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番外編 ~五十嵐雫~

実在の人物・団体・宗教とは一切関係ありません。

完全フィクション作品です。


連続投稿2作目です。


いつからだろう、2人と距離を感じ始めたのは。

いつからだろう、小さい頃みたいに素直でいられなくなったのは。

いつからだろう、ずるい大人に近づいたのは。


高校生にもなると大変だった。

怒られる時に決まって「女の子なのだから」や「大人なのだから」と言われるようになった。

だから、大人になるのってそういうものなのだと割り切って表面上は『いい子』で過ごしていた。

だから、本当の私でいる時間は幼馴染と居るときだけになって、こうやってつまらない大人になっていくのかなと、どこか諦めに似た感情が芽生えはじめていた。

そんな中起こったのが今回の騒動…

「死とは平等なもの」とはよく言ったものだ。

死は誰にでもやってくる。善人でも悪人でも。努力家でも怠け者でも。

そんな当たり前なことに今ようやく気付いた、ようやくその意味を理解した。

『どうせ死ぬなら努力なんてしないほうがいい。』と。

前向きな人ならここは「死ぬまで全力」とかいうだろう。


でも、私は残念ながら前向きじゃなかった。

だから、もう何もかも諦めて、ここで朽ちるのもいいかな、なんて考えていた時、ふと前にいる幼馴染が動く気配がしたので顔を上げ、驚いた。

彼は笑っていたからだ。それも、冒険を前にした子供が見せるキラキラした笑顔をして。

いつもは不愛想で表情が乏しく、陳腐な顔をしているくせにたまに見せる笑顔や子供っぽい所は小さいころから変わっていない、可愛い弟みたいな幼馴染のままだ。

この状況でこんな顔をする陽斗に驚き、反射的にもう一人の幼馴染の優真を見ると、そこにも表面上は驚いているが、目の奥は未知の世界への期待にワクワクしている目をしているもう1人の幼馴染がいた。


(まったくもう、2人してそんな顔していたら悩んで弱気になっている私がバカみたいじゃないのよ)

「女は度胸。それと愛嬌…か」


不安がないわけじゃない、未知の世界に行くのは怖い。それでも2人の顔を見た瞬間から雫の心はとっくに決まっていたのだ。


(あ~ぁ、こうなったら付いていくしかないよね~

でも、しょうがないよね、だって、私は二人のお姉ちゃんだもん、私が付いていかなかったら二人ともずぼらだから、絶対まともに生活なんてしていけないよ。

だから、一緒に行かないなんて選択肢は最初からなかったんだよ)


「全く困った幼馴染達だ」


小さくそうボソリッとつぶやくと顔を上げ、優真に頷きかけ、2人で声を合わせて言い放った。


「「私たち(俺たち)も連れていけ~!」」


もちろん、指差しポーズと満面の笑顔も忘れずに♪

ちょっとドヤ顔になっちゃったのはご愛嬌ってやつだよね(笑)





最後までお読みいただきありがとうございます。

感想・コメント・指摘などあれば遠慮なくお願いします。


次はハルト視点に戻ります。

この3人で異世界に旅立ちます。

自分で書いていて思いますがこんな幼馴染欲しかったです(笑)


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