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新米国王、街に住む  作者: 彩森 いろは
第1章イルガード入団編
16/26

15話 メイル、イルガード本部まで

 イルガードの本部を出て、フェヴィルと取り留めのない話をしながら15分ほど歩き、料理屋に着く。


「帰ったぞー!」

 フェヴィルは元気よく店の扉を開ける。

「おかえり!お疲れ様」

 厨房の中で作業をしていたクレアが顔を上げて迎えてくれた。

 

「クレア、聞いてくれ。メイルがイルガードに入ってくれることになったぞ!」

 フェヴィル店に入り、嬉しそうにクレアに話す。

「あら。本当に?良かったわね。メイルも、おかえり」

 フェヴィルに続いて店に入った私にも、クレアは声を掛けてくれた。

「ただいま帰りました。入団の申請を出して、今は入団審査の結果待ちです」

 クレアに短く返事をする。

 

「なーに、俺の紹介だ。きっと申請は通るさ。ほら、水だ」

 フェヴィルは厨房に行き、2つ用意したグラスに水を注ぎながら言った。

「ありがとうございます。結果が待ち遠しいですね」

 フェヴィルから手渡されたグラスを受け取り、水を飲む。

 

 その後は、いつも通り夜の営業の準備をして、夕方に開店した。

 その日は、お客さんが早く途切れ、いつもより早い閉店になった。

 

 片付けも一通り終わり、フェヴィルとクレアと私で夕食を囲む。

「今日も一日お疲れさん。メイル、今日はどうだった?」

 酒の入ったグラス片手にフェヴィルが言う。

「まさかフェヴィルと試合できるとは思わなかったから、それが一番嬉しかったかな」

「あら。メイル、フェヴィルと試合をしたのかい?」

 クレアは興味があったのか、食事の手を止めて私に聞いた。

「ええ。完敗でしたけど」

 笑いながらクレアに返す。

「でも、メイルはなかなか腕が良かったぞ。俺もうかうかしてると負けちまうよ」

 酒が入り、いつもより陽気なフェヴィルが話す。

「そうなんだね。メイルも頑張らないとね」

 クレアがそんなフェヴィルを見て、楽しそうに話す。

 

 楽しい食事は終わり、食事に使った皿を洗い、部屋に戻る。

 いつもは読書など自分の時間を取るのだが、その日は疲れからかあっという間に寝てしまった。

 

 次の日、朝からクレアと共に朝市に買い出しに行き、店に戻って昼の営業の準備をしていた時のことだ。


 ガチャっと音を立てて店の扉が何者かに開かれる。

 店の表の看板はまだ「CLOSE」のはずだが……

 そこには、私より少し年下に見える女の子が立っていた。


「フェヴィルさん。失礼します。イルガード本部のリーラです」

「おお。リーラか。どうした?

 厨房で仕込みをしていたフェヴィルが女の子を見て返事をする。

「はい。ギース班長より、メイルさんという方を本部まで呼んできて欲しいと頼まれまして。班長から、フェヴィルさんの店に居ると聞いたのですが……」


 どうやらリーラという女の子は私を呼びに来たらしい。


「そこに居るのがメイルだよ」

 フェヴィルが私に視線を向けてリーラに教える。

「私がメイルです」

 リーラと目が合い、軽く会釈する。

「あっそうでしたか。いきなりなんですけど、今からイルガードの本部に来てもらうことはできますか?」

 リーラが聞く。

「フェヴィル、どうしよう?」

 私はフェヴィルに判断を任せる。

「店は気にしなくていいぞ。行ってこい」

「そうだよ。こっちは大丈夫だから。行ってきな」

 フェヴィルとクレアが許可を出してくれた。

「ありがとうございます。じゃあ、すぐに準備します」

 フェヴィルとクレアに礼を言い、準備のために2階に上がる。

「わかりました。私は外で待ってますので」

 リーラはそう言うと店の表に出る。

 

 自室で外出用の服に着替え、下に降りる。

「気を付けていってらっしゃい」

「帰りの時間は気にしなくていいからな」

 クレアとフェヴィルがが笑顔で送り出してくれる。

「いってきます」

 店の扉を開けると、表でリーラが待っていた。

 

「お待たせしました」

「いえいえ。では、行きましょう!」


 私とリーラは、店前の路地をイルガードの本部に向けて歩き始めた。


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