番外編 ~高城優真~
実在の人物・団体・宗教とは一切関係ありません。
完全フィクション作品です。
今回は少し少なめです。
でも、もう1話別視点での番外編がありますので、両方読んでいただけると嬉しいです。
疑問
それが最初に頭に浮かんだ言葉だった。
「俺を異世界へ連れてってくれ」
確かに俺の幼馴染はそう言ったのだ。
しかも俺たちに笑顔を見せた後に、だ。
元々陽斗は自分の感情を表に出すタイプじゃないし、多くを語るタイプでもない。
そのせいで勘違いをされることも時々ある。なので、あまり交友関係は広くない、だが、それは別に悪い事じゃない。
むしろこいつの美点だ。
それに俺らからしてみれば意外とこいつは顔に出る。良くも悪くも正直なのだ。
だからこそその笑顔が物語っていた、ここは進むべきだと。
俺は行く。お前はどうする?と。
まるで、もちろん一緒に来るだろ?と問いかけるように。
確かに俺も考えたさ、元の世界には帰れないならいっそ…。と。
向こうでの俺らは死んだのだから、それは否定しようのない事実だろう。
正直あの記憶はもう二度と思い出したくはない。あの記憶が呼び出された瞬間、恐怖や困惑、憎悪など色んな感情が一気に押し寄せ、頭が割れそうになった。
自分が自分じゃなくなるような、自分という意識が感情に呑まれて崩壊するような、そんな体験だった。
思い出すだけでゾッとする。でも今は先ほどよりは酷くない、きっとあの神が何かしたのだろう。
それにあの神も暇ではないだろう、このままここにずっと居られる保証はない。
しびれを切らして強制召喚なんてこともあるだろう。
ならば、ここは自分から動くのが『吉』だ!
俺も男だ。冒険に魔法に精霊。聞くだけでワクワクが止まんねぇよ。
それにこれは不幸じゃない、幸運だ。
こんなチャンス見逃せない。地球じゃ自由とは言ってもある程度はレールの引かれた人生だった。
でもこの先は違う。自分の意志ですべてが決まる。
ここもその一つだ。なら俺の心は決まっている。
陽斗、俺も行くぜ、その世界。お前を1人にさるかよ。
俺たち3人はずっと一緒に過ごしてきたんだぜ?
そんなの異世界に行っても同じ事だ。
そう思い隣にいるもう一人の幼馴染に顔を向けた
丁度、同じことを考えたであろう雫と目が合いお互い頷き合ってから、前にいる自由な幼馴染に向かって指差し、大きな声で言い放った。
『『俺たち(私たちも)連れていけ!!』』と。
最後までお読みいただきありがとうございます。
感想・コメント・指摘などあれば遠慮なくお願いします。




