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キュ〜

二人は神様!みたいなのが来たよ。

朝に入れ替えた綺麗な水風呂の水を桶に汲んでその身にかぶり、千早は禊ぎを済ませた。

千早の付加された加護は、パニマの巫女。

特に優れた能力とかは、面倒な気配がしたから断ったが。

一つだけ頼まれた事があった。

「もしも、偶然遭遇した異世界人が現れ困っていたら。

祈祷と言う形の、神界と通信が可能な巫女の能力上げるから。

(パニマ)に連絡いれて欲しい。」

千早の名前は、本当は違う。

だが、巫女の能力持ちが源一族に出現したらば、千早と言う二つ名を名付けよ。

と言う家訓があり。

実際、数百年に一人。

神と交信が可能な巫女の能力持ちが産まれるらしい。

それ故、この屋形の庭の片隅に、大きな鳥居の有る、日本風の神社が祀られて居る。

多分巫女さんは転生者の流れだな、コレ。

そのせいか、産まれた時から千早を真名で呼ぶのは肉親だけで。

御屋形様になってからは、その千早の二つ名すらあまり呼ばれなくなっていた。

有る意味、名前に三重の鍵を掛けられた所だろうか。

今後、彼女の真名を知らされるのは、婚姻相手だけとなる。

流石に偽名では婚姻許可が降りないのだ。

しかし、だからこそ巫女の結婚相手は慎重に決められる。

たとえ政略結婚でも、恋愛結婚でも、身辺捜査と魔法審判の虚偽など、色々調べ尽くされる。

理由は、愛を囁くフリをして。

巫女を操り世界に災厄をもたらす者に、巫女を穢されない為の過保護な保険だ。

まあ、まだ八歳の千早には、結婚とか遠い話では有るのだが。

前世から女子だった千早が、結婚に憧れを持つのも仕方のない事だ。

その反動なのか、恋愛話しに興味ないフリして、ガッツリ聞いて。

影から支援するタイプになって居た。

それはともかく。

迷い人義経の事は、巫女として報告する義務が有ったので。

禊ぎの後、神社の境内で祈りを捧げた。


「パニマ様パニマ様、千早でーす。

ちょっと大きくなったよ!

あ、そうそう。

日本人の中学一年生な男子学生が、迷い人として内の源の隠れ里に空から現れたよ。

一応保護して、ここに置く事にしました。

ぶっちゃけ、どう対応していいの分からないから。

こちらの言語教えてまーす、

スポーツマンみたいだから、脳筋かと思ったんだけど。

取り敢えず、茜よりは利口みたいで。

飲み込み早いです。

一月もせずに、簡単な事柄なら意思疎通出来るようになると思いまーす。

ちょっと女子の押に弱いから、からかいが…ゲフゲフ。

まあ、お人好しで腹芸出来なさそうです。

そんな訳で、パニマ様に彼をどうするべきか質問祈祷(メール)だよ。

お返事待ってまーす。

なむなむ。」



チョロい会話だが、巫女の祈祷である。

チョロいのは、転生前にパニマ様本人から。

「堅苦しいの面倒なんだよね。

気さくに、いつもの通りの言葉で祈りを捧げていいからね。」

と言う許可貰ってるから、問題無い。

なんでも、通常と違う言葉使いをすると、思った事の半分も伝わら無いケースが多い事が有るのと。

本当に堅苦しいの面倒なだけらしい。

まあ、祈祷内容は、周囲に聞かせられないけどな!

祈祷から神様への伝達は時間が掛かる。

こちらの夢に現れたり。

仮の肉体に受肉降臨するにしても。

人とは違う下準備があるらしく。

今回も返事すら一月立つのに一向に無い。

因みに、前回夢に出現したのは。

両親の遠方での死亡の知らせを、わざわざして下さった時だ。

でも、少しだけ荒れた。

戦に行く前に凶運を知らされていれば、止められたかもしれ無いのに、と。

だが落ち着けばそれは叶わない事が分かる。

あの、正義感の塊のような両親ならば、運命であったとしても。

仲間を見捨てられるはずが無い。

抗うように、戦場へと赴いただろう。

しかし、この時ばかりは強い能力を得てい無い馬鹿な自身を嗤った。

いざと言う時に、子供だとは言え、とんだ役立たずなんてね。

ここに転生させたパニマ様が、先を大雑把にも読めない、なんて事は無いだろう。

私は自分が平穏な生活を続けられると、平和な日本人の思考のままで居た。

多分その慢心のツケだと思って、その事実を受け入れた。

納得なんてし無いけどね。


神社から出ると、茜の姿が見える。

誰かと一緒だった。

側の銀杏に隠れると、もう一人の姿が千早の位置からも見えた。

「帰って下さい。

わたくしはここから出ません。」

「しかし、姫。

貴女の無事が判明した以上、国の復興の旗頭になって頂かないといけません。」

「滅んだ国にどれほど価値が有るのか。

それよりも、前線で動いて居た貴方方が新たな国を興す方が良いと思います。」

「姫、それ程ここの御屋形様が大切なのですか?

あんな物知らずの小娘の何処が。」

「あれはただの小娘では無い。

パニマ様の加護付きの巫女様だわ。

彼女への粗相は神への粗相。

この源一族への大恩も有る。

それを無視してわたくしだけが独立?

笑わせないで。

わたくしを恥知らずにしたいのですか?」

あれは、誰だろう?

私の知っているアホの娘茜は、天真爛漫で腹芸も知らない。

不器用な女の子だ。

あの、凛とした声とボロを纏って居ても消せ無い気品の持ち主なんて、千早は知らない。

あれは誰なんだ?

相手の言い分をぶっちぎり、自分の意見を有無を言わせず従わせる。

貴族王族の、命令し慣れた者にしか出来無い言葉だ。

ふと、パニマに幼い頃言われた神託を思い出す。

「狐人の娘は二つの定めが有る。

平穏な今、苛烈で不安定な過去と未来。

選ぶのは、彼女では無い。

お前だ。」

ゾワッと背筋が冷える。

慌てて千早は、茜達に気付かれないうちに境内に戻った。

茜を手放せるの?

心に浮かぶ言葉は空に消えた。


気付くと、社務所の端っこで、千早は寝ていた。

泣き疲れたのだ。

誰かが頭を撫でてくる。

見上げると、仮の肉体に受肉降臨したパニマ様だった。

「わりぃ、こっちにくるのに時間が掛かっちゃったよ。」

何故泣いたのか、分かって居てもパニマ様からは何も言わない様だ。

「女の子を待たせるんじゃ無いですよ。

ま、まあ、来てくれたから良いんだけど。」

ツンデレ対応してしまう。

パニマ様は、苦笑していた。

「彼女落ち着いた?」

見知らぬ声がして、パニマの逆隣を見る。

神格が相当強いのか、後光でキラキラしいその男性は、どう見ても日本人のサラリーマン姿をして居た。

「うん、幼いから些細な事でも感情揺れるから、仕方ないさ。」

「あの、パニマ様。

そちらの方は?」

「あー、僕の親友。

元日本人の神様だよ。」

「え?元日本人の神様?」

「うん、正確には人界に降臨した、記憶喪失の次元神様が人と作った子供。

半神だね。

でも半神でも僕らより神格が高いから。

丁重に扱ってね?」

「パニマ、俺の事は良いからさ。

早く彼女の要件済まして上げなよ。」

優しげな声に、私は心が震えた。

こ の 声 知 っ て い る ?

けれど、千早には見覚えが無かった。

「異世界人の迷い人に、会わせてくれないかな?

一応ここに残すにしても、一度帰国させるにしても。

本人の意志や、ここで出来たシガラミも絡むからね。」

「は、はい!」

慌てて千早は社務所から出て行った。

「全く、パニマにしてはあまりスムーズじゃ無いね。」

「まさか、狐姫のゴタゴタとセットで転移事故起こって。

あの千早が泣くとは思ってなかったから。

想定外?」

「あのなあ、前世持ちでもさ、小さい女の子だぜ?

まだ感情に振り回されるんだから、そりゃ泣きもするだろ?

しかもここには彼女だけなんだから。」

パニマは答えを詰まらせた。

「もう少しさ、相手の気持ちを優しく思いやらないと。

例の本命ちゃんに、ドン引きされて。

そのうち嫌われるぜ?」

ファーブラと地球の時間の流れは違う。

なので、たとえ死亡時期が同じでも。

同じ時代に転生するとは限らなかった。

かれの言う本命ちゃんは、まだ地球で元気にして居る。

「わーったよ、僕も気を付けるよ。」


彼等が待つ間、千早は義経の元へ向かった。

取り敢えず、茜の事は保留だ。

沢山の問題を抱えるには、まだ千早の身体と心が追い付いて居なかったからだ。

裏庭で、義経は木刀の素振りをして居た。

どうも、運動神経も反射神経も動体視力も抜群で。

野球以外にも、剣道柔道空手水泳サッカーバレーバスケローラーブレード、と多種多様の運動部の助っ人として活躍して居たようだ。

「あれ?御屋形様どうかした?」

フイに目元に優しく触れる。

どうやら赤味は引いたが、涙の跡が残って居たようだ。

「ん?昼寝したから、アクビさっき出た。」

適当に誤魔化すと、怪訝な表情になるが、直ぐに元に戻る。

「ちょっと義兄様にお客様。

ついてきて?」

そう言って、義経の手を掴んで進む。

義経は特に抵抗するわけでも無く、千早に従って付いて来た。」

「お客様?誰だろう?」

不思議そうに小さく呟くが、千早からの答えは無い。

社務所へ入ると、後ろ手で千早が鍵を掛けていた。

義経が顔を上げると、二人の男性が、こちらを眺めて居た。

義経は、一人の日本人を見て、驚愕する。

「あんちゃん?

え?なんで?

あんちゃん海外に行ったって聞いたよ?

ここ異世界だよ?」

「久しぶり、お正月以来かな?」

二人は顔見知りなのか、楽しげに日本語で会話し始めた。

てか、神様なのに、正月に帰郷するのか?

と聞いたら。

毎年じゃないが、盆暮れ正月と神無月には日本に来るんだそうな。

私は蚊帳の外のように、彼等の会話を眺めて居た。

話し合いの結果、二年この地に義経は滞在する事となった。

彼は身内の居無い孤児なので、その辺りの融通が効くらしい。

そして、その後ここに残るか日本に戻るかを選択出来るそうだ。

後付けの翻訳能力と、加護をパニマから貰って居たが。

何を貰ったかは聞かないで置いた。

ふと、もう一人の男性と目が合う。

そして、彼が私の頭に手を撫でるように置くと、私がぴきっと固まる。

何かが私の身体に溢れ出した。

「え?何?

って、ふぁぁぁぁぁぁ!」

小さく呻く。

苦しくは無い。

痛くも無い。

ただ暖かく、優しげな力だが。かなり強烈な圧力を放って居た。

「あ、こら!お前僕の巫女ちゃんに勝手に何してんの?」

「いやぁ、何か懐かしい感じがしたんだけどさ。

貰った恩は返さないとね。」

小さな頃、前世でバザーが開かれて居た。

そこで、知り合った少年のお菓子が美味しくて、父におねだりして複数買った。

あの時の少年の面影を思い出した。

あの彼だと思った。

彼は孤児院のリーダー格で、ネコババする大人の代わりに小さなバザーでお小遣い稼ぎをして居たと後で知った。

「私の力じゃないわ。」

「いや、君が頼まなかったら、あの結果は無かったよ。

だから君への恩だ。」

とんだお人好しの半神様だよ!

結局パニマ様もそれに混ざってしまい。

とんでもない事となった。


貰った能力は。

魔物・悪意・物理・魔法からの総合結界

神聖浄化魔法

神聖回復魔法

状態異常回復魔法

状態異常耐性

神代行の裁きの雷

召喚魔法

次元移動術

神の加護

神の敬愛

神からの守護


称号

パニマ神と次元神の巫女

神々に祝福されし乙女


スキル

神との交信

神様降臨聖域作成

軍師



まさかの特盛り。

使いこなせる脳みそ有ったっけ?私?

てか神シリーズがキチ過ぎて怖いわ!

使う機会が無い事を祈ろう。

魔力と神力ブワット上がったから、身体の奥からギシギシするよ。

成長痛に近い感じかな。

一週間はこんな感じだってさ。

あと、母上の作った隠れ里結界は、ソロソロ崩れるので。

結界魔法は有っても困らないだろうと言われました。

問題は、私の結界魔法は何と母上の上位互換らしく。

一回で100年は保てると言われた。

マジチート。

小心者の私には、過ぎた特盛り能力ですね。

やはり、大半は使いこなせず死にそうだなあと思った。

神様達は、一週間程滞在して帰って行きました。

茜の毎朝のコケコッコー!

に、パニマ様爆笑して居たのは、秘密だよ?

生で見たかったんだって。

「やべぇ、狐ちゃん面白すぎる!」

とずっと言ってました。


千早たんチートブーストされました。

あの神様は一体誰なんだ(棒)

それと、茜周りが動きだしました。

この特盛り能力と、義経の加護は。

彼等からの千早達への保険です。

千早たんはマニ程では無いですが。

結構パニマに気に入られてる方の巫女ちゃんになります。

もう一人の神様は、縁がある相手に甘いと定評の有る神様なので。

特盛りはパニマにとっては想定内です。

神々の加護後付けは、本来かなりの素質と手順を踏まないと難しいのですが。

彼の存在がパニマにGOサイン出させた要因になります。

そんな神々の思惑をスルーして、茜はコケコッコー!と叫んでます。

そんなもんです。

多分あんまりシリアス展開にはならない予定なのですが。

茜ちん本来の話を入れるとどーしても、シリアス寄りになるかも。

陽鞠のエルフ関連は、両親が存命中、既に決着しているから荒れてません。

ただ茜の狐人関連は、まだ落ち着いて無いので。

今後も荒れる可能性有り。

茜ちんは呑気にコケコッコーいうだけの簡単なお仕事じゃなかったのか?

それではまた。

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