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世界に蔓延る勇者達  作者: 霧助
二章 魔女の復活
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四十七話 100の旅立ち

久しぶりに投稿早くできました。


とは言え多少短いです。


二章もこれで終わりになります。

また少し別視点の話を書いた後に三章な入る予定です。


誤字脱字指摘、感想等頂ければ嬉しいです。



「短い間だったが楽しかったよ。ありがとう」

「いえ、お礼を言うのはこちらですよ。何から何までお世話になりました」


太陽が登り始めたばかりの早朝。

オレとニーズヘッグ公爵は短い別れの挨拶を交わす。


出立は昨日のうちに伝えてあった。


ちなみに昨日、王様が言っていた聖殿とやらに行く気はない。

だからこその朝早い出発だった。


少し離れた所ではミナがケルロンに荷物を乗せながらリズと話している。

王女との相性はいまいちだがリズとは本当に仲良しになった。


この世界で初めての友達と言った所か。


そう考えると頬が緩むのが自覚できる。


「落ち着いたら、きっと王都に戻ってくる。だから、またね」

「当然ですわ。リュート様を独り占めされては敵いません。二人一緒にまた戻ってきてください」


そのうち商売上の都合戻っては来るだろうけど、なるべく早くした方が良さそうだ。


「よっと……。ケルロン、これからよろしくね」

「ワフッ!!」

「準備できたか?」


ケルロンを見ると結構な量の荷物をくくり付けられているが、本人は平気そうに尻尾をパタパタ振っている。

流石、魔獣ケルベロス。体躯は馬とそれほど変わらないが魔力により強化されている身体能力は比べ物にならない。

今回からは馬の代わりにケルロンに馬車を引いて貰う事になっている。


「うん、行こっか」



ミナはさっそくケルロンに跨がる。


「いってらっしゃいませ、リュート様」

「いってきます、リズ」


短いいつものやり取り。また「ただいま」を言う為の儀式。

それを終わらせて二人に手を振り、朝日で照らされる道を歩いて行く。


「流石に空いてるわね。港はあんなに人が沢山居たのに」

「港の朝は早いからなぁ……」


北側は朝日が昇る前から動き出す。

ちなみに昨日約束した通りミナには今日の朝、港に付き合って貰っている。

戦利品は上々。


最も代償としてミナはさっきから何度か欠伸をしていて眠そうだ。

「王都を出たらしばらく何もない旅路だ。もう少しでゆっくり寝れるさ」

「ん、大丈夫よ。元の世界でも、たまに徹夜とかしてたし」


とは言えやはり眠そうに見える。

一度、馬車……てか、犬車か?に乗ればすぐに寝息をたてそうだ。


まぁ、金にそこまで余裕があった訳じゃないから本当に小さな馬車だけど。

多少の荷物を乗せたら二人がどうにか寝転がれる程度だ。


そのうち買い換えないとなぁ。アレじゃ余りにも荷物を積めなさすぎる。


冒険者や旅人ならいいだろうけど生憎、オレは商人。物資の量はそのまま儲けに繋がる。


「リュート」


ケルロンに乗ったミナがオレの名前を呼ぶ。

その顔は実に機嫌が良さそうだ。


「楽しかったね」

「あぁ、そうだな」

「また来るよね?」

「安心しろ。商人の商売の基点は王都だ。そのうち戻って来るよ。あまり長居はしないけどな」


そっか。と呟いてミナは前を見る。

その視界の先には境である門が見えた。

約十日間ほどの短い滞在だったけど、本当に色々あった。


「でも、今回の目的は商売じゃないんでしょ?」

「まぁな」


そう。今回の主目的は金稼ぎではない。

いや、ついでに金も稼ぎはするけど。

先立つ物が無ければ旅はできないからな、うん。


「楽しみだね、みんなに会うの」

「あれから半月以上たってるのか……みんなどこにいるやら」


ランディ、コレット、クロウ、メリア。

この四人の行き先が見当もつかない。

クレアは多分、元オレの家があった近くの街にいるだろう。


「クレアに会いに行って……何か知ってたらいいんだけど」


何の手掛かりもなく国中探し回るのは勘弁して欲しい。


「クレアさん、怒るんじゃない?リュートの隣に見知らない女の子がいたら」

「別にミナなら平気……って、あー、そうか……」

「クレアさんの知ってる私は怪我してた頃の私だし」


ミナはクスクス笑うが本気で怒るような気がしてきた。

家に居た時も何故かミナに対抗心燃やしてたしなぁ。


「さて、行こう?リュート」

「あぁ。もう門か」


色々話しているとうちに気づけば門の前。

ミナがケルロンから降りて用意されていた馬車を繋ぐ。


ちなみに荷物も全部馬車に移し変えて置いた。


一番前に二人で座って前を見る。

太陽も少しずつ登ってきていて、ここももう少したてば活気付くだろう。


「静かなうちに出発しましょ?私達、目立つし」

「そうだな」


黒髪の少女ってだけで十分過ぎるほど目立つのにケルベロスに牽かれた荷台とかどんな組み合わせだ。


ケルロンは馬と違い知能が高いから人の言う事も理解してくれる。

と言っても素直に従うのはミナにだけだ。


だから彼女はケルロンに出発の合図をかける。


「ケルロン!走って!!」

「ガウッ!!」

「きゃっ!?あははは!!」

「ちょっ、車輪が壊れるぞ!?」

「ケルローン、もうちょっとゆっくり~!」


普段よりも子供っぽくはしゃぐミナがケルロンに指示を出すと小走り程度の速さになった。

荷台を牽きながらあんな速度で走るとは流石は魔獣だ。


「またしばらくリュートと二人きりかぁ」


そう言いながらポスンと胸元を叩いてくる。


「叩くな。ま、よろしく頼む」



「うっさい」



旅の始まり。

彼女はそう言いながら強めにまた胸元をポスンと叩いてきた。



























「僕が欲しいのは世界ですよ。この世界を支配したいんです。それには貴方達と組むのが一番でしょう?」


王国より遥か南。

今や滅ぼされた南の国は魔族に支配されていた。


普段は人なんて寄り付くはずがない場所。

そこで緑色の髪をした少年が身長2Mを超える人と密談を交わしている。


緑色の髪の少年は髪の色さえ気にしなければ少し背の小さめな人間だろう。

しかし、もう一方の大男は違う。

赤い目に口の左側からのみ伸びた鋭い牙。

腕も異常に太く人の胴体ほどある。

彼は……魔人だ。


本来なら魔人が人族と交渉する事など有り得ないが、この時ばかりは事情が違った。


「確かに……お前の言う事が本当なら現魔王を気にせず人間に戦争を仕掛けれるが……」


現魔王ケーファーは実力は本物だが人間相手に戦争を起こす気がない。

闘争を本能とする魔人にとっては煩わしい事だが、彼以上に強い魔人がいないのも事実なのだ。


「迷う事なんてないんですよ。僕の能力を使い四天王の貴方が率先して戦争を起こせばいいだけです。誰も文句なんて言わないでしょう」


魔人の男は悩む。

四天王と呼ばれる自分でさえ魔王には叶わない。


そして魔人にとっては強さが全て。

だからこそ魔王ケーファーがいる今代は比較的、世界は平和だった。


しかし、ケーファーを超える強さを持った者がいるなら話は別だ。


「……人間の手を借りるのは不本意だがいいだろう」


魔人は悩んだ末結論を出した。

このまま暇を持て余し自分の存在意義を見失うよりは人間と手を組んだ方がマシだ、と。


「そうこなくっちゃ。よろしくね。僕は66番目の勇者、ネクロマンサーのミョル」


そう答えた少年の後ろには何十匹にも及ぶ魔獣……元魔獣と言うべきか。

彼が能力を使い使役しているのだろう。

到底、生きてるとは思えない魔獣の群れが居た。


少年は魔人ですら気味が悪いと思わざるをえない笑みを浮かべてこう言った。




「人間を……支配する人間だよ」





とりあえず、本当に短い話でごめんなさいorz


後半がなんだか新展開っぽいですね。

でも彼らの活動はしばらく水面下だったりしてリュート達の旅にしばらく影響はありません(笑)


それでは次は魔王視点になるかと思います。


いつも読んでくださってありがとうございます<m(__)m>

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