バカップルが誕生するまでのストーリー
「来ないの…あれが来ないの…」美咲が悲しそうにお腹を擦りながら小さな声で言った。
俺は「えっ、それは…」驚いて言い淀んだ。
俺は大学2年生の隆、美咲は同じ大学のサークルのメンバーだ。
付き合っている訳ではない、ただの友人の関係だった。
でも、先週サークル仲間7人で居酒屋で飲んで、
その後サークル仲間の一人暮らしのアパートで二次会で又飲んで記憶が無かった事が合った。
まさかその時俺は美咲と関係を持ってしまったのだろうか?
美咲に喫茶店に呼び出されて言われた言葉。
2人の間には気まずい空気が流れ、ホットコーヒーが冷めて行くのを見つめるだけの時間が過ぎて行った。
美咲は「これから病院行くから」と言って喫茶店を出て行った。
俺は一人残され、冷めたコーヒーを飲む気にもなれず、お金を払って喫茶店を後にした。
父は早くに亡くなり母一人で俺を大学まで行かせてくれたのに、俺は何て事をしてしまったんだろうか?
責任を取って大学を辞めて責任を取るべきか。
俺は散々悩んだ挙句母親には言えずに大学に退学届を出した。
そして、美咲を同じ喫茶店に呼び出した。
美咲は明るい表情で俺の前の席に座りホットコーヒーを頼んだ。
「コーヒーなんて体に良く無いんじゃないの?」と俺が言うと、「コーヒー良く飲んでるのに今更何で?」と美咲は不思議そうに聞いて来た。
そして、美咲は嬉しそうに話始めたのだ。
「聞いて聞いて、来たのー〇〇のライブのチケット当選したの、もう嬉しくて」
俺はポカンとして美咲に聞いた。
「えっ、こないだ来ないって言ってたのはチケットの事?その、あれが来ないんじゃなくて?病院行くって…」
すると美咲はポカンとして笑い出した。
「えっ、やーだー、もしかして私が妊娠したと思ったの?それも隆の子供を?だって私と隆そんな関係じゃないじゃん、アハハハ、病院は便秘でお腹の調子が悪かっただけ」と言い放ったのだ。
俺はてっきり酔って美咲に手を出してたのかと勘違いして、大学まで辞めて何て事を。
「じゃ、何で俺をわざわざ呼び出して来ないなんて言ったんだよ」と俺は震える声で言った。
すると美咲はあっけらかんと「チケット来ないから不安で誰かに聞いて欲しかったの、隆暇そうだったし、これからライブに着ていく服買いに行くから」と言い放ちコーヒーを飲み干し出て行った。
俺は何て馬鹿なんだ、母に申し訳なくてこの世から消えて居なくなりたいと思った。
そして、気づけば喫茶店を出て高層ビルの屋上にいた。
フラフラと手摺を乗り越え、後一歩踏み出せばこの世から消える。
下を見ればミニカーが列をなして動いて見えた。
後一歩踏み出せないでいると、突然後ろから声を掛けられた。
「飛び降りるなら早くしてくれない?」
俺は驚いて後ろを振り向くと、赤い髪の同じ年位の女が立っていた。
「止めないのかよ」と俺が言うと女はダルそうに、
「後がつかえてるんだよ、私もあんたの後に飛び降りるから」
「何で飛び降りるんだ?」と聞くと、
「ふん、良く有る話だよ、ホストに貢いでお金無いと言ったらホストが体で稼いで貢げってさ、少しは愛情が有るのかと思ってたのにさ、あんたは何で飛び降りるんだよ?」と聞くので、俺は今までの勘違いした話をした。
すると女は大笑いして「バカじゃねえの」と言い放ったのだ。
俺はムカついて「お前だってバカだろう」と言うと女はムッとして言い返そうとした途端お腹が「グゥー」と鳴った。
「お前、お腹空いてんのか?」と聞くと、
「お前、お前言うな、私に桜と言う名前が有るんだ」
「じゃ、桜さぁ飛び降りる前に焼肉でも食べに行くか?」
「お金ないし、あんた奢ってくれるの?」
「あんたじゃなくて隆だ、食べ放題ならね」
「高級じゃないんだ、ケチ」
「何がケチだ、食べ放題だぞ有り難く思え」
「はいはい、じゃ、隆様にご馳走になります」
そして2人は大笑いした。
まぁ、飛び降りるのはいつでも出来るしなと思い、
隆は手摺を乗り越えて、桜と共に焼肉屋に直行した。
その後、満腹になった2人は意気投合し、
バカップルが誕生した。
2人は屋上からの出会いから数年後ゴールインした。




