『戦争の天才』は菊作戦を実行する!
神。
それは絶大な力を持っている。
グレイル教絶対神『ヴァルディオス』を前に、我々フェアンベルゼン王国軍は撤退を余儀なくされた。
思えば、最近負けなしのフェアンベルゼン王国軍を徹底させた初めての出来事だった。
敗因はひとえに私の作戦のミスだ。
神が召喚されるかもということは知っていたのに、神を見くびっていた。
神という存在をもっと警戒するべきだった。
だが、次はそうはいかない。
まずは手始めに「菊作戦」を行う。
あれから2週間。
私は最強戦力を用意した。
まず、対戦略歩兵用兵器を用意した。
次に、恐らくこの世界最強である豹爪のパーティーメンバーに来てもらった。
ステンホルムはともかく、これからジェストカン神聖国に宣戦布告する予定の反乱軍指揮官のイレーナと、前線を退いたエルベルトに頼むのは気が引ける。
しかし、エルベルトは「石原の頼みなら断る理由はない」と言ってくれた。
イレーナは「エルベルトとまた共闘できる」と言って即答で了承した。
そこにエメを追加して、これらをヴァルディオス討伐軍とした。
討伐軍は大人数で編成しても被害が増えるだけなので必要最小限の人数にする。
さぁ。
神に再戦する秋だ。
討伐軍は副首都を出て、そのまま首都へ向かう。
その道中にいたモンスターは既に軍によって討伐している。
1日をかけ、我々は首都手前まで、進軍した。
「久しぶりだな。弱き者どもよ」
そこにはヴァルディオスがいた。
どうして進軍してこなかったのかは分からないが、どうやら2週間ずっと同じ場所にいたらしい。
「これはこれはヴァルディオス殿。貴殿も随分弱くなられたのでは?」
「やはり貴様のせいか」
私がそう言うと、ヴァルディオスは顔色を変えることなくそう言った。
なぜこんな会話をしたのか。
それは少し前に遡る。
ヴァルディオスに敗北してから、私はすぐに菊作戦を実行した。
ヴァルディオスの力の根源は信仰だ。
なら、その信仰心を弱めれば、こちらにも勝機はある。
そこで、大陸同盟の国々、そしてジェストカン神聖国の占領地に、ある新聞を発行した。
その見出しはこうだ、『グレイル教の絶対神、偽物だと判明』
続いてこう書いた。
真のグレイル教の神はテラスであり、今皆が信仰している神は卑劣にも、そのテラス様からその立場を奪った大罪人である。
この内容は当然嘘である。
ヴァルディオスは正当な神である。
しかし、我々は今まで新聞に嘘を書かなかった。
そんな中で今までの神は嘘だったという記事を書いたら、多くの民はどう思うだろうか。
それにジェストカン神聖国が副首都ガナスを見捨てたことも、ヴァルディオスが神ではない理由として使わせてもらった。
真の神なら、信者を見捨てたりはしない。と。
他にも様々なでっち上げた証拠をのせ、極めつけは大陸同盟3国の王のサインを記し、この文面の正当性を主張した。
するとどうだろうか。
全員とまではいかないが、多くの人はこの文章を信じた。
いつの時代も、どの世界でもプロパガンダというのは非常に有効だな。
これによって、ヴァルディオスは弱体化した。




