ニジュウナナ
「こけこっこ〜!」
「くえーーーー!」
茜が朝から賑やかに時報。
鳳凰も仲良く時報。
…元気だね、あんた達。
朝の禊ぎと着替えを終えて、部屋へと戻る。
夜からパニマ様は視察で姿を眩ませて居るのだが、どうやら家康様も連行したのかヤマハの姿も見かけなかった。
少しぼんやりしながら、手元を見ずに慣れたレース編みを始める。
糸の色を組み替えて、ハンカチやスカーフ。
次は花の形をしたコサージュ。
次はボンボンぐるみ。
フェルト人形。
これらを作っていく。
まあ、余計な事を考えない為もあるのだが。
どちらかと言うと、里の者達へたまにあげるプレゼントを暇見て作っていた。
前世はさほど器用では無く、歪になりやすかったのだが今はそんな事もない。
千早になってからは年々プロレベルに進化したのか、作る時間も早くなった。
ど田舎でやることも少ないと、出来る事から進歩するって事だろうか?
バスン!
中庭に、派手な音が響く。
音にビクッとしてから中庭に向かった。
そこには、パニマ様に似た女の人と、妖艶な女の人が佇み。
見た事のない緋色髪のイケメンさんに、倒れた茜が介抱されていた。
何がどうしてどうなった!?
私が声を上げる前に、その女の人は呟く。
「ふふふ、この気配の残泊…間違い有りませんわ。
見つけましてよ、イエヤス。」
「ちょっと!
家康の気配を見つけたのはこの私でしてよ?」
それが、家康様がここに逃げてきた原因の女神様と知れました。
イキナリ喧嘩しないで欲しい。
家康様、こりゃもうこには来ないなぁ。
とかボンヤリ考えましたが、思考は遮断してあるからか、あの女神様は不快そうに私を睨みます。
「イエヤスは何処?
隠しても無駄よ?」
「家康様がどちらに居られるのかは分かりませんが、パニマ様の関係者様でしょうか?
パニマ様は降臨なさっておりますが、昨夜から急に思い立ったのか御不在です。
お戻りになるまで待たれますか?」
「チッ!使えない加護持ちね!」
そう言って、彼女達は何処かへ飛び出して行った。
ぽかーんと虚空を見上げた後、ふと我に返って茜の方を見る。
さっきまでいたイケメンさんが消えて、代わりに鳳凰が茜の側に居た。
…さっきのイケメンさん鳳凰の人間体?
何でもありだなファンタジー!




