさんは?」

 今度は私から尋ねる。

「やっぱり年上でしたか。私は今18歳です。私のことはリーラって呼んでください」

 リーラがにっこりと笑いながら話す。

 

「リーラはイルガードでどんな仕事をしてるの?」

 今度は私から質問する。

「私は、普段は受付と事務をしています」

「じゃあ、アマリアさんと同じなんだね」

「メイルさん、アマリア先輩をご存じなんですね」

「昨日フェヴィルと本部に行った時に、入団申請でお世話になったから」

「ああ。なるほど」


 そんな話をしていると、イルガード本部が見えてきた。

 

 本部の扉を開けてリーラが入る。

「リーラ。ただいま戻りました!」 

「おかえりなさい」

 本部に入ると受付に昨日と同じくアマリアの姿があった。


「アマリアさんこんにちは」

「こんにちは。メイルさん」

 簡単に挨拶をする。

 

「ギース班長がお待ちです。リーラ。応接室までメイルさんをお連れして」

 アマリアがリーラに指示を出す。

「了解しました!メイルさん行きましょう!」

「はい!」

 リーラの元気さがこちらまで移り、私も元気よく返事をする。

 

 受付を抜けた先の通路を歩くとすぐに応接室があった。

 

 コンコン。

 応接室の扉をノックしリーラが入る。

 私は扉の外で待っておくようにリーラから言われた。

「失礼します。受付のリーラです。メイルさんをお連れしました」

「ご苦労さん。入ってもらってくれ」

「はい。メイルさんどうぞ」

 応接室から出てきたリーラと入れ替わり私が入る。


 応接室には、扉のある壁と並行に、手前と机を挟んで奥側にソファーが置かれていた。

 そして、奥側のソファーに腰かけ何かの書類に目を通している男性が1人。

 顔の前に書類を上げて読んでいたので、顔はよく見えなかった。


「失礼します。お待たせしました。メイルです……あっ!」

「今日は突然呼び出してすまなかったね……おっ!」

 

 男性が書類を置き、顔を見合わせると、お互いに驚きの声を上げた。

 

「君がメイル君だったか!」

「こんにちは。ギース班長って居酒屋のマスターさんだったんですね!」

 

 なんと、ギース班長は、フェヴィルに何度か連れられて行っていた居酒屋のマスターだったのだ。

 

 お互いに自己紹介をしていなかったが、顔はしっかりと覚えていた。

 

「フェヴィルの紹介だっていうから誰だと思ったら君だったか。まあ座りなさい」

「はい。失礼します」

「まず、結果から言おう。班長審査は合格だ。昨日の模擬試合でも2位だったそうじゃないか。剣の腕が確かなら心強い。君なら問題なくやれるだろう」

「ありがとうございます」

 ひとまず第一関門は突破だ。残りは支部長と団長の審査だ。

 

 その後は、他愛もない話で盛り上がり、30分は経っただろうか。

 ギースがこのあと予定があるということなので、話を終える。

 

 私はソファーから立ち上がり、扉の方へと歩く。


「今日はありがとうございました」 

 扉の前で振り返りギースに礼を言う。

 

「こちらこそ急な呼び出しですまなかったね。このあと支部長が本部に来るから、支部長審査をしてもらって、それで合格なら、そのまま団長に審査をお願いしておくよ。早ければ明日、明後日にでも結果はでるだろう」

 ギースは微笑みを見せながら話す。

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 こちらも笑顔で返す。


「それでは、一緒に活動できる日を楽しみにしているよ」

「私もです。では失礼します」

 

 応接室からエントランスにある受付に向かう。

 受付では、アマリアとリーラが忙しそうに作業をしていた。

 リーラが最初に私に気づいた。

 

「メイルさんお疲れさまでした!」

 リーラが声を掛けてくる。

「ありがとう」


「メイルさんお疲れさまです。どうでしたか?」

 今度はアマリアが尋ねる。

「無事に班長審査通りました」

「よかったですね」

 結果を聞いて、アマリアは笑顔になる。

「ありがとうございます」

 アマリアの笑顔につられてこっちも笑顔になる。

 

 アマリアとリーラは、この後にある支部長会議の準備に忙しいらしいので、邪魔をしないように早々に本部を出て帰路につくことにした。

 

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