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世界に蔓延る勇者達  作者: 霧助
四章 不死の王
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九十六話 1と魔法講習

半分は説明会となってしまっています。

あぁ、でも説明会って書きやすい……。自分の頭の中にある設定を書き連ねるだけだしな……。


しかし自分でも気づかぬ矛盾とかありそうで怖いですね、こういうのは。

もし、指摘されて言い訳もできない状況だったら後々、設定変更する事になると思います。

その際にはちゃんと過去の文章も書き直そうと思いますが。


とりあえず、100話がもう少しですね……。


誤字脱字報告感想等あれば、よろしくお願いします。


「そもそも竜魔法って何なのよ」


もう時期、リュートの故郷に着こうかという頃、二人して閻竜の話で盛り上がるリュートとケーファーに私は予てからの疑問をぶつける。

二人は、どう答えていいのかわからないのか、顔を見合わせてからリュートが人差し指で頬を掻きながら答えてくれた。


「竜種が使う魔法だよ。それを人……いや、ケーファーは魔人だから他の種族も仕えるのか?とにかく、人が竜に教わって使う魔法だよ。威力、魔力消費も固定で詠唱もいらずに素早く撃てるのが利点だけど、代わりに同じ形でしか発動しないから柔軟性がない」

「そもそも、竜って何」

「何って言われても、そもそも何千年前からいるかわかった物じゃないしなぁ」


リュート達にとっては、動物って何。人間って何。といった質問と同レベルのようで竜そのものについての答えは知らないようだ。


「僕は魔力量は多いけど、操作が苦手なんだよね。だから昔から竜に会って魔法を教えて貰ってたんだよ。数を覚えれば色々な状況に対応できるし、顕現や召喚なら魔力消費量も多い代わりに威力も上がって行くし」

「うちの歴史の記録を紐解いても閻竜顕現まで扱えたのは、たった一人だけどな……。召喚とか知識でしか知らなかったよ」

「一応、これでも魔王ですから」


ケーファーが珍しく胸を張って答える。

リュートの兄さんを助けに行った時の炎龍召喚。あれは確かに私の扱う魔法と比べても遜色がない程の大魔法だった。

巨大な炎の竜を自在に扱うケーファーが本気で人類の敵対者になると考えると、余り良い気分ではない。今の状況には感謝するべきなんだろう。


「でも、閻竜かぁ。楽しみだなぁ。僕が会ってない竜種も数少ないけど、閻竜は手掛かりすらなかったよ。まさか、人間の世界にいるだなんて思わなかった」

「逆にこっちでは結構有名なんだけどな。大昔に縁があったらしくて、うちの裏の山でのんびり暮らしてるよ。もう老竜らしくて、魔界に居るのは厳しいらしい」


それでも、オレ何かよりも遥かに長生きするだろうが。とリュートは続ける。

ケーファーは現地に着いたら閻竜に会う気のようで、リュートが絶対に合わせれるとは限らないからな?注釈しているのも耳に入らないようだ。


「それにしても、魔王にも苦手な物があるのね」


ケーファーの竜魔法は私の見解ではケーファー自信の魔法だと思っていた。

多彩な魔法を繰り出すケーファーは正しく魔王の名に相応しく、実は魔力のコントロールが苦手と言うカミングアウトは私にとって意外な物であった。


「誰にだって得手不得手はあるさ。ミナちゃんも魔力を圧縮するのが得意だろう?逆に複数の魔法を同時に使うのが苦手みたいだね」


そんな言葉に帰ってきたのは、またしても私にとって意外な言葉。


「……そうなの?」

「まさか、気づいてなかったの?」


複数の魔法を同時に使うのが苦手。実はこれには心当たりがある。私は魔法剣を除く魔法を同時に使おうとすると、どうしてももう一方の魔法を疎かにしてしまう。

御陰で戦闘に置いて使う魔法は一色。但し、次々と別の魔法を繰り出すのを苦に感じた事はない。

攻撃魔法と防御魔法を同時に展開できればと思った事は一度ではないが、そこまで我が儘を言っても仕方ないだろう。


逆に、圧縮が得意という言葉の方が私には気にかかる物だった。


「圧縮……ねぇ?」

「ちょっと聞きたいんだけど、ミナちゃんはなんで自分の魔力量が常人離れしてるかわかる?」

「えっと……才能?」


自分で言っててちょっと恥ずかしい。ケーファーもちょっと呆れ顔だ。


でも!

元の世界で魔法なんて物はなかったのに、いきなり天才だなんて言われたらそうとしか思えないじゃない!


「うん、まぁ……それも否定はできないんだけどさ。ミナちゃんの魔力の許容量は普通の人より多めって程度だよ。ただその中に考えられない程に魔力を圧縮して詰め込んでるんだよ。魔法を使う時も、そのまま出してくるから威力が高いんだよ」

「……考えた事もなかった」


ちょっとケーファーを尊敬した。

魔法に関しては深く考えた事がなかったけど、考えてみたら知らない事ばかりだ。もしかして、その辺りを突き詰めて行けば私の苦手な複数の魔法の同時使役も得意技になるのかもしれない。


そういえば、思い出して見たら魔力が戻った時も適当に魔法を圧縮して遊んでいたし、今の私が扱える最強の攻撃力を持った魔法、レーザーカノンも光を圧縮して打ち出すだけの原理的には単純な物だ。

体は自分自身が何を得意としているかわかっていたのかな?


ふと思ったけど、魔法使いとして復活した時に使った最初の魔法が最強ってどうなんだろう。

あれ?もしかして、私成長してない?リュートどんどん強くなってるのに……。


ちょっとした危機感を覚えたけど、直後に前に座っていたリュートが深刻そうに呟く。


「おいおい、派手な出迎えだな……」


その声を聞いた私とアティは同じく馬車の進む先を見ると様々な武装をした人たちが集まり始めている。その様子は私たちを見つけて慌てて出て来てきたかのように見える。

アティにもそれが見えたようで、彼女は、その集団が何なのか正確に把握した。


「あれは、自警団の皆?でもどうして……」

「オレ達が来るのは父さんの指示じゃなかったのか?なんか警戒されてるぞ」

「そのハズですけど……」


まさか集まっている人間の中に馬車で突撃をする訳にもいかず、その手前でケルロンの走る速度を抑えて停止する。

前衛であるリュートと、前衛もこなせるケーファーだけが念の為に先に降りる。前にはそれぞれの武器を手に持つ自警団。自警団とは言っても、リュートの故郷は武技が発展した街のようで、その数は馬鹿にならず個々の練度も高い事だろう。

出発する前にリュートが名産品が「戦闘技術」のせいで仕入れる物が何もなく商売にならないとぼやいていた記憶がある。


リュート達が彼らの目の前まで行くと彼らはそれぞれの武器を手に持ち高く掲げ声高に叫んだ。


「「「お帰りなさいませ、勇者リュート!!」」」







結局の所、彼らの所業は、昔に家から出された有望な騎士候補が勇者となって戻ってきたのを歓迎した行動だった。

物騒な装備を身に付けてきたのは同じく物騒な事柄で様々な功績を上げてきたリュートに対する彼らなりの礼儀だったらしい。世界的には小さな活躍でも、生まれ故郷ではそこそこの事件になるらしく、リュートが商人の頃から彼らはリュートの英雄譚に心を躍らせ、更に勇者となって武勲を上げてきたリュートは彼らにとって尊敬すべき対象だったようだ。

等のリュートは歓声の中を居心地悪そうに実家に向かって歩いている。


「なんで、こんなに騒がれてるんだ……」

「兄さんの事は私が言いふらしてましたから。当然です」


リュートの横で妹であるアティが誇らしげに胸を張る。リュートはそれを珍しいジト目で睨むが、なんのその。気にした様子もない。完全に自慢のお兄ちゃんと言った風だ。

ちなみに、私としては時折飛んでくる「婚約おめでとう!」等という声が非常に気に食わず機嫌が良いハズもない。


「あの、さ。ミナ……?」

「わかってる。わかってるけど、放っておいて」


後ろを歩く私に対して気を使うリュートに対しても冷たく返す。ここで、素直に腕でも組んで見せつけてやれば、他の人の目にも焼き付くのだろうが、生憎そこまで素直にできる性分ではなく、本当に損をしていると思う。

と、不意に何かに手を握られた。何かとは言いつつ、その犯人など考える必要もなく、紛れもなく前を歩くリュートだ。

顔が熱くなるのがわかり、逆に急速に頭が冷えて行くのを感じる。


あぁ、私はなんて単純なんだろう。


そう実感しながら、リュートの手を握り返し、前後に並びながら手を繋ぐなんて不格好で歩きにくい行為をしながら、彼の家の前に付く。

正門の前には白い髪に白い髭を生やした重装の男が一人。身長がリュートよりも高くリュートのお兄さんよりもガッシリとした体付きだ。全体的に人を一回り大きくしたような男は戦場で見た時には本能的な恐怖を覚えるだろう風格を持っている。腕を組んだその男は厳つい顔に似合わない暖かい笑顔を浮かべてリュートに言った。


「久しぶりだな。馬鹿息子」

「借金を返済した時以来か?まったく追い出したと思えば勝手に呼び出してくれる」


悪態を前に同じくリュートも悪態を吐く。

ただ、その言葉とは裏腹にリュートも楽しそうに笑っている。家を出されたと言っても、それは互いに納得しての行動であり、二人の間に確執などないのだろう。

それなら、家を出す必要もないんじゃないかと思いたいが別の世界の古い歴史を持つ家に私が口を出す資格があるとも思えない。


……それと、リュートの婚約者の話は別ですけど。


父と息子は久しぶりの再会に、お互いの拳を合わせて挨拶としていた。


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