プロローグNo.2
ーたとえ信じてくれなくても、君は返してみせるよ。ー
~刹莉side~
-それが君たち『エンヴォーイ』の流儀だろ?-
『なんで、俺の名前やその聖職を知っている。』
―しってるさぁ、君たちの事にかかわる事ならほぼすべてねー
「何者だっつて『紅!!!』
「何があった…紅ぃぃ!!!!!!」
『何があったんだよ!
紅、お前までわざわざこっちに来んなよ何のために俺が犠牲になったか分かんないじゃねーかよ。』
―大丈夫、ちょっと血を吐いたけど、気絶しただけだよー
-でもいいよね、紅はそんなに刹莉に構ってもらえて…―
―俺なんかずっと……いやなんでもない。―
「あぁ?なんか言ったか。…さっきも言おうとしたが、お前は何者だ。」
「ここは生と死の狭間、人間が長い時間滞在するようには造られていない。
『Erinnerungen an Leben』を見たら存在ごと消滅して次の生命体に転甦
されるのに、なぜおまえは存在が残っている!」
-存在?そんな立派なものは残ってねぇよー
『じゃあ、なぜ俺と話せるっ』
-今、言っただろ存在なんて立派なもんは残ってないー
―現に俺は今お前の前に姿を表しているつもりだ。 …でも視えねぇだろ?-
「今なっていった…」
-だから俺は今お前に姿をさらしてるつもりだって言ってんのー
「……」
-そんな顔して探そうとしても見つからないと思うよー
「………………」
-諦めなって~… まぁ視えてもわからないいと思うけど(ボソ)-
「……見つけた…」
-っっ…!!! 今なんて…―
~??side~
「ここだろ?」
そういって彼女は僕の頬に触れた…もう死んでしまったはずの彼女の手は……
なぜか、温かかった。
-ッ…ッうぁぁぁぁなんでだよ、なんで視えたんだよー
僕は哭いていた、啼いていた、泣いていた…絶対に泣かないと決めたものは儚く崩れ去った。 それでも、堪えられなかった………。
『…いや、正確に言うと視えてるというより体格が薄く浮かび上がってる感じだけどな』
-……十分視えてるじゃないか…―
『淋しかったんだな…』
-ぁ……もういいこれ以上しゃべると、俺がお前を送り還せなくなる…―
~刹莉side~
「どういう事だ。」
-俺のことを信じれば、あいつらのところに還してやるってんだよー
-まぁ、これだけ声が聴こえりゃ信じなくても届くかなー
『何が言いたい!』
-あいつらの、大兎たちのとこに還してやるってんだよー
『ぇ? 第一考えてみろよ俺はもう死んでんだぞ、還れるわけねーよ』
-ばぁか……―
『真実を言って馬鹿とはなんだ!!』
-ばか、泣くなよ……―
-そのために俺は、この闇の中で待ち続けることを選んだんだからよ…―
『え?』
-だから、お前や大兎たちがここに堕ちてきたときに送り還す奴がいるだろ?―
-そのために俺は堕ちてからここに留まる事にしたんだよ…―
―1人先に逝っちまったんだ、見守りながらここで待つぐらい俺の好きにしていいよな?-
『俺にそんなこと云うな、そんなこと云われたって俺に決定権なんて無い…。
もう一度聞くが、お前は誰だ。
なぜ俺に加担する?
一度朽ちたこの身を蘇生することに何の意味がある?
蘇生するには自らが代わりとなって朽ちるか、命を分け与える、身体の一部
を蘇生させる為の依り代(憑代)とするしか方法がないはずその理は創まりの人の定めた此の世を血の棲む(すむ)世に塗ることになった残酷な掟…。
エンヴォーイといえどもその掟の対象内だ。
そしてお前はすでに死んでいる蘇生させるための憑代も、
分け与える命も既に残っているはずがない!!
残っているならここに居るはずもないし、消えているなら本来ここに居れる筈もない!
お前の理論と存在はどう考えたって破綻している!!
そうなっても尚、なぜ俺を助けるんだ…。』
~??side~
泣くなって、大丈夫。たとえこの身が果てようとも、君を護る。
それが僕の中で勝手に構築された想い(約束)だから。
『守れなかった。』なら、『護る。』それが先にこっちに来てしまった僕への戒めであり、
自己満足であり、第二の契り(約束)だから、、
僕を信じて。還ってあげて、僕が君を拘束してしまう前に僕が僕で居られるうちに。
これ以上はもう、僕が君を送れなくなってしまう…。
さぁ、お帰り君がいるべき世界へ。
大丈夫、きっと…きっと、、また逢えるから、君が僕を忘れても、僕は君を忘れない。
皆が君を忘れても、僕は君を忘れない。必ず、今もその前もがそうだったように。
さようなら。
また、逢えるその時間(日)まで…。
…最後になっちゃったけど、
大好きだよ、雪華。
『おい!!まだ質問に答えt…』
最後の姿が消え、彼女の声は途中で途切れた。
大好きだった。いや、今でもすきだ。だからこそ、僕は長い刻を君とはここで過ごせない、僕はきっと君の魂を引き止めてしまうから、自分で立てたはずの第二の契り(約束)が果たせなくなってしまうから…もし、あの時君と一緒に生きる方法があったとしたら…それでも僕は、死ぬ方法を選んでたんだろうな…。
一話目を早くも大幅に改造いたしました。
リメイクしながら進んでいきますので、よろしくお願いします
笹塚