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しい

陽鞠さんの出番です。

メイドの陽鞠が、千早達の朝食の支度を始めるのは陽が登る少し前。

まだ薄暗い中で起き出す。

水周りやコンロなどは、魔法石に魔力を込めて稼働させるか。

魔力の無い者達は、蒔に起こした火をくべた竈を使ったり、ポンプや井戸から水を組む。

インフラ面が実にアナログ。

ぶっちゃけ不便など田舎で有る。

流石にエルフの陽鞠や、か弱くても貴族寄りの千早には多少の魔力が有るから。

今の所困った事は無い。

ああ、流石に脳筋の鈴やアホの娘茜辺りは。

魔力が無いとかで、アナログ方式メインで有る。

ようはこれも慣れだ。

ああ、日本ってかなり便利だったんだね。

ペットボトルドリンクとか。

電子レンジとか、ここだと無理だよな。

弱い炎の魔法コンロで、コトコト温め直すしか無いです。

ガラスの瓶も、普及率低くて高いんだよね。

私は流石に大学卒業前の21歳くらいに、飛行機事故で亡くなってるから。

記憶に有る知識はそう多くも無く、それ程色々詳しくもない。

魔力高ければ、色々チート万歳やれたけど。

そんなお手軽な話転がっている訳も無い。

親戚で農家さんが居たから、小さな頃手伝った時に、親戚の所のお婆ちゃんが、私に聞かせてくれたうろ覚えを実践している農業も、実にアバウトだ。

でも、一応なんちゃって御屋形様だから、人は使える。

私の実験には、それぞれの専門家に手伝って貰わなけりゃ、何も始まら無い。

始めは暇な時間に少しづつ手伝って貰い。

結果が出てからは、この風変わりな方式を率先してやって貰ってます。

皆さん優しいんだよ。


陽鞠の包丁で何か野菜を切るリズミカルな音が寝室まで届く。

その音で千早の目覚めが始まる。

陽鞠たんは俺の嫁!

とか男なら言いたくなるシチュだろう。

彼女は実に甲斐甲斐しく私の世話をやいてくれる。

でも、私は知ってるんだ。

陽鞠が密かに亡き父上に、長く片思いして居た事を。


陽鞠がまだ幼い頃、戦場となったエルフの里が壊滅的被害を受け。

父上に助けられたのは、やはり少数の女子供だけだった。

やはり、大人達は前線に出払って敗れ。

父上に故郷の生き残りを託したんだそうな。

父上は、この近辺では英雄的な扱いだったとかで。

激しく攻め込む人族史上主義者達に翻弄された大きな都市に、救援要請を傭兵の様に良くされて居た。

助けられた数名は、この隠れ里に住み。

怪我が治った者達は、この隠れ里の近くの迷いの森に有る新エルフの里を作り。

そちらに移り住んだ。

だが、身内が居無い数名のエルフは、成人するまでここに残る事になった。

エルフの里に行くのもここに残るのも彼らは自由だと言う父上の言葉で、大半は既に成人し、ここから離れて居る。

残った内の一人が陽鞠だ。

もう一人は、陽鞠の婚約者で。

陽鞠の気持ちを大切にして、ここに共に残ったそうだ。

隠れ里に、獣人やエルフが居たのは。

種族間の軋轢全く気にし無い父上が、戦争孤児や仲間になった冒険仲間を領地に住まわせた結果です。

だいたい父上の人徳と、母上の人柄に絆されて住み着く人が多かったのですが。

人族史上主義者達との戦争が余りにも多かったので。

その応急手当て的な救済も、そのうち息詰まり。

大敗して隠れ里の現状に繋がりました。

とは言え、爽やかイケメンさんは、やる事も卒が無いですな。


この隠れ里には、父上に拾われた戦争孤児が数名居て。

茜もそうだ。

ただ、いつもへらっとして居るが。

茜は過去話をした事は無い。

父上に聞いたら。

厄介な経緯で拾った。

と言われた。

うん、聞きたく無い。

厄介事の匂いがぷんぷんするですよ。

まぁ、茜はいいや。

奴なら自力で何とかしそうだしね。

まぁそんな訳で、陽鞠が父上に憧れちゃったのも納得なの。

因みに、陽鞠含め名前の無かった孤児の名付け親は母上だったりする。

母上は、ぽわぽわさんだった。

綺麗だけど天然おっとりさん。

多分、陽鞠のふんわりした立ち居振る舞いは、絶対母上の影響だと思う。

つーか、陽鞠結構黒い所有るしね。

天然では無く養殖だよあれ。

まぁ、その犠牲者は、今の所茜と鈴だけだからいいや。

交渉事の陽鞠の姿は見無い事にして居る。

超怖いから!

今はこの隠れ里閉鎖してるから。

交渉事ほとんどないけど。

いずれ発生するまでは、養殖ぽわぽわさんで居て欲しい物です。


「コケコッコー!」

ガラッと襖を開けると、茜が控えて居た。

「おはよう茜。」

「おはようございます御屋形様!

今日は山栗とドングリ沢山確保したので、今朝は栗ご飯ですよ。」

「陽鞠作?」

「はい、ダメって言われたから茜作ってませんよ。」

「よしよし、やればできるじゃない。」

茜の頭を耳ごとなでなでもふる。

「褒められた!えへへ〜。」

たまには褒めないといじけるから、茜は時々褒める事にしている。

うん、本当たまにだな。

だって、反省し無いんだよこの子。

「明日から茜の手料理オッケーですよね?」

「んな訳も無有るか!」

「細かい事はいいんです!」

「細かく無いからね!」


いつもの茜との目覚めのじゃれ合いの後、陽鞠から声が掛かる。

「御屋形様、おはようございます。」

「おはよう陽鞠。」

「朝御飯の準備が整いましたので、そろそろ食卓に居らして下さい。」

「ん、分かりました。

ほら茜行くわよ!

チャキチャキ動きなさいな。」

茜をどやして食卓へと向う。


一方台所に準備をして居た陽鞠は。

婚約者との間に子供が出来たら、早く千早好みにに仕立て上げ。

先代様に似た孫を早く見たい!

と血迷った思考に耽っているのだが。

千早はまだ、それを知らない。

「うふふ、絶対先代様の面影の有る孫が、私の血筋になるなんて…。」

といやんいやんとクネクネしていた。


今日も隠れ里は平和です。




陽鞠さんは緑髪エルフなので、繊細で儚そうな美少女。

でも、実は茜より強いです。

チート万能型メイドですが。

やはり、残念思考なのは茜と一緒。

ただ茜と違い、残念さを隠せるくらいには有能です。

先代様への愛を、拗らせてるから。

ちょっとだけ、ロックオンされてる千早が危険かも?

因みに、エルフ達は率先してこちらには来無いので。

用事が有る時は、陽鞠達があちらに行く感じです。

どんだけ閉鎖的なのやら。


それでは又




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