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世界に蔓延る勇者達  作者: 霧助
三章 仲間を探して
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七十一話 1の深夜騒動

たまにある中身の薄い話です。

今回も本編にはあまり関係ありません!


旅の道中は長いので、全部書いてたらきりがないけど、全部飛ばすのも味気ない。

と思いプロットにはない話を細々書いているのですが、どうでしょう?


誤字脱字報告感想等、頂けたら嬉しいです。


それは、世界の構造を変えるって事になるぞ?



夜、皆が寝静まった後に一人で考え事をしていると、リュートに言われた一言が頭の中で回る。


考えている事は昼間の出来事。


魔人と人の和解。

それは私が思ってる以上に、この世界では難しいみたい。


でも、そうだよね。

何千年って間、戦い続けて来たんだもの。

私の世界の歴史を見てみてもわかる。


「戦争中の国が、その国の人と仲良くするハズなんてないのかぁ。どうしたらいいと思う?ケルロン」


夜、私は馬車を降りてケルロンと一緒に寝ている。

流石に地面にそのまま寝てる訳じゃないから寝心地は悪くない。


リュートは馬車の上で寝るように説得してきたけど、ちゃんと洗ってからのケルロンはふかふかで気持ちいいんだ。

ケルロンは頭が良くて言葉は喋ってくれないけど、理解はしてるみたいで色々な反応をしてくれる。


けど、今回は返事が帰ってこなかった。


「ケルロン?」


気になってもう一度呼んでケルロンを見ると少し恐い顔で暗がりを睨んでいる。


「……魔物?」


魔人クラスの魔力なら、ある程度近ければ自然に気づける。

魔獣でも魔力の大きさの幅は広いけど集中すれば気づける。

でも、何も感じないという事は、なんてことない魔物だろう。


暗闇を目を凝らしてみると確かに何かいる。

でも、魔物と言うよりは……。


「……人?」


私より少しだけ背が高い。

ん、ちょっと待っておかしい。


そう気付いた瞬間、気づくなと理性が警笛を鳴らす。


なんでこんな所に人が?

こっちに近づいて来てるのに、なんで足は動いてないの?

ていうか、少し浮いてない?

夜だから気づかなかったけど……良く見たら少し透けてない?

考えるな。考えちゃ駄目。

気づいちゃ駄目。言葉にしちゃ駄目。


そうは思いながらも、私の口は自然と動いてしまった。


「幽……霊……?」


その瞬間、背中に嫌な汗が流れる。


え、何、何なの。

どうみても人じゃない。

魔物でもない。


そこに居るのは人型の何か。


私の知識で当てはまる物は一つ。

元の世界で、たまにテレビとか本で見た事がある。

別に特別、怖い話が苦手ということもない。


でも、いざ実際にソレを目の当たりにすると感情が止まらない。


怖い。


「嫌……え、何?こないで……!」


咄嗟に右手に魔力を集めて魔法を使う。

発動したのは風。

別に意識して発動させた訳じゃない。

ただ無我夢中で攻撃魔法を想像しただけだ。


「こっちに……来るなぁ!」


風を力任せに投げつけると槍のように鋭く幽霊を貫い……いや、すり抜けた。


「……へ?」


余りの事に変な声が出た。

だって仕方ないじゃない。

なんで魔法がすり抜けるのよ!!


「だ、誰か……ケルロン?」


手を伸ばすとふわふわした毛皮が触れた。

良かったっ……って、一瞬思ったけど、ケルロンは私の動揺っぷりを心配してるらしく、鼻を近づけてきて幽霊の方なんてさっぱり見てやしない。


あぁもう!

一人っきりよりは大分マシだけど!


ケルロンの頭の上に手を置いて再び魔法を唱える。

前にケーファーの彼女が言っていた。


天使に雷は効かない。なら、たまたま幽霊に風が効かない可能性だって!


手のひらが熱を持ち小さな指先大の火球ができあがる。

最もサイズが小さいだけで私が必死に作った超高温の火球だ。

なんか色も青い。


「これなら……!」


それを指先をピストルの形にして幽霊目掛けて打ち出す……けど、やはりすり抜けてしまう。

遠くで青い火球が大爆発を起こして辺りに熔岩染みた液体が飛ぶのが見えたけど、それどころじゃない。


幽霊はゆっくりとだけど確実に近づけてきている。


「何、今の爆発音!!」

「ミナ!大丈夫か!?」


そこでやっと馬車で寝ていた男達が起き出した。


遅い……!!


私は怯えてうまく声が出せずに心の中で悪態を吐く。


「ミナ……!今の爆発はミナか?って、こいつは……」


私はリュートに必死で、こくこくと頷く。

リュートはまだ少しだけ離れてる幽霊に気付いたみたいだ。


「リュート、それ……幽霊……」

「あぁ。ゴーストか……安らかに眠れ」


そう言うとリュートは、いつの間にか握っていた魔剣で幽霊を真っ二つに斬った。


……斬れるの!?


なんか信じられない物をみた気がするけど……とりあえず、私が一人で起こした幽霊騒動は終わった。







「……で、なんだったの、アレは」

「何って、ゴーストだが……え、なんで、オレ怒られてるの?」

「うるさい。怖くて悪いか」

「いや、悪くはないが……」


元の世界ではアレくらい普通の反応!多分!!


あれから他の人に事情を説明すると爆発は私が起こした物で問題ないということで、リュート以外の皆は馬車に戻って寝始めている。

リュートは、私の傍に来て頭に手を置いたと思ったら、可愛い所あるな。とか言い出したから正座させた。

そして、八つ当たりと幽霊の説明をさせている。


「説明して、説明」


このままじゃ怖くて眠れない。


「説明って言われてもな……。ゴーストだよ。魔力が人の記憶を拾った物だよ。元の世界にはいなかったのか?」

「いなかったって事はないと思うけど……」


流石に実際に見たのははじめてだから断言はできない。


「魔力は人の想いや技術、後は相性もあるか。そう言った物で動く。それは魔法使いであるミナの方が分かるんじゃないか?」


確かに魔力は私の想像通りに動いてくれる。


「オレは魔力を使うのは余り得意じゃないが……本人の意思に関係なく魔力が強い想いによって発動する事もあるんだよ。ゴーストはそれの一種だ。大体は……死にたくない。そんな想いが多いかな」

「あ……」


リュートが言いにくそうに続けて気付いた。

ここは魔界に近い。

多くの冒険者が、名誉やお金を求めて破れ、多くの兵士が国や家族を守る為に散った場所だ。


「……そっか」

「あぁ。でも、それは本人じゃない。だから冒険者の間では斬って供養するのが、普通だな」


あくまで本人の想いを持っただけの魔力か……。

確かに死んだ後も、そんなのに彷徨かれてたら堪ったものじゃない。


だけど、一つだけ納得のいかない疑問がある。


「なんで斬れるの」

「……いや、斬れなかったら困るだろ。魔法は効かないし」

「意味わかんない」

「んー、まずゴーストは純粋な魔力だから同じ性質の魔力は非常に通りにくい。まぁ、四散させる程の物理的な威力があれば別だろうけど……」


つまり、青い火球を地面にでも当てれば爆風で吹き飛んだんだ。


「術式も技術もなく具現化しただけだからな。そう強い繋がりでもない。断ち切ってやれば四散するんだよ」


リュートはそう言って後ろを向いて欠伸をする。

馬車に帰るんだろう。私もちょっと眠い。


でも、元の世界には魔力なんてあったのかな?

知らなかっただけで、存在してる可能性はある。

でも、もし無かったならゴーストと幽霊ってのは別の存在で、それなら幽霊ってのは一体なんな……。


と、そこまで考えて私は思考を中断した。


絶対に寝れなくなる!!


「んじゃ、おやすみな、。明日は少しゆっくり出るか……って、ミナ?」


私は馬車に帰ろうとするリュートの裾を思わず握った。


「えーっと……どうしたんだ?」

「…………。」

「無視かよ!?」


この後のやり取りは恥ずかしいので、余り言いたくない。

けど、リュートはいつも通り文句を言いつつ結局は私のお願いを聞いてくれた。



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