にじゅう 姉女神様の絨毯爆撃カウントダウン。
別の異世界主、パニマの姉女神登場!
「シシィ様、水鏡など見て…何か御座いましたか?」
執事姿の男が呟く。
壮年の屈強に鍛え上げられた、どちらかと言うと騎士姿の方がとても似合いそうな、ダンディなおじさまが、水鏡を覗き込んでいた可憐な乙女に声を掛ける。
「ん?あらヤーディス。
いえね、異界渡りがハデにファーブラで動いたからコッソリ覗いていたの。
面白いわね地球の民の魂は。」
「弟君にばれたら嫌われますよ?」
「あらあら、パニマは片思いの娘を口説いてる最中ですもの。
きっとそれどころでは無いわ。」
まったくもう、とブツブツ言うヤーディスをクスクスと軽く笑う。
お節介な執事のお小言は、聞いて居るのは嫌いでは無かった。
但し、言う事を聞くとは限ら無い辺り、弟のパニマによく似て居る。
「それより貴女様の世界トルクスを見なくてよろしいので?」
すると、口を尖らした。
異世界トルクス、パニマより大分先に独立して女神シシィが創り上げた世界。
パニマのファーブラと違い、安定期に入っており特にやる事が無い日々が続いていた。
「安定してるわ。」
「それはよろしゅうございますな。」
「でも…。」
「はい?」
「停滞してる。」
「停滞…ですか?」
困った様子で、椅子に座るシシィを跪きながら見上げる。
「ええそう、良く言えば安定期、悪く見ると停滞ね。
このままだと、伸び代が無いわ。
世界の進化が止まる事になる。」
「成る程…それでパニマ様のファーブラを見て気分転換なさっていたのですね。」
「それも有るけれど、時代を変革する新たな魂を創り上げる容量はトルクスには無いの。
だから、あのパニマのお友達?
地球の若い神と、ちょっと接触しようか迷っていたのよね!
パニマと仲良くなるようなお人好しよ?
多少仲良くなれたら、こちらの魂と交換会とかならしてくれそうな気がして。」
「何と言う打算まみれの友情捏造劇計画!
嫌いじゃ有りませんが、パニマ様のご不許を買いませんか?」
「そこなのよねぇ、可愛いパニマに嫌われたくは無いし。
相手の子も結構神格上だし。
余り失礼は出来ないから、本当どうしようかしら、ね。」
愛らしく首を傾げる。
「…正直にお話しては?
幸い神無月の集いと言う、地球近郊の神々の集いが有ります。
そちらにならば、多分その地球の方も居られるのでは?」
「あらあら、そう言えばそんな集いも有ったわね。
一時期パニマが通い詰めていたから、聞いた事が有るわ。
そおねぇ、行ってみようかしら?」
それは、家康の女難へのカウントダウン再びのフラグだったのだが、パニマの耳に届くのに時差が有った。
遠く無い未来。
もう少し大きくなった千早が、パニマに泣きつかれ、女神シシィに振り回されるハメになるのだが。
今はまだ知ら無い。
「コケコッコー!」
「クエ〜!」
今日も茜の刻の声が鳳凰と共に響き渡る。
次回から、千早の年齢がちょっとあがるよ!




