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さん

脳筋さん当時です。

ヒュンヒュンとクナイが飛び交い的に当てられる。

その反対側では、木刀の素振り。

そして、その周辺では、走り込みをしている様だ。

隠れ里、通称・源氏の(げんじのさと)の、訓練風景だ。

指導に当たるのは、霧隠鈴(すず)と言う屈強の侍。

背も高く威圧的な見てくれ。

涙脆いが、暑苦しく。

場の空気読め無い面倒臭いタイプの男。

鈴の良い点は、イケメンである事だけだ。

悪い人では無いんだけどね、って大抵の女子が答えるタイプだった。

それ故、エルフメイドの陽鞠と同年代らしいのに、浮いた話も無く。

いや、突然一目惚れして撃沈する話なら沢山聞ける。

そんな人だった。

ちなみにこの訓練場所で、千早が出来る事は余り無い。

身体が戦闘向けで無く、元々病弱だった為。

簡単な走りこみと、基礎運動。

様はラジオ体操的な物だけだ。

それ以上やると、数日高熱を出す為。

流石に姉の夕日から止められた。

ただ、少しづつでは有るが。

体力がついたのか、病気になる頻度が減っている。

成人するまでには、私も丈夫な身体になってるとイイナ。

「コケコッコー!」

おいコラ、庭先じゃ無いのに、鳴いてるよこの駄くノ一は!

チラッと眺めると、鈴相手に有能なくノ一アピールしたいらしく、鳴いた様だ。

…有能?

うん、うちには有能なくノ一さんなんて最初から居なかった。

なのでスルー。

「⁉」

驚いて、潜伏していた木の擬態が解ける。

うん、擬態と言うか。

木っぽい布で隠れてるの丸わかりなので、ぶっちゃけ こっちが恥ずかしい。

屈伸してたら、鈴がこちらへ来てしまった。

ちくしょう、茜のせいだ!

「訓練少しは慣れましたか?」

何も断らずに屈伸の手伝いを始める。

ミシリ!

「はぎゃ!」

「え?千早ちゃん?」

折れる折れるギブギブギブ!

と、抱え込んで来た腕をたしたしとタップする。

「痛い痛い痛い!」

「っと、悪い!」

呻く声にやっと手を離したくれた。

あーしんどい。

だから苦手なんだよね、この人。

涙目で睨むと、目を剃らせた。

「そ、そういえば、今日は陽鞠さんは居られないのですな?」

無理矢理話逸らしやがった!

「今日は私用で出かけて居るから、陽鞠来ないよ。」

つっけんどんに切り返す。

「そ、そうでござるか…。」

私は知っている。

彼が陽鞠に一目惚れして居る事を。

何故か茜は鈴に惚れて居るらしいが。

じゃあ肝心の陽鞠はと言うと。

「んー、婚約者とデートらしいから夜遅いんじゃ無いかな?」

と優しい私は言って置く。

うむ、分かりやすい程蒼白だな。

エルフは、エルフ以外とは余り婚姻したがら無いので。

何と言うか、とても閉鎖的な種族だから、これは当たり前なのだが。

獣人は、案外許容範囲が広いらしく。

手当たり次第な節がある。

「そ、そうかい。」

なので、舌の根も乾かぬ内にこう切り返された。

「所で、千早ちゃんはどんなタイプがすきかい?

例えば、おれとか?」

シラっと、した後最後はスルー。

「優しく爽やかで穏やかな、神官さんとか文官さん!とか頭の良い人が好き。」

「そ、そうか、嫌いなタイプは?」

心なし引きつって居るらしいけどやはりスルーした。

「ん?そうだね。

暑苦しくて空気読め無い脳筋とか、暴力的な人が嫌かな。」

カチコーンと固まった。

ここで拒絶されたのが自分だと気付いたのだろう。

「き、君の父上も侍だったよね?」

苦し紛れに切り出した声に、容赦無く切り返す。

「父上?父上は優しくて爽やかで強くて、でも民にも私にも優しい。

空気の読めるさり気なさも有る素敵な方でしたよ?」

しれっとキラキラの笑顔で、私は鈴のフラグをへし折った。

ロリはカエレ。

つーかこいつ誰でもイイなら、茜の気持ちに気付けよ。

と、内心の怒りは隠して置いた。

テクテクと、その場を立ち去る前に茜の前に立つ。

「茜、擬態にすらなってないからそれ。」

「え?何でばれたの?」

「茜、鈴さん失恋したから、慰めて上げなさい。」

固まる鈴を指差す。

「御屋形様茜だけじゃ無く、鈴さんにも容赦無いっすね。

分かりました、茜の愛の手料理で。」

「それあんたがフラレるフラグだから、やめなさい。」

「細かい事はいいんです!」

「いや、良く無い。

料理は、陽鞠の合格出るまで禁止!」

「優しいと思ったけど、やっぱり御屋形様は茜に厳しい…。

ハッ⁉これは歪んだ愛の形なのね?

茜頑張る!」

「それはいいから、早く行け!」

茜を蹴飛ばして、鈴の方に向かわせた。

案の定、いい仕事仲間以上になれなかったようだが、多少は仲良くなれたようで良かった良かった。

まあ、アレがくっ付くと、すげえ面倒臭いカップル爆誕だから。

もし結婚したら、茜は私の側仕えを辞めさせて。

霧隠に鈴ごと行ってもらおう。

そうしよう、と、心に誓うのだが。

二人は残念過ぎて、恋仲になる事は無かったのです。



茜と違い、引く手数多な陽鞠さんですが。

彼女を獲得したのは、神官系爽やかでイケメンさんでした。

どうやら、陽鞠さんと千早の好みは似ている模様。

多分初恋は、千早のパパ。

結婚決意したのは、最悪自分の子供に男子が出来たら、千早好みに仕上げて婿入りさせる計画が脳内に立てられたから。

そろそろ陽鞠さんの出番です、

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