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世界に蔓延る勇者達  作者: 霧助
三章 仲間を探して
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五十六話 1と意外と普通な初クエスト


風邪を引いてしまって熱が39度超えて丸一日休んでる間にお気に入り登録が数十件増えてて非常に驚きました。

三連休だから、読んでくれてる人が多いのかな?と勝手に憶測しております。


ちなみに、熱は1日で下がったのでインフルエンザでもなく更新速度にも影響がありませんでしたw


お前が言うなと言われそうですが、風邪には気をつけましょうorz



辺り一面に広がる緑。

生い茂る草木を掻き分けて歩いて行く。幸いにも魔法で身体能力を強化してあるので辛くはない。


「さて、この辺でいいかな。ミナ、これ」


そう言ってリュートが渡して来たのは大きな袋。


これに月光草を入れるのかな?

って、言ってもどれかわからな……。


「いや、コレはキノコ用。そこら辺に生えてるから適当に集める」

「なんで!?」


時間にして正午くらい。小さな村を出てきた私達は、大きな森に入っていた。


「なんでって……月光草は夜にならないと見つからないしな」

「それで、なんでキノコ」

「売ってもいいし、食べてもいいしな」


予想外の展開に思わず膝と手ををついて脱力する。


何、キノコ採集って。

なんていうか地味だ。というか元の世界でもできる。


「おーい……疲れてるなら、オレ一人でやるから、ケルロンと休んでてもいいぞ?」

「いい、やる……」


変な情けを掛けられるのは逆に気にくわない。


「木の影とか落ち葉の中によくあるから。後、一応、魔物にも注意なー」


そう言いながらリュートはすでに地面をがさがさと探っている。


ってか魔物を感知する力なら私の方が強いし!


大きなお世話だ!と私は少しだけ機嫌悪くキノコ採集を始めた。


ぺしっと枯葉を蹴ってみるけど、そうそう都合良くは見つからない。


それでも、少しふらふらしてると赤い斑点のあるキノコが群生しているのを見つけた。


えーっと派手なキノコは毒があるんだっけ?ん、ていうか……。


「リュートー?」

「おー、どうしたー?」


名前を呼ぶとリュートが少し歩いてくる。リュートの持ってる袋は、すでに少しふっくらしていて、そこそこの量を収穫してるみたい。


「毒キノコとかって、どうするの?」

「毒キノコ?」


私がそう聞くとリュートは首を傾げる。


もしかしたら、この世界には毒キノコなんてないのかな?

それとも一般常識レベルにみんな見分けれるのかな?


何分、元の世界での常識は通じない部分がある。

けど、リュートは更に斜め上な答えを差し出してきた。


「解毒するに決まってるだろ?」

「げど……く?」


何、げどくって。

解毒?確かに解毒魔法は聞いた事あるけど、キノコに使う物なの?それ。


一人で混乱する私。

その様子を見てリュートは、何か思いついたように話してくれる。


「そっか。ミナの世界には魔法がなかったんだっけ。毒性を持つ食べ物を解毒してくれるお店があるんだよ。優秀な魔法使いに人気のある職の一つだな」


……何、ソレ。


「……人気、あるんだ」

「一番人気はやっぱり冒険者だけど危険も多いしなぁ」


そう言ってリュートは、また地面を探り出す。


私も、ちゃんと探すかな。


手始めに、さっき見つけた赤い斑点のを袋に入れる。

それ以降は簡単だ。ちょっと草を退けたり木の影を見ると、なんらかのキノコが生えている。


「もう秋も終わるって言うのに結構あるのね」


私が好き勝手動いてもリュートは、なるべく離れないように着いてきてくれてる。

一応、心配してくれてるのかな?


「人が来る事もないしな、ここら辺は」

「来ないの?」


ケルロンで走って数時間。街からも、そんなに離れてなくて、こんなに食べ物があるのに。


「たまに魔獣が出るんだよ。キノコ一掴み銅貨十枚。解毒も考えると利益は更に下がる」


例え、十回に一回でも魔獣に会えば死ぬからな。とリュートは続けた。


確かに今は魔獣が出る気配がない。

何事もなく帰れる可能性が高くても、死ぬかもしれないなら、リスクは合っていない、か。


リュートと私が居るのは、もし出てきてもなんとかできる自信が、あるからだ。


この世界も大変そうだなぁ。


「よし。じゃぁ、日が暮れる前にご飯でも作るか」


話ながら採集をしていたら、いつの間にか袋の中には結構な量のキノコが入っていた。


うん、お腹も減った。


「馬車まで戻る?」

「また森に入るのも手間だし、ここで作るよ」

「作るって、何を?」


むしろ何で?って聞いた方が良いのかもしれない。

馬車からは採集用の袋しか持って来ていない。材料がないんだ。いや、あるにはあるけど、使うハズがない。


そう思い込もうとしたけど、リュートは自分の持ってる、キノコやら毒キノコやらが、もっそりと入ってる袋を掲げて言った。


「今取ったキノコ。簡単な鍋にでもするか」


解毒するんじゃなかったの……?

















「えーと……ミナ?」

「…………。」


日の沈みかけている森は、もうかなり暗い。そんな中、リュートは困ったような笑顔を浮かべている。

私はどんな顔をしてるんだろう?

さぞかし微妙な表情を浮かべてるに違いない。


私とリュートの間にあるのは小さな鍋。

中には先程取ったキノコとリュートが、食べれる。と言った野草。


簡単な調味料で味付けされたキノコ鍋は味も、そこそこだろう。


うん、でも今は旅先だ。そこそこの味のご飯が食べれるだけで文句はあるハズがない。


けど、それとは別にすごく不安な事がある。

……ていうか、みんな不安に思うよね?


「大丈夫だから。この中には、間違いなく毒性持ってるのは入れてない」

「う、うん……」


リュートの事は信用してる。

この世界、元の世界の誰より。


でも、それと恐いのは別!!


とは言え、そろそろお腹も減って来た。

私は意を決して、お箸を伸ばす。


スーパーで売ってるキノコは何も考えずに食べてたなぁ。


カプッと適当に取ったキノコを口に入れる。

味はシメジに似ていてそれが、ほんの少し私を安堵させてくれた。


あぁ、食べちゃった……。


もう手遅れ。


そう思うと残りの、お鍋にも素直に、お箸が伸びる。

リュートも、ほっとしているようだ。


……ごめんなさい、リュート。


二人分にしては少ないお鍋。

その量を食べるにしては随分と時間が掛かってしまった。


「大丈夫か?」

「ん、いつでも行ける」


お陰で辺り一面真っ暗。

所々射し込む月光でなんとかリュートが見える程度の光源。


でも、今日はこのくらいが丁度良い。


「とりあえず登るか。今日は良い天気だ。月光草もよく輝いてるだろ」


そう言ってリュートは手早く片付ける。


「行こう、ミナ」

「……今更、手なんて繋がなくても」


差し出された手に思わず頬が熱くなったけど、この暗さならバレてないだろう。


「夜の山道は危険なんだよ」


まったく。と悪態をついて手を取るけど満更でもない。

そのまま、リュートに引かれて山道を登って行く。


……なんか、懐かしい。

出会ったばかりの頃は、どこでも、今みたいにリュートに手を引かれてた。


「見つかるかな?月光草」

「上、見てみな」


リュートが笑って答えてくれる。

視線の先は鬱蒼とした森のハズなのに、仄かに青く光っている。


「あの様子だと群生してるな」

「すごい……。本当に光ってる」


魔法以外で初めてファンタジー世界を強く実感した。


そしてリュートは手を離し楽しそうに駆け上っていく。


「何、急いでるのー?」

「来ればわかるよ!」


……?


まるで子供のようにリュートは月光草の光に入って言って見えなくなる。


「……もう」


なんなんだ、一体。

幸いにも足元は青い光の残光で少しだけ照らされている。

これなら注意すれば足を取られる事もないかな、と私も駆け上がっていく。


そして青い光に踏み込む。


「ようこそ、冒険者の領域へ」


そんなリュートのふざけた台詞が耳に入るけど、頭には届かなかった。


私が見たのは辺り一面に咲き誇る青。

ソレは花ではなく草。けれど、キラキラ光る景色は私には咲いているようにしか見えなかった。

地面だけじゃない。立木すらも青の光を浴びて輝いている。

まるで、ここだけが聖域なのかと思えるくらいに輝いていた。


「…………綺麗」


今まで見たこともない景色に私はソレしか言えない。


「命を賭けるには安い対価かもしれないけど、冒険者でしか見られない光景も多い。ちょっと良い物だろ?」

「これが見せたくて子供みたいに、はしゃいでたのね、リュートは」

「あはは」


笑って誤魔化された!


……けど実際に、この光景を見てしまった今なら気持ちがわかる。

「それと……初クエストクリアおめでとう」

「え?」


クエスト?


「商会、個人、ギルド、どこからでも良い。依頼のクリア。受領から完了までミナが居るのは初めてだろう?」


まだクロウに届けなくちゃいけないけどな。とリュートは笑う。


……そっか。

リュートとの旅で私はリュートと一緒にクエストをクリアしたんだ。

そう思うと少しだけ嬉しい。


「でも、これ採集するんだ。なんか少しだけ勿体無いね」

「そんなに多くは取らないよ。無意味に取っても魔力が肥沃な土じゃないとすぐ枯れるんだ」

「クロウさんに渡す分だけ?」

「元々、街の方で流行った病気の薬になるみたいだし、そっちの分も、かな」

「……結局、お金儲けは考えるんだ」


ちょっと呆れてジト目をしてみるけど、リュートは、


「商人だからな」


と胸を張った。


まぁ、それはそうだよね。

しかも病気を治す薬になるなら文句を言えるハズもない。


「さて、日が明ける前に村に帰るよ、ミナ」

「……正気?」

「言いたい事はわかるけど月光草の日持ちを考えると余裕がないんだよ。ケルロンなら危険もないだろ」


夜は魔物が活発化する時間。魔獣は元より野生動物だって、夜行性な者もいる。

即ち、視界も効かない夜は危険でしかない。


……けど、ケルロンなら確かに大丈夫かな。


上位の魔獣であるケルベロスを相手にできる敵なんてそうそう居ない。


「仕方ないわね。行こう、リュート。麓でケルロンも待ってる」


こうして私の初クエストは何事もなく幕を閉じた。






感想、メッセージ等で指摘して頂いていた誤字の部分を修正しました。

教えてくれてる人達のお陰で、少しは真っ当な文章に慣れてるかなぁと思う日々です。


いや、ホント、誤字脱字多くてごめんなs……。


人物紹介や、章管理もちゃんとやらなきゃなぁと思う今日この頃、ガンバリマス。

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