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『戦争の天才』は首都を陥落させる!

 ヴァルディオスが倒されてからすぐ、その戦地にて狼煙が上がる。


「ヴァルディオス神が破られました!」


 ヴァルディオスが敗れたその報告はすぐにイザベラのもとに届く。


「そんなまさか.... 」


 その報告を聞いても、イザベラはただ呆然とするしかなかった。

 もはや、ジェストカン神聖国に勝利の道はなかった。

 兵を失い、最終手段の神をも撃ち滅ぼされ、撃てる手段はもうない。

 

 そんな中、一人の男が策を打ち出す。


「陛下。ゲリラ戦をしてはいかがでしょう?」


 その男はヴァントリアス帝国から送られた軍事顧問だ。

 外見は、坊主で、丸い眼鏡をしていて、顎にややくぼみがある。

 この異世界には似つかない顔だ。


「どういうわけか、敵はこの首都を爆撃しない。おそらくは一般市民を戦果に巻き込まないようにするためでしょう。なら、それを利用して、敵がこの首都に進攻した際、一般人に扮した騎士団の皆さまが奇襲をかければ、敵は撤退するでしょう」


「だが、奴らは『戦車』などという極めて防御力が高くて、攻撃力も高い兵器を使っているんだぞ。事実、我々は第二騎士団団長が一両の戦車を撃破しただけで、ほとんど攻撃が通らなかったぞ」


 そう言うのはこの国の第一騎士団団長だ。


「それは魔法と剣で戦おうとしているからです。戦車は対魔法結界を展開していて、素材も鋼鉄でできています。だからこそ、我々が支援物資として運んだ『爆薬』を使ってください。あれを体にでも巻き付けて特攻してもらえば戦車の10両や20両簡単に撃破できます」


「兵士に死ねというのか!」


 師団長は怒号をあげる。


「神を殺された今、打てる手はこれしかありません。それに敬遠な信徒となら、死ぬこともいとわないのでは?」


「ふざけるな。死地に送るのと死ねと命令するのは違うんだぞ。どうやらこの軍事顧問は使えないようだ」


「そうですか。では私はお役御免ということで失礼します」

 

 そう言って、冷淡な挨拶の後、ヴァントリアス帝国から来た軍事顧問は城を後にした。


 それから、少しの時間、官僚たちはああでもないこうでもないと話し合いをした。


「勇者を戦場に立たせるか?」


「しかし、彼らは魔物との戦闘がほとんど。果たして戦場で活躍できるかどうか.... それに、もしこの戦争で失えば、その後の国民の英雄的立ち位置の者がいなくなってしまう。あれのおかげで我々は多少無茶な税も取れるんだぞ」


「国民にも戦闘を促すか?」


「しかし.... どういうわけか今回の戦争に関して、国民の士気は高くない。無理やり動員しても時間稼ぎにもならないぞ.... 」


 官僚たちの議論が膠着したその時だった。


「大変です!」


 一端の兵士がいきなり扉を開けた。


「ご報告します!魔術省長官のイレーナ・レイケル率いる反乱軍が我々に宣戦布告しました!すでに魔法省の8割が反乱軍に加わっております。さらに、勇者一行も反乱軍に加わったそうです」


 その報告はその場にいた全員を絶句させた。


「それと、今回国民の士気が低かったのにはどうやら勇者一行がかかわっているそうです」


 追加の報告を聞いて、その場にいた全員は何も発せなくなっていた。

 そんな中、廊下から声が聞こえた。


「誰だ!貴様は!」

 

 衛兵の声だ。

 その後すぐ、兵士の絶叫が聞こえた。


「全員動くな!」


 扉を蹴破って現れたのは勇者一行と魔法省職員だった。


「今すぐ降参しろ!」


 そう言って剣を構えて入るのは勇者パーティーリーダーの亮だった。

 その剣には血がついている。


「ここで貴様らは終わりだ!」






‐‐‐






 私の名前は石原孝雄。

 ついさっき狼煙を挙げた。

 この狼煙は反乱軍に宣戦布告してもらうための合図だ。

 恐らく今頃は重要拠点の制圧に動いたころだろう。

 エメもステンホルムも治癒魔法によって傷は回復しており、もう動くことができる。


 さて、我々も首都に入るとしよう。

 機甲部隊は既に近くまで来ているとの情報があったので、恐らくすぐに合流できるはずだ。

 

 我々が首都の門に近づくと、門が開いた。

 どうやら反乱軍はここを制圧したようだ。

 我々は堂々と正面から入場する。


 そしてエルベルトに拡声魔法をかけてもらった。

 演説の開始だ。


「ジェストカン神聖国国民諸君。

 私はフェアンベルゼン王国国王石原孝雄だ。

 まず、フェアンベルゼン王国軍はこれよりこの都市を占領する。

 諸君は不安だろう。

 だが、安心してほしい。

 諸君らに危害は加えないし、重税を課したりもしない。

 この国の腐った無能どもよりもはるかに有能な政治をすることを約束しよう。

 これよりジェストカン神聖国は我々大陸同盟の大切な盟友となるのだ。

 事実、この国の上層が見捨てた副都市『ガナス』を我々は見捨てなかった。

 我々を信じる者はどうか、私が城に入るまでの道をただ見守ってほしい」


 そう言って、私たちは城に向かって歩き始めた。

 国民は、私たちのその姿をただ見つめていた。


 待ってろイザベラ・シード。

 首都は陥落し、国民も味方につけた。

 兵士もほとんどいないし、神も殺した。


 この戦争は勝った。

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